谷 好通コラム

2016年10月16日(日曜日)

10.16.幸せの尺度を他人に決められることはない。

昨日、「落ちるべくして落ちる店」として、
店がだらしなくて食べ物がうまくなく、
でも、ご主人夫妻の感じは良い古い喫茶店のことを書きました。
こういう店は喫茶店に限らず
落ちるべくして落ちていくものだとも書きました。

 

でも、そう書いてから、
色々と考えました。
あれではあの店はどんどんお客様が来なくなって、
売上も落ち、繁栄することなく寂れていくことでしょう。
でも、あの60才前後の初老のご夫婦は、幸せなのかもしれません。
昨日見たあのご夫婦の表情は、忙しく充実した顔をしていました。

 

繁栄は、人によって基準が変わります。
1万円も稼げれば嬉しい人もいれば、
1億円ぼろ儲けしても嬉しくない人もいるでしょう。
ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカが言っていました。
「人間は人や動物によって幸せになれるが、お金や物では幸せになれない。」
本当にその通りだと思います。

 

お客様の都合ではなく、
自分の都合に合わせて、
自分の好きなように店をやれば、
お客様は減って、店は繁栄せず、寂れ、落ちていくでしょうが、
店が自分の所有であれば、家賃も要らず、
自分達夫婦だけで店を運営すれば、払うべき人件費も要らず、
少ないお客様で、少ない収入であっても
自分の好みで自分の気分のままに、
それでも来てくれる馴染みの客だけ相手にして店をやって生きていくのは、
それはそれで幸せなのでしょう。

 

逆に、お客様のことばかりを考え、
お客様の都合に合わせて、お店づくりをして、
お客様が喜んでくれることをだいいちにして美味しい料理を作り、
一生懸命がんばっていると、
お客様がだんだん増えて、目が回るほど忙しくなって、
それでもがんばっていると
2号店、3号店とビジネスが拡大して、人が増え、
価値観の違う人たちを根気よくつきあって、ある時はねじ伏せて、
際限なく拡大して行くビジネスに気が狂うほど忙しく、
休みもなく使った体はボロボロになり、調子の悪い体をダマシダマシ使って、
終わりの無い繁栄と達成を追い続け、。
いつの間にか何百店ものチェーン店が出来て、
しかしある時、パタリと倒れて、
言い残すこともなく死んで終わるのかもしれない。
そんなサクセスストーリーと、どちらがいいのか。

 

その人の価値感と人生感に寄るのでしょうが、
その価値感が現代は多種多様になっていて、
必ずしも、繁栄を追求する働き方に価値を見出している人ばかりでもないので、
だから、繁栄を追求するような価値観を善しとして、
自分優先の生き方を”落ちる”と決めつけてはいけないのでしょう。

 

人は、幸せの尺度を他人に決められることはないのですから。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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