谷 好通コラム

2014年04月07日(月曜日)

4.07.25年前のターニングポイント

スーパーGTの初優勝には、
たくさんの方からのお祝いをいただき、深く感謝申しあげます。
このレースについての詳細がKeePerレーシングプロジェクトというページに、
http://www.keepercoating.jp/racing/result/
非常にうまく書いてあります。

 

私も書こうと思いましたが、こちらに書いてあることで十分と思いました。
どうぞ、こちらをお読み下さい。
ありがとうございました。

 

 

さて、証券審査部より「アイ・タック技研㈱のターニングポイントは?」
という質問が来たので、私なりに考えて書きました。

 

 

「25年前のターニングポイント」

 

アイ・タツク技研㈱のターニングポイント、転換期と言えば、
ガソリンスタンドとして起業した株式会社タニが、
「石油販売業」から「洗車・コーティング」というサービス業に、
事業を大きく方向転換した頃の事を差すと思います。

 

私は働き始めてから昭和60年8月に起業するまでの15年間、
ほぼすべての期間を石油販売業、いわゆるガソリンスタンドで働きました。
だから、起業も、
ガソリンスタンドの運営です。
もともとガソリンスタンド運営には手馴れていたので、
起業後じきに実績を上げ、経営は極めて順調でした。
そして3年後の頃には、
事業拡大のための2軒目が欲しくなり、新店を作ることにしました。

 

2軒目の適当な土地を探し出し、
ガソリンスタンドを建設しようとしたのですが、
昭和63年当時は「ガソリンスタンドの総量規制」があり、
ガソリンスタンドを建設して開店しても、
ガソリンを販売する事が出来ませんでした。
1軒の廃止スタンドがなければ、新店の1軒が作れなかったのです。

 

この規制はあと1年半後に撤廃されることは判っていましたが、
その間はガソリンスタンドの建物設備が出来てもガソリンの販売は出来ません。
しかし私はその1年間が待てずに、
ガソリンスタンドの建物設備を建設してしまいました。

 

業界新聞で、洗車とカーコーティングで高収益のビジネスを展開し、
そのノウハウと技術を教えてくれる会社があることを知り、
そこで教えてもらった磨きとコーティングの技術に自信を持ったのです。
そして新しく作った2軒目の店舗は、
1年間、ガソリンを売らず洗車とコーティングの販売だけで運営しました。

 

しかしこの1年間は、非常に厳しい経営となりました。
そのころ、一台5万円以上もするそのコーティングは、
一部のマニアックな人が興味を持つだけで
普通の人には無用な特殊な商品だったのです。
数が少ないマニアックな人に、
この店の特殊な商品を告知する為に、莫大な宣伝広告費を使いました。
おかげで2軒目は大赤字です。
それに加えて土地の取得費、建物設備のための借入金の支払いがかさみ、
好調であった1軒目店舗の黒字を食いつぶして余りある支払いです。
ガソリンの販売が解禁になるまでの1年間、
何度も倒産の危機に陥ったこともあります。

 

しかし何とか食いつなぎ、1年後にガソリンの販売が始まると、
いっぺんにお客様が増え、
ガソリンの現金販売の売上げが、資金繰りを一挙に楽にしました。
倒産の危機はとりあえず回避できたのです。
当時はガソリンの口銭が、現在の何倍もあって儲かったのです。

 

たくさん来ているお客様にコーティングの話をたくさしました。
しかしコーティングに興味を持つ人はいましたが、
こだわった「磨き」のキレイさに、数万円の価値を見出す人はごくわずかです。
ガソリン販売のおかげで経営的にはうんと楽になりましたが、
せっかく独自性と収益性を狙ったコーティングでの利益はあまりありません。

 

ガソリンスタンドに来られるお客様は、
給油が目的であり、
車を置いていかなくてはならないような「磨き」を伴ったコーティングは、
ほとんどの人が「今度ね。」と言って、売れませんでした。

 

そこで考えたのが、
ガソリンスタンドのお客様に買っていただくためには、
「待てる時間」で出来上がるコーティング出なければということです。
「待てる時間」とは「洗車+30分」または「45分まで」と考えました。
この「待てる時間」でどこまで車をキレイに出来るか。
ここまで塗装とコーティングについて勉強し身に付けてきた知識と、
技術を総動員して考え、工夫しました。

 

それまでのコーティングの作業で、
一番手間と時間がかかっていたのは「磨き」です。
まずその「磨き」をやめて、
その上で、どこまでキレイに出来るか。

 

車の塗装を磨いて改善し、その上にコーティングする従来の方法から、
磨きをする代わりに、コーティングそのものの作業に
塗装の表面の凸凹を改善する働きを付加する方法。
それは「塗装面改善の方向性」という理論で、
特許として登録され、長い間KeePer製品のバックボーンとなっていました。
この時に作ったのが現在のピュアキーパーの原型です。
この「待てる時間」に出来、
「塗装面改善の方向性」を持ったコーティング、
今のピュアキーパーが、
ガソリンスタンドにぴったりのコーティングとして、
技術研修を伴いながら、全国に普及していきました。

 

後に、ケミカルメーカーとしての研究所を買い取って、
ケミカルメーカーとして新しい歩みが始まったわけです。

 

ガソリンスタンドの経営には、
月間の燃料販売量の仕入れ金額の2倍程度の支払い担保の用意が必要であり、
裸一貫で始めた私の起業の場合、
店舗をどんどん増やして商売の規模を増やしていくには、
土地などの担保を元々持っていないことに、成長の限界がありました。

 

2軒目の店を、1年間だけでもガソリン販売なしで運営したことが、
ガソリンスタンド経営から、洗車やコーティングに、ビジネスを転換できたのは、
担保がないという限界のあった私にとって
自らの可能性を大きく開いたことになり、
この会社、アイ・タック技研㈱がまだ発足していない時点でのことですが、
株式会社タニとして創業時からのターニングポイントと言えます。

 

真面目な話はこれくらいにして、
大好きな写真を1枚だけ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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