谷 好通コラム

2013年09月09日(月曜日)

9.9.ギセイ被膜という考え方 その④ ミネラルの固着

ガラスコーティングの欠点の一つ、
コーティング剤の塗布時に塗装を変質させる悪い性質は、
ガラスコーティング剤の組成を、
有機溶剤を必要とするポリシラザンでなく、
アルコキシオリゴマーを採用する事でクリアしました。

 

もう一つ、ガラスコーティングには最大の弱点があります。
うろこ状の「水シミ」が非常につきやすいということです。
特に黒い車の場合、白く見える「水シミ」が着くと非常に醜くなります。
「雨シミ」「ウォータースポット」とか、色々な言い方がありますが、
我々はその原因が水道水、井戸水であることから「水シミ」と呼んでいます。

 

「水シミ」には、俗説がたくさんあります。
例えば、コーティングの撥水効果で水玉が凸レンズ状態になり、
雨のあと塗装上に残った凸レンズ状態の水玉が、太陽の光を集めて塗装を焼き、その跡が「水しみ」だ、という図解入りの説明をよく見ます。
しかしこれはありそうで、たぶん絶対にない話で、
少なくとも私はこのような現象で焼けた跡を見たことはありません。
塗装の上に残った水は徐々に乾いていくので、焦点が一定ではなく、
塗装を焼くような強い光を一定時間集めることは出来ないはずです。
また、乗っている水玉が塗装を冷やし、
塗装が焼けるような高い温度にまで上がるわけがありません。

 

「水シミ」の原因は、そのほぼすべてが「ミネラルの固着」です。
ミネラルは「水道水」「井戸水」などに多く含まれています。

 

空から降ってきた雨水は、
主に海で蒸発した水が、空で液体にもどって降ってくるものなので、
いわゆる蒸留水であり
黄砂などが混じっていなければ基本的にH2Oそのものです。
雨がそのまま乾いても、何も残りません。(黄砂が混じっていれば別)

 

水道水、井戸水には、
炭酸カルシウム、マグネシウム、ケイ酸塩などの
無機物であるミネラルが、多く溶け込んでいます。
地上に降った雨が、地下に沁みて地下水になったり、長い河川を経て
大地からミネラルをたっぷりと溶け込ませています。
だから井戸水にはミネラルがたっぷりと含まれています。
水道水は、
この川の水が浄水場に流れ着き、
浄化、殺菌されて造られるのですが、
ミネラルは無害であるので浄水場でも取り除きません。
基本的に「水道水」とは「ミネラル水」です。

 

富士山の火山灰である関東ロームの大地は、
東京をはじめとする関東一円に100ppm以上、150ppmに届くような
濃厚なミネラルを含んだ水道水を造っています。
反対に、木曽山系の中部地方の水道水は30ppmぐらいしかありません。
いずれにしても大体どの地方の水道水でも
50~80ppmぐらいのミネラルを含んでいるのが普通です。

 

このミネラルをたっぷり含んだ水道水で「洗車」をしたあと、
水道水が残ったまま乾くと、
ミネラルが残って、はっきりした白い輪状のシミが残ります。
水シミの素です。
この無機物であるミネラルの水シミは、
塗装が有機物なので、ちょっとした洗剤で洗えば落ちてしまうのですが、
塗装にガラスコーティングが施工してあると、
ガラスコーティングは無機物なので、
しかもその表面はかなり凸凹しているので、
ある程度の温度が加わったりすると、ガチンと固着してしまいます。

 

さらに、
一度ミネラルが水シミとして固着してしまうと、
次にまた洗車をした時、
その水シミの輪が「土手」の役割をして、
水道水をその土手の中、あるいはふちに溜めた状態で水だけ蒸発して、
水シミの土手を成長させることになります。
つまり、洗えば洗うほど(いい加減な拭き上げで)、
水シミがくっきりと、ひどく見えてくるという悪い循環になります。
ガラスコーティングを施工してある車は、
こんな悲惨な悪循環を秘めているのです。
今はやりのセルフ連続洗車機で洗った場合、
水を拭き上げない人がたくさんいますが、大変危険です。

 

固着し成長してしまった水シミは非常に頑固で、
その除去には、かなりの塗装部分まで削り取ってしまうような、
大きな労力を要する本格的な研磨作業が必要です。
多くのディーラーさんで下請けとして働く人たちの悩みの種になっています。

 

これを根本的に解決したのが、
ダイヤモンドキーパー、クリスタルキーパーのハイブリッド構造です。
無機であるガラスコーティング被膜を一層目とし、
無機であるが故の、紫外線などへの防護能力を確保しつつ、
二層目に独特の有機の表面を持つレジン被膜で一層目をおおって
二層のハイブリッド構造で造ります。

 

無機物であるガラス皮膜の上に有機の被膜を安定してコーティングするのは、
実は大変に難しいことなのですが、独特の技術でこれを実現しています。
(特許登録PT.5203679)
このハイブリッド構造は製造的に特別な部分があり、まだ多くは書けません。
しかし、
このハイブリッド構造が「水シミ」の固着をシャットアウトする能力は、
第三者機関での厳密なテストで実証されています。

 

ダイヤモンドキーパー、クリスタルキーパーともに、
洗車のあとの水の拭き取りを怠れば、
水道水のミネラルが塗装上に残ります。
水シミのような跡が”付着”します。
しかしこれは固着していないので、簡単に洗い流すことが出来ます。

 

ガラスコーティングが水シミから開放された初めてのことでしょう。

 

 

[水シミエピソード:鈴置君のお父さんの嘆き]
アイ・タック技研㈱常務取締役の鈴置君のお父さんの話です。

 

鈴置君のお父さんは、紺色のアウディA4に乗っています。
大変大切にしていていつも車庫にしまってあります。
雨が降った日に車で外出した時は、
家に帰って車庫に車を入れる前に、必ず、
水道のホースで水道水をボディ全体に掛けて、
雨道でついた泥を流してから車庫に入れるようにしていました。
ところが、
大切な車に白いウコロ状のシミがびっしりと着いてきてしまったのです。
残念ながら、営業であった鈴置君はお父さんの車に
ダイヤモンドキーパーもクリスタルキーパーも
施工してあげていませんでした。
それどころか、ディーラーさんで他のガラスコーティングを、
サービスで受けてしまっていたのです。

 

それにしても、なぜ水シミがびっしりと着いてしまったのか。
原因は、雨の日に「水道水をかけてから車庫に車を入れる」習慣でした。
雨の日の泥は汚いですが、車の塗装に悪影響は何もありません。
しかし、泥を落とす水道水にはミネラルがたっぷりで、
泥を流すために掛けられた水道水は拭き上げられることもなく、
掛けられていたガラスコーティングの上に、
たっぷりのミネラル分を残したのです。
それで、びっしりの水シミが着いてしまったわけです。

 

反省した鈴置君は、
お父さんの車を、キッチリと磨いて、頑固な水シミを研磨で削り取って、
ダイヤモンドキーパーを施工してあげた・・・かどうか知りません。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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