谷 好通コラム

2013年05月06日(月曜日)

5.6.上り坂の時こそ、緩みをすかさず潰す

関東、東北、北海道の東日本が絶好調と書きました。
その好調の要因はこれからしっかりと把握していかねばなりませんが、
調子が上り坂のこんな時こそ、
注意しなければならないことがあります。
思わぬ部分にいい加減さが発生してしまうことがあるのです。

 

たとえば、一番良くないケースでは
自分達の店舗の実績がすごく良いばかりに
慢心して自らの技術を省みることなく、
いい加減な施行を繰返し、品質を落とし、
お客様の信頼を失ったり、ひんしゅくを買ったりすると、
リピートしないという方法で、お客様が逃げて、
比較的短い期間に繁盛店から閑散店に転落します。

 

これは外食産業の店で特によくあることで、
繁盛店になると、繁盛しているのを当たり前に思い、
いい加減な手抜き料理でお客様に出す味を落とすと、
評判をみるみる落として、意外なほど簡単に潰れます。

 

店舗が繁盛しているのは、
ある意味、非常に危険な状態でもあることを忘れてはなりません。
繁盛店では、店舗のみんなが、
つい、お客様が来てくれることを当たり前と思うようになる危険があります。
自分達の商品を買っていただくことを、当たり前と思う危険があります。

 

極端な話ですが、
店舗の忙しさがずっと続くと、
感謝するどころか、
お客様のご来店を「くそ忙しいのに、また客が来た。」なんて、
お客様を邪魔と感じる者まで現れることがあります。

 

でも、これはあくまでも極端な話であって、
こんなことは滅多にはありません。
なぜならば、
その店舗が繁盛店になったのには、
繁盛店になるだけの理由があったはずで、
お客様をキチンと満足させる商品と、接客と、感謝であったはずだからです。
それがキチンと実践されているから繁盛したのです。
だから、繁盛店になった店は、
そのままでずっと繁盛店であり続けるのが普通なのです。

 

でも、どこかで、
繁盛店であることに甘えが出て、
色々な部分に、みんなが見逃してしまうような“いい加減さ”が、
危険な兆候として、
ふいに現れることがあります。
それは品質の低下という直接的なことではなく、
品質とは関係ない、間接的であり些細なところに出るものです。

 

特に上り坂にあって調子のいい時は、
そんな兆候を、
“些細なこと”として、
みんなで見て見ぬフリをしてしまいがちなのですが、
そこをあえて正し、
それが些細なことである内に潰すことも時には必要です。

 

私も何度も何度もありました。
たとえば、
何か大きな成果をみんなで成し遂げた時、
不意にそこに何かいい加減さが発生していることを見つけたら、
「今、ここで、それを言い出さなくても・・」と言われながらも、
時と場所を選ばず、すかさず、そのいい加減さを潰しにかかりました。
そのいい加減さが、
実害を伴わない程度の、
どちらでもいいような些細なものであるうちに、潰します。

 

成長し、上り坂であるからこそ、しなければならない行為です。
いってみれば、経営者の仕事とは、
成長戦略の実践と、
膨張する事から自然に生まれる“緩み”を潰すという、
一見すると、相反するような仕事の反復作業なのかもしれません。

 

しかし、
私も現場育ちの人間です。
だから、
その上り坂を実現するために、
現場の仕事がどれほど大変であるかをよく知っているつもりです。
その上り坂が、急であればあるほど、
その現場は過酷であるとさえ言えます。よく分かっているつもりです。
だから、
ひょっとしたら、
その過酷さを乗り越えて造った成果を、
根こそぎ否定してしまうかのように見える
「“いい加減さ”や“緩み”を、すかさず潰す行為」は、
造り上げられた成果が大きければ大きい分だけ、
その現場の過酷さと心情を思うと、とてもつらく思えることがあります。
ここまでせねばならないとかと、とてもつらく思えることがあります。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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