谷 好通コラム

2012年03月25日(日曜日)

キーパーラボの最初の一年は“暇”です。

キーパーラボを、今年一年間、
精力的に新規出店していく方針がある。
二月に愛知県大府市にテクニカル店が出来て、
四月には埼玉県に浦和美園店(建設中)。
ここまでは確定。
六月には横浜に1軒(交渉中)、
10月から11月にかけて埼玉県の草加店(確認申請直前)
大阪の宝塚店。(交渉中)
ここまではたぶん実現するだろう。
今年は、今のところ計5軒が立て続けに新規出店される。

 

加えて、新規物件候補が月に複数件検討されつつあるので、
予定している年内8軒の新規出店の計画は本当に実現しそうな勢いである。
これは昨年の秋口に、新規物件開発専門のために、
大ベテランの人が精力的に動いてくれた結果であって、本当に良かったと思っている。

 

しかしキーパーラボを一軒立ち上げるには、それなりの投資が必要だ。
物権を確保するのに敷金とか保証金とかで平均300万円はかかる。
これは経費処理が出来ないものがほとんどである。
建設費は更地からだと最低3,000万円、
最高で4,500万円、平均で3,700万円くらいか。

 

あるいは居抜き物件で、
すでにある建物を改装するだけならば投資は少なくなるが、
それでも平均2,000万円。(設備機器込み)はかかる。
ここの部分は、いずれも二十年位の償却資産になるが、
この会社は定率償却を採用しているので、
最初の数年はかなりの償却費用がかかるが、
それでも損益計算書(PL)にドカンと影響するものではない。
しかしバランスシート(BS)にはズシンと来て、
キャッシュフローにはダイレクトに響いてくる。
さらに、店舗立ち上げに要する先行人件費や、備品、初期広告費で
400万円近くは勘定に入れなければならない。

 

しかし決定的に大きいのは、
開店直後からの赤字期間だ。
徐々にリピート客が蓄積して採算ベースに乗るまでには
ある程度の期間が必要となり、
それまでは多かれ少なかれ赤字運営の期間が発生する。

 

立地が良く、視認性が良くて通りがかりのお客様が入りやすい店舗と、
立地的に恵まれず新規顧客をほぼインターネットに頼らなくてはならない店舗では、
その赤字期間から脱するまでのスピードが大きく変わるが、
いずれにしても、オープンと同時に黒字運営が出来ることはほとんど無い。

 

採算ベースに乗るのが速い店舗で、半年。
遅い店舗だと1年以上もかかることもある。
いずれにしてもこの期間の運営赤字が、
新規出店の一番大きな負担になることは間違いない。
赤字運営の期間をどう短くできるか、あるいはその損失金額をどう少なくするのかが、
キーパーラボ店の連続的な新規出店が、
どんなペースで出来るかどうかの大きな決定要素になる。

 

立地が良くても、それ分だけ地代が高ければ、採算点も高くなるので、
一概に立地が良ければすべてが良い訳ではないが、
地代以外の費用は、立地の良し悪しに関わらず同じようにかかるので、
やはり、立地が良い店舗の方が概して採算ベースに乗るのが早い。

 

キーパーラボのような「カーコーティングと手洗い洗車」の専門店は、
まだまだ日本の風土の中に定着していないので、
「あっ、新しいラーメン屋が出来た」みたいな訳には行かないのだ。
店舗を出来るだけ解りやすいように、
入り易やすいように設計しても、
やはり一般のユーザーには「何の店なのか良く分からない。」が普通であり、
興味はあっても来店されるのを躊躇することになる。
「解らない。」は、意外と壁が高い。

 

そんな時にはインターネットが役に立つ。
その店に入らなくてもある程度の情報を知ることができるから。
何か調べるのにインターネットを使うことがだんだん一般的になってきて、
そのおかげで、視認性において立地が悪い店舗でも
それなりの来店が得られるようになった。
その典型がキーパーラボ板橋店で、
東京23区内の板橋区にあるが、
そこはとても入り込んだ場所にあって、視認性においてはゼロに近い。
NAVIがなければ、とてもたどり着けない場所にある。
それでも、キーパーラボ売上げランキングでは常にトップ2,3位にいるのは
来店動機の80%まではインターネットからの新規来店であるからだろう。

 

しかし、そのメリットは、
インターネットを遣っている人口が圧倒的に多い関東に限られる。
率の問題ではなく絶対的な数の問題で、関東ではその数がやはり圧倒的なのだ。

 

一度来てもらえば、そのお客様がリピーターになっていただくのは、
店舗によってある程度の差はあるが、かなりの自信はある。
インターネットから来られたお客様のお目当ては、
やはり「クリスタルキーパー」が多いので、
その性能の高さ、良さはほとんどの人に分かっていただけるからだ。

 

リピートのお客様が増えてきて、
総来店台数が増えるまでは、
本当にお客様が来るのだろうか、と心配になるほどお客様の数が少ないのは、
今まで39店舗の新店を開いてきた共通の悩みである。

 

新店の店長は、この暇な期間を、
どう、きちんと緊張感を持ち続けて、
新規のお客様に「来て良かった」と思っていただけるかが、大切な仕事となる。
お客様が少ないということは実に精神的につらいことなので、
新店の店長によく言う。
「キーパーラボみたいな店は、他に無いのだから、
誰も、この店がなんなのかよく解らないのは当然だ。
最初は本当に暇だぞ。それが当たり前だから、少ないお客様を精一杯歓迎しなさい。」

 

この暇な時期に「また来たい。これからはココに来よう。」と、
いかにお客様にそう思っていただけるかが新店の勝負なのだ。

 

キーパーラボのオープンから1年間は、本当に暇なのです。

 

 

三月の初めから建設が始まった「キーパーラボ浦和美園店」。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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