谷 好通コラム

2012年03月05日(月曜日)

2990. 限定された時間、やってはいけない事

この会社では、
「やるか」、「やらないか」の何らかの選択があれば、
どんなに迷ったとしても、
たいていの場合「やる」という結論が出るのが当たり前だった。

 

どんなことをやろうとする時でも
「やれない理由」はいくらでも出てくるが、だから「やらない。」とはならない。
「やれない理由」があればあるほど、
「どうすればやれるか」を一生懸命考えると、
自然に「やれるかもしれない。」となって、
だったら「やってみようか。」になって、
結局、「やる。」ということになってしまうのだ。

 

そんなことの繰返しで、何でもやってきたような気がする。
最初、やれないと思った事でも、やれるようになった事がいっぱいあって、
それが実現力の拡大につながったし、
もちろん失敗もいっぱいして、
その失敗からも多くの事を学習した。
学習する事で、やれることの範囲がまた一段と拡がったりすることもある。

 

しかし、「やってはいけない理由。」という要素もある。
それが「時間」だ。
「時間」だけは限られたもので、
時間そのものを増やす訳には行かない。
効率を上げることで、
一定の時間の中でやれる事を増やすことはある程度出来るが、
その時間の中で物理的にやれない事は、
すなわち「やってはいけない事」になる。

 

しかし、それに気が付いた時には、もう時間切れ寸前になっていて、
なぜ事前に、それが「やってはいけない事」であったことに気がつかなかったのか、
後悔し反省する事がある。

 

人間の人生も同じだ。
生きていて元気なうちは、無限に時間があるような錯覚を持つが、
年齢を重ねて、体力が減っていく中で、
自分に与えられた残りの時間に限界があることをヒシヒシと感じ始める。
そして、時間に限界があるからやってはいけない事が増えている事に愕然とする。
あの時、あれをやっておけば、もっと出来たのに、
もう今からやり始めても遅い。そんな風に思うことが多くなる。

 

だからこそ、時間に限界があることを前提とした計画を敷かなければならない。
いつまでもあるとつい思ってしまう時間が、
実は限られていることを気づいた時こそ、
使える時間を最大限に活かすべく綿密かつ大胆な計画を立て、
断固たる実現力をもって計画を実行すべき時なのだ。

 

しかし、
やれない事→やれない理由と戦い→やれるかもしれない→やりたい→やる。
こんな方程式を繰り返して、
やれる事が拡大してしまった後だと、
限られた時間の中でやってはいけない事が出来てきても、
つい、もうちょっとだけやる事を拡大してもいいのではないか、
という誘惑を振り払うのが難しくなる。

 

考えどころである。
問題は、それが誰の為か。ということで、それが自分の為ならば、
やはりやってはいけない事なのだと思う。
それが自分の為だけならば、
自分の限られた時間の中でやれなかった時、
時間切れの後、それを誰も背負ってくれないから。

 

 

昨日の花が咲いていない梅まつりの中で、
たった一本だけ五分咲きに咲いていた白梅があった。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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