谷 好通コラム

2012年02月18日(土曜日)

2976.松本からの帰りは吹雪。分からないものだ。

まだ分かっていない。と、もう分かってしまった。は、
正反対の結果を出すほどの違いがある。

 

たとえば、
何かを実現する能力があるとして、
その能力の上限が100とすると、
たとえば現時点で、自分が50の能力を身に付けている場合、
その時点を「まだ50だから、まだまだ分かっていない。」と認識するか、
「もう50だから、もうほぼ分かっている。」と認識するかの違いである。
ほんのちょっとの違いだが、その結果は180度違うことになる。

 

つまり、
「まだ50だから、まだまだ分かっていない。」と認識する人は、
自分の能力を60とすることを目指し、70の能力のある自分を目指して、
もっと知ろうとするし、もっと学ぼうという姿勢を持ち続け、
今の自分の足りない部分を補強しようと貪欲になる。
だから、その人を取り巻く人は、
その人の意欲に答えて上げようとして、
その人に新しい知識や経験、見識を提供して、教えてくれる。

 

また、その人は今持っている能力をもいまだ不確定のものとして
新しい知識や経験、見識を素直に受け入れ、今持っているものを容易に否定しうる。
だから、いずれその人の能力が60、70になり、いつか100に近づくこともありうる。

 

周囲の人だって
「まだ自分は知らないことが多い。」と言われれば、
誰だって自分の知っていることを教えてあげようとするものだ。
進化できる人とは、
「まだ50だから、まだまだ分かっていない。」と認識できる人だけ。

 

しかし、
「もう50の能力があるから、もうほぼ分かっている。」と認識する人は、
自分はもう分かっていて、出来る人間として認識しているで、
他の人は、その人に新しい知識や経験、見識を提供しようとはしない。
なぜならば、
新しい知識や経験、見識が提供しても、
その人は50の能力のうちでそれを判断し、
自分の今もっている知識、経験、見識を否定できず、
提供されたものを受け入れることもなく
多くの場合、自己主張に転じ、
自らの持っているものを否定しようとするものと戦ってしまうから、
提供した人は、その人と戦う目的ではないので、提供をやめてしまうから。

 

すると、その人は新しい知識や経験、見識を得ることがなくなってしまうので、
逆に、自らの今の50の能力でこれがすべてだ、十分と、いよいよ思い込み、
「もう50の能力があるから、もうほぼ分かっている。」という認識から進んで、
「自分はもう分かってしまった。100の能力を持っている。」という勘違いに
発展してしまう。
その人はその時点で、60,70の能力を持つ進化はほぼなくなり、
100の能力を身に付ける可能性を完全に失った。

 

しかも、
その人は、自分を出来る人間として世間に紹介してしまうので、
世間はその人を本当に100の能力を持っている人と誤認し、
その人の言うことを信用してしまうので、
50の能力で考え判断したとは思わずに、
100の能力を持った人の出した判断と勘違いして、
投資をし、事業を進めることになる。
しかしあくまでも50の能力から出した判断なので、
多くの場合、その事業はうまく行かず、投資も失敗する。

 

もっと悪いことに、
その人の所属している会社が100に近い能力を持っている場合、
その人が「私は出来る」と言う言動は、
会社が持っている能力が、その人に備わっていると取引先に誤認され
その人の言動に従った取引先の投資や事業が生み出した結果が、かんばしくなければ、
その結果に対する責任は、その会社にあると取引先は考えるのは当然で、
その会社に責を求め、結果、その会社は
一番大切な”信用”をも失墜させることがあることだ。

 

始末が悪いのは、
その失敗の要因が、その人の
「もう50の能力があるから、もうほぼ分かっている。」という間違った認識が
事の発端であることに、その人が気が付かないことが多いことだ。
これは多い。本当に多い。
これを「もう分かってしまった病」と呼ぶが、
優秀な人にかえって多いのは、いつも不思議に思う。

 

会社の発展とはその病気「もう分かってしまった病」との戦いと言ってもいい。

 

会社が進化し発展するには、
それを構成する人たちの進化と発展がぜひ必要だが、
進化の中途でもう分かってしまうと、進化と発展が止まってしまうので、
会社も発展できなくなる。

 

いかに、みんなまだ分かっていない事がいっぱいあり、
知らない事だらけで、出来ない事がいっぱいあることを認識して、
学び、成長し、進化して、発展できる可能性を持ち続け、
能力をどこまでも高められれば、会社も、個人も、家族もすべてが発展し続けられる。

 

新しい経験と、知識と、見識を目いっぱい自分が受け入れられるように、
自分が今持っている経験と知識と見識を
いつも、自らの気付きで否定できる力を持ち続けるべきなのだろう。

 

 

昨日、キーパープロショップ研修会を行なうために長野県松本市に行ったが、
中央道で行く時には、道路にも、松本の町にも、まったく雪がなくて、
意外であったと書いた。
しかし、研修会が終わってからの帰りは、しっかりと雪に降られ、
日が暮れてからはしっかり吹雪です。

 

分からないものですね。

 

 

行きはこんなに晴れていたのに、

 

 

帰りの高速に乗ったら、朝とは打って変わって雪景色に。

 

 

吹雪です。雪がすごかったのです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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