谷 好通コラム

2011年10月22日(土曜日)

2897.危機管理のセオリーは「叱らない」のです

一昨日、名古屋から福島に行って
福島・会津磐梯でキーパープロショップ研修会を行い、
終わったら、そのまま東京に行って泊まり、
昨日は朝の内に千葉市で仕事をした後、昼には名古屋に戻って一つ仕事をして、
その夕、飛行機に乗って今度は札幌にやってきました。
今は、そのホテルで朝を迎えました。
今日は札幌での仕事をした後、午後3時半の飛行機で名古屋に戻り、
本社で二つの仕事が待っています。
なんともはや激しい移動ですが、こんなペースの時期がやってきたということです。

 

毎年10月から11月は、ものすごいスケジュールになるのです。
キーパープロショップの研修会もあるのですが、
この季節の変わり目でお亡くなりになる方もあって、
お葬式の類がぐっと増えるのです。
私はたいていのことは二週間前にはおおよその予定を立てるのですが、
こればかりは、予定を立てるわけにも行かず、突然やってきて、
前後の予定を大幅に変更することになることもたびたびです。

 

加えて、予期せずにやってくるのが事故です。これも突然やってきます。

 

会社の経営に危機管理は不可欠です。
仕事をしていれば人が動いている以上、
事故やトラブルがゼロであることは不可能であり、
それが、会社全体に大きな損失に結びついたり、
信用を損ねたりしないように事態を無用に拡大させず、
また再発をどう防ぐのかが「危機管理」ということです。

 

そのためにトラブルが起きた時のために
綿密な行動マニュアルを作成する事も必要でしょう。
しかし、もっと大切なことがあります。

 

危機が発生した時、一刻も速く、
その発生が、情報として、トップにまで届くことです。
もちろんその間に担当部署の責任者への連絡はあるはずです。
もし、スタッフが問題の発生に直面しても、
その部署の責任者に報告や連絡、相談がされないことがあったとしたら、
それは問題外ですが、
何か問題があった時、
スタッフから部署責任者にまでは報告・連絡・相談が届いても、
その情報が、そこの責任者でストップして、
それがトラブルにまで発展する事を防げない場合があります。
あるいは、その問題をいち早く解決できる他の部署にまで
情報が届かないことがあります。
自分の部署では解決できない事でも
他の部署に情報さえ届いていれば全く問題なく解決できたはずの事が、
問題が発生した部署長が「自分たちで何とかなる。」と一人合点に判断して、
その情報を部署内にとどめてしまうと、
適切な処置が出来ず、それがトラブルとなって手に負えなくなることがあります。

 

この場合、
「自分たちに処置できないような問題が発生した場合は、その上部に報告をする。」
というルールを徹底すれば良さそうですが、これではダメなのです。

 

問題が重大化したのは、
その問題が自分たちの手には負えない問題であることを
その部署長が判断できなかった訳であって、
「自分たちに処置できないような問題が発生した場合は・・・・」
というルールでは、片手落ちなのです。

 

だから、
何らかの問題が発生したら、
あるいは問題になる可能性がある事柄があったら、
例外なく、トップ“にまで”情報として常に届く仕組みが必要なのです。
トップに報告ではなく、
“トップ含んだ上部組織にまで”という意味です。

 

その問題が、どこの部署が解決できる問題であるのか、
それは多分、その部署の上の組織か、
それを解決できる能力を持った他の部署にしか分からないので、
情報が自分の部署を横断するだけでなく、
会社の横と縦の組織を網羅する形で届く必要があります。
そうしないと、
あらゆる危機、あらゆる問題の発生に対処できません。

 

会社に属しているたくさんの人たちの生活と安全、
あるいはその会社に影響を受けるあらゆる人に対しての責任として、
常に開かれた情報として共有することが、絶対的に必要なことと言えます。

 

しかし、情報を開かれた共有にすることを阻害する大きな要因は、
実は、一人一人の中にあります。
「これくらい大丈夫だろう。」という
事の重大さに気が付かない軽い気持ちの中にあるのです。

 

あるいは、「叱られたくない。」「恥をかきたくない。」「自分が情けない。」
という、マイナスの感情の中にもあります。
「叱られたくない」は、どんな人でも子供の時から持っているものです。
だから、危機管理の観点としては
会社として、誰からどんな報告を受けても、
とりあえず「叱らない。」ことが重要なのだそうです。
問題を報告すると叱られるから、
叱られるのがいやで、
報告も相談もしないなんて子供じみていると馬鹿にせず、
とりあえず「叱らない。」を徹底することが、
危機管理では大切なことだと言います。
誰でも、何でも報告、連絡、相談できる風土を、会社に造ることが、
危機管理の唯一の解決方法であると、本には書いてあるそうです。
簡単にできそうでなかなかできないことです。

 

自省すべきことなのでしょう。
それが何であれ、「𠮟ってはいけない」のです。

 

札幌は思ったより寒くなく、
午前中の気温で17℃。
それでも、山のほうから始った紅葉が、町の中にまでやってきていました。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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