谷 好通コラム

2011年09月09日(金曜日)

2864.みんなが知っていること、堂々と発信すること

先日、連れ合いの妹夫婦が来てくれたので、
私も少しだけでも歓迎しようと思って高山に行きました。
しかし残念ながら私はあまり時間が無かったので、
「高山陣屋」という昔の史跡を一緒に見物しただけで、
私だけ高山線の電車で名古屋に帰ることになり、これを書いたのはその電車の中です。

 

高山は四周を山と峡谷で囲まれ、その面積の95%が森林です。
奈良・平安時代から「飛騨の匠」として名工が
奈良・京都に多くの寺院仏閣を造りだしています。(観光案内より)
また飛騨高山は金・銀・銅を産出する地として江戸時代には幕府直轄の幕府領として、
明治時代には天皇直轄の天領として、多くの富を輩出し繁栄していました。
しかしそれはもちろん一部の富であって、
多くの民衆は厳しい年貢に苦しい生活を強いられ、
何度にも渡る暴動と一揆があったようです。
また女優・大竹しのぶがまだ十代の頃に主演した映画「女工哀史」にあるように
富国強兵の国策の下、悲しい歴史も持っています。
(ウィキペディア調べ)

 

私か観光客として見た飛騨高山の支配拠点「高山陣屋」に
ショッキングな展示がありました。
陣屋の入口の左側に「罪人」を取調べする「お白州」という場所があり
そこには「抱かせ石」という拷問の道具が置いてあったのです。
「罪人」と言っても、
お白州に引き出されたその罪人が、
本当に罪を犯した犯人なのかどうかは分かりません。
それを取り調べるのがお白州としいう取調べの場所であり、
その取調べの結果、本物の犯人と判って初めて罪人になるわけですから。
現代ならば、この時点では罪人ではなく容疑者ということです。

 

抱かせ石とは昔の拷問の一種で、
取り調べる罪人(と言うこと自体がおかしい)が、
罪状を認めない場合とか、
共犯者などを言わないと、
三角の木を5・6本横に並べた所へ正座させます。
三角のとがった部分がスネに食い込み、それだけで十分すぎる苦痛を与えるのですが、
それでも「白状」しない場合、
三角の木の上に正座した膝の上に1枚40kgもある石の板を抱かせる拷問です。
三角の木が足のスネに食い込むその苦痛は想像を絶します。
白状しなければその石の板を何枚も重ね、
80kg、120kg、160kgの石はついにはスネの骨を砕いたのでしょう。
もし、たとえば
その人が、
誰かの陰謀で「冤罪」を被せられた無実の者であっても、
石を抱かせられれば、
嘘でも「私がやりました。」と白状せざるを得なかったでしょう。
また、もしたとえばその人が
本当に犯人であったとして、
その犯罪が共犯のない単独犯の犯罪であっても、
「共犯者の名前を言え」と石を抱かせられたら、
ありもしない共犯者として、適当に誰かの名前を言わずはいられなかったでしょう。
そして、
何の根拠もなしに白状された哀れな共犯者もまた、石を抱されたのでしょう。

 

頭が痛くなってくるような不条理です。

 

それは、太古の昔からあり、原始的かつ非論理的であり、不条理な犯罪行為です。
しかし、ここでは、
たまたま高山にそれが展示してあったので、
こんな話になってしまいましたが、
それは陣屋においては実際に使われたものではなく、
珍しいものとして展示してあっただけかもしれません。
しかしそういう類のこと自体は、日本国中どこでも、
世界中のどこでも大昔から行なわれてきた不条理であります。
そして現代でも、
軍事国家とか独裁者の国家、あるいは戦争の場では、
今なお、行なわれている非人間的行為です。

 

しかし考えてみると
日本から拷問が無くなったのは、
第二次世界大戦で日本が敗戦してからのたった数十年だけのことです。
それまでは、ずっと合法だったのです。
戦争中、小林多喜二が拷問によって獄死した話は有名です。
過去においては権力による支配構造が、
「恐怖」によって維持されていたことの表れだったのでしょう。

 

しかし、そんな不幸な時代に、
少なくとも日本などが逆戻りすることはないと希望的に思っています。
それは、インターネットがもっと進み、
あらゆる情報が世界中で共有されるよう進むからです。
一部の権力者や支配者の都合だけの不条理な論理は、
圧倒的に多くの人の知るところでは、
その不条理性をあらゆる詭弁をもってしても正義とし続けることが難しいからです。
みんなが知っていることが大切なことなのだと思います。

 

しかしインターネットもその匿名性によって
悪意を持ったエゴの犯罪がまかり通っている一面もありますが、
その匿名性も実はかなり崩れてきていて、
よほど匿名性を保持する仕掛けをしないと、
IPアドレスの解析などで発信元がほぼ分かるようになってきています。
みんながこそこそせずに、堂々と発言することも、
みんなが知っていることと同じように、
みんなが平和に生きるために大切なことだと思います。

 

みんなが正々堂々と情報を発信し、
みんなが知り、みんなが語り合えるようになると、
きっとあらゆる陰湿な不条理が化石となって、
本物の平和がやってくるのだと思っています。

 

高山でほんの少しだけ観光をしたら、
とてもショッキングな展示を見てしまって、
高山⇒名古屋の2時間半の何もすることの無い時間があり、
つい、色々な事を考え、書いてしまいました。

 

 

この話は四日前に書きましたが、
内容があまりにもシリアスでありアップするのをためらっていたのですが、
色々考えて、上げることにしました。

 

今は、韓国に行くために羽田空港へ向かっています。
畠中君と同行で、
また1泊1.5日の韓国出張です。
韓国は何十年か前は独裁国家で、言論の自由がなかった国です。
ところが、インターネットが普及して
国民のみんなが世界中の本当のことを知った時、
一挙に民主化が進み、それと同時に経済が一挙に発展した歴史があります。
そのことについて、9年前に書いたことがあります。
http://blog.sensya.com/president/index.php?ID=1557&ym=2002.08

 

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    代表取締役会長兼CEO

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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