谷 好通コラム

2011年05月05日(木曜日)

2779. 「えっ、ここで研修するの?」

新しい東京トレーニングセンターがやっと完成した。
正確に言えば休憩スペースのエアコンがまだ着いていないので、
98%の完成であるが、それを知らなければ100%の完成である。

 

 

初代の東京営業所ができたのは11年前のことだ。
アイ・タック技研が全国展開を始めて多分2年後くらい。

 

初代東京営業所は錦糸町の南側方向に10分ほど歩いた所にあり、
車がやっと2台入るだけトレーニングスペースと
10人程度が座れる小さな教室だけの営業所を兼ねた小さな材木屋跡の建物だった。
錦糸町の南側と言えば周りは風俗店が多く、
研修所的環境とはとても言えない場所。

 

しかし、
「ボロは着てても、心は錦」の言葉どおり、
ぱっと見た目は最低であっても、
教室内も即席で造ったような粗末なものであっても
とても研修所とは言えないような環境と設備であっても、
みんなフロンティア精神に溢れ、まったく惨めさなどなく意気軒昂であった。

 

しかもこの錦糸町の東京営業所兼トレセンでは
毎週KeePerの研修会があり、けっこう賑やかであった。

 

 

しかし、ある時、
キーパーコーティングの研修会で、
朝、その日の研修会に備えて私はちょっと早めに教室で準備をしていた。
そこへ、研修会に参加する何処かのSSさんのスタッフさんが一人来て、
ギリギリ4台並べてあった机の一つに座り、
「えっ、ここで研修、するの?」というような表情で、
教室内を見渡し、
意を決したように、私に言った。
「すいません。急用が出来ちゃったもんですから、帰ります。すいません。」
と言いながら、そのスタッフさんは、
逃げるように帰って行ってしまった。

 

そばにいた東京営業所スタッフに
「あの人、帰っちゃったけど、こういうことってよくあるの?」と聞いたら、
スタッフは「そうしょっちゅうじゃないけど、います。」と答えた。

 

あ、これはもうだめだな。
私達にとっては、ボロは着てても心は錦かもしれないが、
ここで研修を受ける人の気持ちになってみれば、
こんな情けないような建物の中で研修を受けるのは、
自分が惨めに感じるのかもしれない。
きっとそう思ったから、あの人は帰って行ってしまったのだろう。

 

このままではいけないと強く思って、
新しいトレセンを探した。
東京に初代トレセンを開所してから三年ほど経ったころだ。

 

次のトレセン、二代目トレセンは新小岩の住宅地の中にあって、
元印刷工場が入っていた大きな倉庫であり、
30人くらいが座れる教室と、
6つの机を並べた営業所の部屋を倉庫内に作っても、
トレーニングスペースには車が5台、無理すれば6台入る倉庫で、
初代トレセンの数倍の大きさであった。
倉庫の前には6台分の駐車場まである。
当然、家賃も三倍以上であり、当時としてはかなり無理した投資であった。

 

もちろん、
それからは
「えっ、ここで研修、するの?」
「すいません。急用が出来ちゃったもんですから、帰ります。すいません。」と、
研修を受けずに帰ってしまう参加者はいなくなった。

 

 

住宅地のど真ん中にあるこの二代目東京トレセン兼東京営業所は
8年以上使っただろうか。

 

しかし途中で徐々に営業スタッフが増えてきて、
座る場所すらなくなってきたので、二年前、
「東京本部」として墨田区本所に小さなビルを借り一定のスタッフを移動した。
この本所の東京本部は「隅田川花火大会」のど真ん前に位置していて、
四階建ての屋上からど迫力の花火を見ることができ、
すごくいい場所にあった。

 

しかし、トレセン兼営業所と本部が離れて存在していたのは、
ひどく非効率であり、
みんな本部をあまり利用しなくなってしまい、
やがて本部は本部の意味を失ってきていた。

 

そこで今回の、
東京トレーニングセンター、東京本部、東京営業所、キーパーラボ運営部、
この四つの要素を統合し、新しい設備に移動したわけだ。
(略して「新・東京トレセン」)

 

場所は二代目東京トレセンから約1km北に離れた平和通沿いにある。
一番近い駅は二代目と同じく「JR新小岩駅」。
JR新小岩駅から歩くと20分以上、ひょっとすると30分はかかるので、
ぜひお車で来られることをお勧めする。

 

今度の新・東京トレセンは
元トヨタカローラのカーディーラーの店舗であるので、
ガラス張りのショールームが大きく、見た目、すごくカッコよくなった。

 

 

ショールーム内に壁を仕切って40人入れる大教室と、10人の小教室にした。

 

空いたスペースには休憩スペースと、喫煙スペースを配置。

 

 

トレーニングスペースは10台の車を余裕をもって入れることが出来る。
写真ではぎっしりに見えるが、実際はかなり余裕がある。

 

 

二階には12台の事務机と、6人用の会議室があり
その隣にマル秘の研究所設備がある。
トレセンスペースの前には10台分の駐車場まである。

 

今回の新・東京トレセン。
ちょっとカッコ良くなりすぎたかもしれない。
しかし、それでも、
「えっ、ここで研修、するの?」
「すいません。急用が出来ちゃったもんですから、帰ります。すいません。」
の言葉から約9年。
研修を受けていただく皆さんに、
気持ち良く、気分良く、プライドを持ってトレーニングに集中してもらえれば、
造った甲斐がある。

 

しかし、この新しい東京トレセンはずいぶん大きくなって、
かっこ良くなったが、その賃料は、
従来の二代目東京トレセンと東京本部の二軒合計の家賃よりも、ずいぶん安い。

 

とは言っても、
今度はカッコが良くなっても
「ボロは着てても、心は錦」から、
「カッコばっかりで、中身はボロ」にならぬよう、
自省し、謙虚に、自身が常に学ぶ心をしっかりと持ち続けなければならない。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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