谷 好通コラム

2011年04月16日(土曜日)

2765-1.上海、小兪の結婚式に行く

ANAの飛行機で上海に向かって飛んでいる。
中国におけるキーパーの代理店は上海にある日東さん。頼さんが社長の会社である。
そこで営業と管理を担当している兪さんの結婚式に出席する。

 

中国では若い女性の名前に「小・・」を付けて「・・ちゃん」という意味になる。
だから兪さんを、中国で親しみを込めて言うと「小兪」となる。

 

小兪と初めて知り合ったのは、もう10年近く前のことだ。
私達が中国マーケットに進出を決めて上海で色々な縁を求めていた頃、
上海のある実力者と縁があった。
彼は上海政府の高官と強いコネクションを持っていて、
英語もペラペラ。エリートの一人らしい。
その彼が上海市内に「快洗隊 上海店」を作った。
私達も立ち上げにはかなり協力をした。
スタッフの何人かが日本のトレセンで研修を受けたし、
また、日本の快洗隊のスタッフも上海にかなりの期間滞在してトレーニングをした。
この快洗隊 上海店のスタッフの中に小兪がいたのだ、
10人近くの男性の中に、女性は小兪ただ一人。

 

上海においても快洗隊の名前で営業するからには
トレーニングは日本で行なうのと一緒で決して楽な研修ではない。
その上で上海の快洗隊はオープンしたのだが、
男性の中に混じって小兪は動きが良く、格別に洗車がうまかったことを憶えている。
ちょっとボーイッシュな感じだが、明らかに表情は優しく女性らしさがある。
一言で言えば、めちゃカッコ良かった。

 

しかし、その上海の快洗隊は1年余で会社が潰れてしまった。
会社の経営者である政府高官との強いコネクションを持っていた彼が、
どういうことか全く解らないが、消息を絶ってしまったのだ。
何かがあって追放されたらしい。
そもそも、彼が何故強い立場であったのか、何故強い力を持っていたのか。
日本の商社が間に入っていたのでよく分からないまま付き合ってきたのだが、
結局、解らずじまいであった。もちろん売り掛けの焦げ付きも無い。

 

その頃、アイ・タック技研は上海に正式に事務所を持っていた。
と言っても中国でのお客様は頼さん日東さんだけになってしまったが、
精力的に中国全土を自力で営業すべく活動を始めた。
その時、アイ・タック技研㈱上海事務所の社員として小兪を招いた。
技術的にも優れていて、忍耐強く、
上海事務所の大きな力になってくれた。

 

しかし、中国での自力の活動はなかなか成果が出なかった。
事務所の上海在住日本人の責任者からは
活発に営業活動をしていると報告を受けていたし、
上海事務所に行くと事務員さんがパソコンとにらめっこで何か仕事をしている。
しかし、
売り上げは無かった。
日本からも何十回となく応援に行ったし、
仕事も忙しいらしく、電話もしょっちゅうかかっていたが、
どういう訳か解らないが、売り上げはゼロに近かった。
頼さんの店が使ってくれる売り上げだけがコンスタントにあっただけで、
あとは、ほぼなかった。
キーパーは売れずに、経費だけがとめどもなく出た。
中国在住の日本人責任者もいつの間にか辞めた。
おまけに北京に快洗隊のコピー「快”潔”隊」なるものが出現したのだ。
すでに約100店舗のチェーン店だという。
名前が似ているだけで内容は全く違ういい加減な店だが、
日本のI-TACの技術を全面的に取り入れたとパンフレットには書いてある。
この辺でさすがに気持ちが萎えて、
中国を自力で開発するのを諦める気になった。
中国は中国の人に任せた方がいいと考えたのだ。

 

小兪もこの時期のことは何も話さない。
今となると、空白の期間であったとも言える。
色々とあったのであろう。

 

ずいぶんの時間とお金を使ったが、
結局残ったのは、頼さんの会社とのビジネスだけであった。

 

それで、頼さんの会社である日東さんに中国の代理店になってもらい、
上海事務所唯一の技術者であり真面目に働いていた営業職の小兪を、
日東さんの会社に入れてもらって、面倒を見てもらうことにしたのだった。

 

あれから5年以上経つのだろうか。
今は日東さんが上海を中心に活発に活動してくれている。
小兪もやっと落ち着いて仕事が出来るようになったのだろう。
上海を中心にして精力的に営業し、技術の伝達もして、着実に成果を上げた。
今では、頼さんの右腕の一人になっている。
今では、こうなって良かったと本当に思っている。

 

 

何年か前に、小兪に婚約者が出来たことを聞いた。
そういえばボーイッシュな小兪ががぜん女性らしい感じがするようになっていた。
激しく動き活発な中国には、
私自身はもう自ら仕事をしに行くことはないだろう。
過去中国には70回も行って、先頭になって働いていたことがあるが、
もう中国の地で自ら先頭に立つことはない。
中国のことは中国の人に任せることが一番いいと思うから。

 

だから、今回の小兪の結婚式への招待は本当に嬉しいのだ。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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