谷 好通コラム

2011年01月31日(月曜日)

2712.何年か前、JAL便に乗り続けた時期

もう何年くらい前のことだろうか。
(日本航空)JALと、(日本エアシステム)JASが合併して
同じ会社になり、
日本航空JALの名前が残った。
しかし合併後も、元JALの社員に比べ、
元JASの社員の給与が安く、給与格差が存在し続けた。

 

元々、
JALの給与体系の方が
JASの給与体系よりも高く、
合併によって、
JASの社員の給与を、JALの高い給与に合わせると、
JASから来た社員の給与を全員上げることになる。
しかしそれでは「合併の目的」である「経費の節減」とは逆行することになる。
かといって、JALを安い給与体系のJASに合わせることは、
JALの社員から見れば理不尽であることもあって労働組合の強いJALは出来なかった。
かといって
人件費が膨れ上がるので、
元JAS社員の給与を上げることもできず、
仕方がないので、
同じ会社に籍がありながら、
元JASの社員は、
元JASであったということだけで元JASの賃金体制を適用され、
元々のJALの社員には
元からあるJALの賃金体制が適用されるという二重構造の賃金体制が出来上がった。

 

元JASの社員は同じ仕事をする元JALの社員より安い給与が続いたのだ。
これに元JASの社員が不平不満を持った。
元JASの社員は、自分の給与が下がった訳ではなく、
自分は、合併前までは、今までの給与に納得していたのに、
同じ仕事をする新しい同僚が、自分より高い給与をもらっていることに、
なぜか理不尽を感じる。

 

そんな頃、JALの飛行機にちょっとした故障が続いた。
致命的な故障ではなかったが、安全確保の観点から運行に支障が出る程度の故障。
それが、何度も続いて、
社内でも、社外でも、
「不公平感が鬱積した元JAS社員の整備士が、
いやがらせでわざと故障させているのではないか。」という確信的なうわさが出た。
それからは、
JALの機体整備場には、無数の監視カメラが取り付けられ、
このような犯罪行為が起こらないように厳重な監視体制が敷かれた。
それを、他の元JASの整備士は
テレビの取材に「監獄にいるような気分だ。」と表現していた。

 

そんな騒ぎがあった時期、
一般乗客は、JALの飛行機に不安を感じてJAL便に乗りたがらず、
旅行代理店も、お客様の不安に気を使って
団体ツアーにJAL便を避けるようになっていて
JALは深刻な乗客の減少に苦しみ、
経営が圧迫されて、全社員を含め会社全体が苦しんだ。

 

 

自分の鬱憤晴らしの為に、機体に故障の細工をしたバカ者は、
鬱憤晴らしという自分の些細な動機のために、
キチガイじみた行為で、仲間たちすべてを苦しめることになったのだ。

 

あの頃、
ANA便に比べて気の毒なくらい客席が空いているJAL便に、
私は、意地になって、JALの飛行機を選んで乗っていた。
同じ路線にANAの便があっても、仕事の時間をずらしてでもJALの飛行機に乗った。
席が空いていて楽だったからではない。
自分の境遇に不満があって、その鬱憤晴らしに、
お客様の命を預かる大切な機体に、
わざと故障を作るような卑劣な行為に対し、
怖いような気がするからとJAL便を避けるのは、それに屈することになる。
それが絶対にいやだったので、あえてJAL便に乗り続けた。

 

自分勝手な動機で、たくさんの人に不安を与え、迷惑を与える行為は、
程度の差こそあれ、テロと同じ手口にほかならない。
テロを防ぐには、テロに屈しないことに尽きる。

 

今日、そんなことを考えさせられた、

 

 

朝、見えた富士山。今年はトコトン富士山が見える。こんな年は初めてだ。

 

 

なんと、東京から帰る夜までも富士山が見えた。
日が徐々に長くなって、春までの日が数えられるようになってきたのだ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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