谷 好通コラム

2010年07月21日(水曜日)

2559.富士山のてっぺんの穴を見た

午後、羽田から高松へ飛ぶ飛行機は、
JALのエアバスA-300-600R。

 

この飛行機、原型のA-300は、
ヨーロッパのフランス・ドイツ・イギリス・オランダなどの国々が、
米国の航空機メーカーであるボーイングや
マクダネルダグラス、ロッキードなどに対抗するために、
一大合同して作ったエアバスインダストリー社が最初に造った飛行機である。

 

ワイドボティ、高バイパス比ターボファンエンジン2発の機体は、
当時、中途半端な組み合わせだと冷ややかに言われた。

 

ボーイングはB-747で、
エンジン4発の乗客400人超級の超大型機、
キクダネルダグラスはDC-10で、3発の乗客300人級大型機。
ロッキードはL-1011で3発の乗客300人級大型機。
それに対してエアバスは、
エンジン2発で乗客230人級の中型機で、中途半端と言えば中途半端。
日本では日本エアシステムが採用しただけで、
大したシェアは持てなかった。
その後、ボーイングが出した準ワイドボディ、2発エンジンの230人級のB-767、
主翼などをそのまま使ってボティーをナロー(細い)にした長距離機B-757などと、
直接的な競合になったのも不運であった。

 

しかし、その後、A-300をうんと小型化したA-320が世界中で大ヒットして、
A-320に初めて採用されたフライバイワイヤという操縦システムを
A-300に移植して操縦方法を共通化し、少し大型化したA-300-600Rもよく売れた。

 

今では、米国のロッキードは民間機製造から撤退し、
マクダネルダグラス社は、ボーイングに吸収されて、
世界中のジェット旅客機は、エアバスとボーイングの一騎打ちになっている。

 

小型旅客機ではエアバスのA320を中心にしてA318、A319、A321とシリーズを揃え、
ボーイング50年前から飛んでいるB-737を改良してB-737-400、500、
数年前また改良版のB-737-700、800と、安いコストと燃費向上で対抗している。
大型機ではエアバスA-300を大型化したA-330、
エンジンを4発にした超長距離機A-340。
これに対するボーイングは超大型エンジン2発のB-777を作り出してきて
一時は圧勝した。
エアバスは最新の総二階建ての超大型A-380は、
長い間、超大型機市場を独占するB-747に対抗。
ボーイングの次期省燃費タイプの中型機B-787に対してエアバスはA-350を開発中。

 

ヨーロッパ・エアバス社と、アメリカ・ボーイング社の一騎打ちの戦いは、
飛行機好きにはたまらない戦いなのである。

 

ただ、今から乗るこのA-300-600Rは、約20年前、
名古屋の小牧空港に墜落して200人以上が亡くなった事故の時の飛行機でもある。

 

 

羽田空港の待合室で、
いつもの中部空港では見られないA-300-600Rを目の前にして、
つい、どうでもいいことを書き並べてしまった。

 

 

と、ここから飛行機の中で書き続ける。

 

飛び立ってすぐ、今話題の羽田D滑走路の完成間近の姿が見えた。
この滑走路が出来上がったら、羽田からの国際便が爆発的に増えて、
羽田のハブ空港化が始まる。

 

 

私は事務所の女性に飛行機の席を予約してもらうのに
「窓側」としか言わなかったので、自分の席が「3A」になっていたことを後悔していた。

 

「A」の席は進行方向に向かって左側の席である。
羽田⇒高松は、西に向かう飛行機。
とすると、私は飛行機から南側を見る席となる。

 

成田から名古屋に飛ぶ飛行機は「富士山」の南側を通る。
ならばたぶん、
羽田から高松へ向かう飛行機も「富士山」の南側を飛ぶだろう。
(私は初めてこの便の乗る)
とすると、富士山を見ることが出来る席は北側を見るAの反対側の席となる。
南側を見る「A」の席では、駿河湾が見えるだけなのだ。

 

飛び上がってしばらく、
富士山のことはすっかりあきらめていた。
ところが、機内アナウンスで機長が色々と話している。
声の感じではずいぶん若い機長のようだ。

 

「・・・・今、富士山の北側に差し掛かったところで、左側に富士山が見えます。」

 

「ふーーン、どうせ富士山は見えないしなっ・・・
えっ! 北側? 左に富士山? じゃ、こっちじゃん。」
あわてて、
窓をのぞいてみると、
ほぼ真下に富士山のてっぺんが見える。
羽田⇒高松の航路は、成田⇒中部の航路よりも、なんと北側にあったのだ。
なぜかよく分からないが、この航路では、
富士山のギリギリ北側を通り、左の窓からほぼ真下に富士山がいた。

 

私は富士山の、しかも、てっぺんの穴、噴火口を覗いてしまったのだ。
しかも、富士山頂上まで粘っこい綿のように雲が執拗にまとわりついている。
今まで見たことのない絵である。

 

 

大ラッキーであった。
今日はきっといい事があるに違いない。

 

それからしばらく、夏の名物「巨大積乱雲」が、
約10,000m上空を飛んでいる飛行機よりもっと上に鎌首を延ばしている。

 

 

ここまで上空に上ってくると「偏西風」ジェット気流に当たって
てっぺんが横に流されている。
巨大積乱雲の独特の形である。
これが、いわゆる「ゲリラ雷雨」の素(もと)だ。
雷雨は困るが、10,000m以上に届くその姿は、壮大そのものである
今日は、絶対にいいことがある。

 

 

そして、高松では本当にすごくいいことがあった。
やっぱり富士山は私の幸運の女神。
巨大積乱雲も、そうかもしれない。

 

高松での「いいこと」については、また、明日。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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