谷 好通コラム

2010年07月08日(木曜日)

2547.その国のユーザーにいかに支持されるか

私自身、海外に行かなくなってしばらく経つ。
数年前までは年に20回ほども海外に行っていた時期があったが、
今はほんの2.3回行く程度になった。
特に中国はこれから絶対に拡大するマーケットなので、
他のメーカーに先んじて進出すれば
日本以上の体勢が出来る可能性があると思い、力を入れた。

 

中国には上海を中心に70回以上行った。
アメリカにもロス アンジェルスを中心に20回は行った。
アメリカにおいては残念ながらほとんど何も残っていないが、
中国は10年来の付き合いである頼さんが代理店となって活動を続け、
現在も数百件の施工店に一定量のKeePer製品を供給し続けているので、
今後、拡大する可能性は十分に残っている。

 

だから完全な失敗ではないと思うが、
進出した当初に目論んだ成功は果たされていないことは間違いない。

 

何がいけなかったのだろうか。
我々が日本でやってきたような方法が
中国とアメリカでは通じなかったのか。
たぶん、それもある。
しかし、
色々考えて思うのは、
あのころの私たちは、
中国・アメリカ “に” KeePerを売ろうとしていたのでないかということ。
だから、結果としてうまく行かなかったのではないか。

 

私たちがすべきであったことは、
中国・アメリカ“で” KeePerを普及させようという活動ではなかったか。

 

日本の多くの会社が世界に進出しているが、
それが食べ物ならば、アメリカではアメリカの味にして販売しているし、
中国で販売するならば中国人の好む味にして製造販売されている。
自動車でもそうだろう。
日本で造っている車をそのままアメリカで売るのではなく、
アメリカ人のニーズに合わせた自動車にして製造販売している。
日本ではまったく売れていない「カムリ」が、アメリカでは一番売れている。

 

日本の製品をアメリカ“に”売っているのではなく、
アメリカ“で”、アメリカ人のための車を、
アメリカの販売方法で、アメリカ人のディーラー“で”売っている。
さらに、今ではその車をアメリカ“で”造っていることが多い。

 

ひょっとして、私たちは
「日本のKeePer」そのものを中国やアメリカ“に”売っていただけかもしれない。
だから、成功できなかったのかもしれない。
ビジネスの成功とは、ユーザーに支持されることに尽きる。

 

中国でのユーザーとは主に中国人であり、
中国の文化と環境の中にいる中国の車に乗った中国の人。
このユーザーに支持されるには何をどうしたらいいのかを
全力で考え、行動すべきだったのだろう。
私たちは、中国のマーケットに商品をどう売るかばかりを考え、
中国で、中国のユーザーにどう支持されるのかを考えなかったのかもしれない。
アメリカにおいてもしかりだ。

 

日本国内においては、
KeePerをいかに売るかを考えるより、
ユーザーにいかに支持していただけるかを考えるべきであり、
それが必ずビジネスの成功に結びつく大基本であることを、
自らの店舗を持ち直接ユーザーに接し販売していることで
身をもって知ることが出来ていた。

 

しかし、それが文化と環境がまるで違う外国に行くと、
言葉も通じず、直接ユーザーと接するわけでも無いので、
異国の人の気持ちがまったく見えず、
分からないがゆえに、つい、ビジネスの大基本を忘れてしまったのかもしれない。

 

外国に積極的に行かなくなって何年か経ち、
今振り返ってみると、反省すべきが改めて見えてくるような気がする。

 

 

今回は縁あって、
韓国SONAXを主催する韓国の会社とKeePerの活動を始めることにした。
主役はもちろんクリスタルキーパーである。
ドイツSONAXと日本のアイ・タック技研の合作であるクリスタルキーパーを、
韓国で広める大きな力を得た。
今後こそ、謙虚に、韓国のユーザーが何を支持するのか、
そこを軸にしっかりと考え、見極めて、行動していこうと思う。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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