谷 好通コラム

2010年06月16日(水曜日)

2528.町の小さな電気屋さん⇒家電量販店⇒???

このブログを書き始めて9年間にカメラは何台変わっただろうか。
多分、5台ぐらいだろうか。
壊れて使えなくなったのではなく、全部、失くしてしまった。
コンパクトカメラばかりで高いものは一台もないが、
今回のカメラはRICOH GX200というコンパクトではあるが、
なかなかいいカメラであった。

 

が、また失くしてしまったようだ。どこを探しても無い。
(必死で探さなくてはならない)
買った時はたしか5~6万円したと思ったが、
買い換えたらいくらするのかなと、
(探すのをあきらめたわけではない)
インターネットの値段サイトで調べたら最安値が36,800円であった。
今、物の値段はインターネットの普及で
流通コスト、在庫コストなどがカットされて大幅に安くなっている。

 

インターネットをよく利用している者に聞くと、
「2万円以上の買い物をする時は、必ずインターネットで値段を調べます。」と言う。
店舗を持ち、人を雇い、電気水道を払い、店舗の広告をして、
その経費を商品の値段に上乗せしなければならない普通の商店は、
それらをほとんど全部省いたインターネット販売の業者と、
価格の面においても競争して行かなければならないが、
店舗を持っているが故のコストは、
初めから背負っている大きなハンディのようなものだ。

 

 

昔、と言っても20年ほど前までは、
電化製品、カメラなどは、
町にある小さな電気屋さんとカメラ屋さんで買うのが当たり前だった。
小さな電気屋さんとカメラ屋さんは、小さな町にも必ず一軒や二軒あって、
地元に密着し、町の住人たちと密接な人間関係、ご近所関係を持っていた。
大府の田舎町でも、
近所の電気屋さん「●△電気」のオヤジさんは町の草野球チームに所属し、
近所の人が集まる飲み会にも必ず顔を出して、
町の一員として近所付き合いを密接にしていた。
だから、
その町の人はテレビとか洗濯機、クーラーなどを買うのは
必ず「●△電気」であり、
それ以外の店から買うのは「人付き合いの悪い人」であり、タブーであったのだ。
「家」までそうだった。
町内には大工さんがいて、町内の人が、町内に家を建てるのだったら、
必ずその大工さんに建ててもらうのが当たり前であった。
他の業者などを使ってタブーを犯すと、町にいづらくなるからだ。

 

そうやって町内が、ある意味、自給自足みたいな生活をしていたのだった。
しかし近来、「家電量販店」が出来てきて、
町の小さな電気屋さんよりも何割か安い値段で家電品を販売するようになった。
それでも近所付き合いをしているお父さんやお母さんたちは、
近所の電気屋さんで細々と家電製品を買い続けたが、
10万円もするテレビとかクーラーなら、
量販店の値段の方が2万円も3万円も安いので、
そういう物はコソっと量販店で買い、
安い電池とか蛍光灯などを「●△電気」で買って義理を済ますようになった。
「●△電気」は、
「うちで買ってくれたら故障してもすぐに修理にいける。」と言うが、
家電品は昔に比べて壊れなくなったし、
量販店でもそれなりにアフターサービス体制を持っているので、
残念ながら「●△電気」で買う理由にはならない。

 

代が変わってその息子とか娘になったらそんな義理もまったくない。
あるいは新しくその土地に引っ越してきた人にとっては
近所付き合いがないので、町の「●△電気」はかえって入りにくく、
当たり前のように量販店で家電品を買った。
やがて「●△電気」はさびれ、閉店するのに時間はかからなかった。
今、家電品は量販で買うのが当たり前になり、
町の電気屋さんは町から姿を消してしまった。
カメラもまったく同じ過程を経て、町のカメラ屋さんは消えた。

 

時も変わり、代も変わって、時代の主役が変わったのだ。
いまや家電量販店の天下である。

 

 

その量販店がインターネット通販の世界にも参加しているが、
インターネット通販専門業者の値段に比べて決定的に高い値段をつけている。
量販店は自分の店舗を持っているので、
店舗での値段と大きく違った値段を付けられないのだろう。
店舗を持っているためのコストが乗っている価格、
つまり店頭価格が足かせになっているのだ。

 

量販店は販売量が命であって、販売量があるからこそ仕入れ価格も低い。
だから、多分、インターネット販売の専門業者よりもかなり安く仕入れているはずだが、
それでも、店舗を営業するコストは大きく、
仕入れの安さだけではカバーしきれない。

 

かといって思い切って量販店の店頭価格よりも、
量販店のインターネット通販価格をうんと安く販売すると、
インターネットでの購買を量販店自らが進めていくことになる。

 

家電量販店は時代の寵児として爆発的に成長し、
激しい勢いで巨大な店舗を日本国中の一等地で持って占領した。
巨大なコストを生む「店舗」をすでに持っている量販店は、
まだインターネット通販全盛になってもらっては困るのだ。
店舗がいつかは巨大な足かせになるから。

 

しかし量販店ならば店舗を持っているので「アフターサービス体制」を持ち、
「インターネット販売のように売りっぱなしではない。」と
自らの存在意義を唱えるかもしれないが
それがまたコストがかかるわけで、
店舗を持っているからこそ「アフターサービス体制」を動かさないわけには行かず、
それもコストの部分で足かせになっている。

 

それに、家電品はますます壊れなくなってきている。
小さな電気屋さんが「壊れたらすぐに修理にいける」と言っていたことと同じだ。

 

 

私はインターネットで買い物をしない。
インターネットでものを買うにはそれなりの知識と慣れが必要であるし、
自分でPCを操作するのが面倒だから。
それにインターネット販売専門業者はPCの上にしか姿がない仮想店舗であるので、
どの業者が信用できるかどうかも分からない。
だから、カメラにしても家電品にしても量販店で買っている。

 

しかし、簡単にインターネット通販で物が買えるようになったら、
私はもう量販店ではなくインターネットで物を買うようになるだろう。
その方が絶対に安いのだから。
問題は、インターネット販売に必要なハードとソフトと販売の仕組みであって、
たとえば最近発売になった「Ipad」は、
インターネットのハードとソフトの革命のような存在になるかもしれない。
テレビの番組の中でユーザーが言っていた
「あまりにも便利でもうこれなしでは生活できない。」という言葉に、
私は「Ipad」を買おうと思ってしまった。
これに気軽に使える決済などの仕組みがあれば、
「量販店に行く手間」が省けるし、なにより「安い。」

 

誰でも携帯のIメールを自在に使いこなす若者たちにとって、
安いインターネット通販で買うのが常識になって行っても全くおかしくないし、
ハードとソフトが進化してうんと簡単になったら、
私たちおじさんも喜んで使う。

 

それでも、やはり商品は現物を見てから買いたいし、
色々なメーカーの製品を見比べてみたいし、使い比べてみたい。
分からないことがあれば説明もしてもらいたい。
だから量販店の存在意義があるかと言えば、そうではないだろう。

 

商品を見比べ、使い比べ、説明を受けるのは「ショールーム」の役割であって、
必ずしも製品をショールームで買う必要はないのだから、
家電量販店で製品を見、説明を聞いてから「ちょっと考えます」と言って、
家に帰ってインターネット通販でその製品を買う。
こんなスタイルが一般的になったら量販店はひとたまりもない。
なにしろ巨大なコストを生む大店舗を大量に持っていて、
そのコストはそう簡単には始末できないのだから。

 

では今度はインターネット通販専門業者の一人勝ちになるのか。
私はそうは思わない。

 

インターネット通販専門業者は、
現物を見比べ使い比べるショールームを持っていない。
持っていないから低コストで運営できている。
だから今現在は、インターネット専門業者は
ショールームの役割を持っている量販店のおかげで、
成り立っているという一面もあるのではないか。

 

それにインターネット業者もしょせん流通の一部でしかなく、
そこには流通業者としての利益というコストが発生する。
それに、活躍の舞台がインターネットという誰もが参加できる場所であり、
立地の優位性もない。

 

量販店の時代が終わってくるような事態が近づいたら、
今度出てくるのは家電メーカーなのだろうと思う。
メーカーが共同でショールームを持つか、
デベロッパーがメーカーを取りまとめるか分からないが、
メーカーが直接ショールームを持って、
インターネットで直接の販売をするようになるのではないだろうか。

 

便利のいい所に大きなショールームがあって、
各メーカーが工夫を凝らした展示をして、直接の説明スタッフが詳しい説明をし、
お客様は気に入った製品があればその場でインターネットでメーカーから直接買う。
あるいは家に帰ってからインターネットで買う。

 

インターネットが最終的に流通業者の必要性を無くすのではないかということ。
流通マージンが減るとなると、物は驚くほど安くなる。

 

 

インターネットでの通販システムが進むと流通業の存在意義がなくなるのは、
家電、カメラのように商品そのものに付加価値が存在していて、
その商品が「宅配」できるものであり、
インターネットで購入が出来、
流通そのものには付加価値がほとんどない製品を扱う店舗に言えることだ。

 

 

しかし、たとえばガソリンスタンドのように
ガソリン等の燃料という宅配にまったく適さない商品を扱っている店舗には、
インターネット通販の発達はむしろ関係がない。
それでも、燃料というどこで買っても付加価値が一定の商品なので、
インターネットで販売価格が一覧できる時代になって、
ますます販売マージンが圧縮されていることも事実のようだ。

 

あるいは、たとえば私たちのような洗車とかコーティングを行うビジネス、
つまり、原料費はあっても物販のようには仕入れがなく、
その付加価値のほとんどすべてが店舗で生み出されるような「サービス業」では、
インターネットの影響は、まったく違う方向で働いていくだろう。
文章が異常に長くなってしまったので、それについては、また今度。

 

 

そんなことより、失くしたカメラを探さなくてはならないが、
当面使うために企画課のカメラを借りた。
これは一眼レフで、レンズが交換できる。
今あるレンズは、14mm~45mmの標準ズームレンズと、
7mm~14mmの超広角ズームレンズ。
デジタルカメラのレンズは、
昔のフィルムカメラ用のレンズの焦点距離の半分なので、
「45mm」はフィルムカメラの90mmに匹敵し、
望遠というよりポートレート用の長焦点レンズ。

 

 

「14mm」は28mmに匹敵し、ちょっと広角気味の標準レンズ。
人間の眼で見たのとほとんど同じだ。

 

 

「7mm」は14mmに匹敵し、魚眼レンズの範疇に入ろうとする超広角レンズだ。

 

 

7mmで空を撮ってみたら、なかなか良いではないか。
外の景色を見る時、
人間の眼は広角に視野が広がり、かえってこのように感じる。

 

 

これはこれで面白い。
今はまっているモノクロームも使えそうであるし、
企画課の迷惑をかえりみず、ちょっとの間、使ってみようかな。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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