谷 好通コラム

2009年10月18日(日曜日)

2330.増田結婚式&最終編「ラーメンと洗車」

昔書いたラーメンと洗車の話を
今の考え方を入れてもう一度書こうとした試みは、途中から迷走してしまった。
特に前回、それでも結論じみた具体的な事を書こうとして、
5年前の資料「洗車ビジネス成功のための12のポイント」を持ち出したところを見ると、
このビジネスの考え方と在り方は、
基本的な所で何も変わっていない事に落ち着くのかもしれない。

 

元々この話の原点は、
店舗で商品と付加価値を作り出すビジネスとして
「ラーメン屋」と「洗車コーティング」に多くの共通点があり、
「うまいラーメン屋の成功」から
「洗車コーティングビジネスの成功」に繋がるものを探っていこうということだった。

 

たくさんのことをここまで書いてきて迷路に迷い込んだのは、
その答えを「方法論」の中に見出そうとしたからなのかもしれない。
方法論ならば、前述の「洗車ビジネス成功のための12のポイント」の中にかなりあって、
話の結論を書こうと思った時に、
それを持ち出したのは当然の事だったかもしれないが、

 

何か違うと思った。

 

 

うまいラーメン屋の亭主は、
何を思って「うまいラーメン」を造っているのだろう。
「お客さんが『うまい』と思ってくれると嬉しい。」からだけではないだろうか。
その結果が「繁盛店」であり「成功」であったのだろうと思う。

 

繁盛店を作っているのは、
その店でラーメンを食べたいと思うたくさんのお客様である。
店の亭主ではなく、その店に来てラーメンを食べるお客様が作っているのである。

 

そのことを亭主は良く知っていて、
お客様がたくさん来てくれるためには、
お客様が「うまい」と思ってくれることが第一である事を知っている。

 

お客様が自分のラーメンを食べて、「うまい」と喜べば、
作った本人も嬉しいし、また食べに来てくれて
そのことで店が繁盛することも知っている。
店が繁盛すれば、亭主もスタッフも経済的に豊かになる。
これはビジネスとして成功しているということだろう。

 

お客様が喜ぶことが、
ビジネスの成功となるならば、その仕事は楽しい。

 

仕事は楽(らく)ではないが、楽しければ、亭主もスタッフも精神的に満たされ、
満たされた精神は、経済的な安定と共に、家庭を豊かに明るくしてくれる。

 

明るく楽しい家庭は、働く亭主とスタッフの活力になる。
すると、また一生懸命、お客様が喜ぶ「うまい」を作るための原動力になる。

 

また、その店のラーメンはうまくなって、
もっとお客様は喜び、もっとお客様が増えて、もっと繁盛するようになる。

 

「うまい」→「客・喜ぶ」→「リピートして客・増える」→「繁盛する」→「豊かに」
同時進行で、
「客・喜ぶ」→「スタッフ嬉しい」→「スタッフ楽しい」→「家庭・明るくなる」
すると、
「家庭・幸せに」→「スタッフ頑張る」→「ラーメンもっとうまく」→「店・もっと繁盛」

 

うまいラーメンを造る事を起点にして、
お客様が喜び、店が繁盛して、スタッフも嬉しい、家族を幸せにすることも出来て、
明るい家庭で、スタッフは頑張れて、もっとラーメンはうまくなる。

 

ラーメン屋は、ただただ一生懸命うまいラーメンを造る事で、
みんなが幸せになれるのである。

 

うまいラーメンを造り続けるには、
選び抜かれた材料と、使い込まれた道具と、鍛え抜かれた技量、
そして、何よりも「お客さんにうまいラーメンを食べさせたい」という気持ちである。

 

相手(お客さん)が喜ぶ事(うまい)を目的にするとラーメン屋は成功する。

 

 

洗車コーティングでもそれと同じことが言えると思うのだ。

 

お客様によって求めるキレイさは違うが、
洗車、コーティングなど
たくさんの人に喜んでもらえるキレイさを、幅広いメニューで提供し、
いつもお客様の期待を超えるレベルで実現し、
たくさんのお客様に喜んでいただく。
(この場合のキレイは、車のキレイなだけでなく「気持ち良く」「速く」の要素を含む)
そのことで、お客様は「この店が造るキレイはいい、嬉しい、また来よう。」と、
繰り返し洗車コーティングサービスを利用していただけるようになって、
店が繁盛し、店長とスタッフが豊かになる。
同時進行で、
お客様に喜んでいただき、
「ありがとう」なんて言っていただくとスタッフはとても嬉しい。
嬉しいと仕事が楽しく、仕事が楽しいと家庭が明るくなる。
家庭が明るいと、仕事は楽(らく)ではないが、またいっそう頑張れる。
そして、もっとお客様に喜んでもらいたいと、もっと技術に磨きをかける。
すると、お客様はもっと喜び、もっと店も繁盛する。

 

洗車コーティングビジネスでは、
お客様のお車を、お客様の要望に合わせて、
期待以上のキレイさを、気持ち良く、早く提供すると、お客様が喜んで、
自分も嬉しく、家庭も幸せになって、みんなが楽しく、嬉しくなるのだ。

 

だから、
うまいラーメンを造り続けるのと同じように、
キレイな洗車コーティングを提供するために必要なのは、
選び抜かれた材料と、使い込まれた道具と、鍛え抜かれた技量をもって
そして、何よりも「お客様をキレイで喜ばせたい」という気持ちである。

 

相手(お客様)が喜ぶ事(車がキレイ)をすると、洗車コーティングビジネスでは成功する。

 

 

「まずいラーメン」なのに、宣伝をして集客をすれば行列が出来て、
「行列の出来るラーメン屋」=「うまいラーメン屋」が出来ると思い、
宣伝と看板に最も力を入れたラーメン屋は、
自分が儲かること(売ること)だけを考えて、
相手が喜ぶ事(うまい)を考えなかったので、失敗した。

 

 

しかしラーメンでも、これがインスタントラーメンになると話は違う。
インスタントラーメンの味も香りもパッケージもメーカーが造り、
宣伝もメーカーがやってくれる。
インスタントラーメンを売る店舗は、「売ること」だけを考えればいい。
お客様が「うまい」と思うかどうかはメーカーが考える事で、
インスタントラーメンを売る店舗は、味については何も出来ない。
だから、いくらでどう売るかのみを考えればいいし、それしか出来ない。

 

洗車コーティングのビジネスの世界で言えば、
たとえばセルフで提供されるドライブースルー連続洗車などは、
洗車機を製造するメーカーによって、
その洗車機の性能が、どのように洗えるか、
どれだけキレイになるか、またどれくらいの時間で出来るかを作り出す。
その洗車機を使う店舗には、洗車機の性能を作り出すことは出来ないので、
どのように、いくらで売るかを考えるしかできないし、それを考えればいい。
そういう意味では、
インスタントラーメンと洗車機による洗車は似ているのではないだろうか。

 

これはこれで立派な商品であり、それが好きな人もいれば、
そうでもない人でも、その時の都合によって、これはこれで便利である。

 

しかし、実際に洗車機を使って、
自分の車を洗っている(洗ってもらっている)人は、
全体の30%台の人でしかないと、あらゆるアンケートが示している。
60%以上の過半数の人は、自分の手で自分の車を手洗い洗車をしている。
そして、10%近い人が主にSS、あるいはどこかで手洗い洗車をしてもらっている。
圧倒的多数の人が自分で洗い、
また、約40%に近い車がうんと高い料金でコーティングを施行されているのは、
インスタントラーメンだけでは飽き足らないと言う意味でないだろうか。

 

とすれば、店舗で造る「うまいラーメン」と同じように
店舗で造る「キレイを提供する洗車コーティングビジネス」でも、
相手(お客様)が喜ぶ事(車がキレイ)をすると、みんなが幸せになって、
洗車コーティングビジネスでは成功する。
この方程式は成り立つが、
相手の喜び(車がキレイ)をおろそかにして、
自分が儲かる事を(売ること)を優先して考えると、失敗する事になるだろう。

 

きれい事を言っているようだが、
この方程式は、本当はありとあらゆるビジネスに共通しているのではないか。
インスタントラーメンでも洗車機洗車でも、
お客様、つまり相手のことを考えて造られているのであり、
販売業の店舗でも、メーカーが造った商品を、
他の店舗ではなく自分の店舗でお客様に買ってもらうか、お客様の気持ちを考えて。
一生懸命工夫したり、店舗の魅力を出そうと努力する。

 

あらゆるビジネスは、相手のこと、お客様、消費者のことを考えるところに成功がある。
CS(顧客満足)とは実にこういうことであって
40年前流行った「お客様は神様です」とはちょっと違う。(古過ぎるか)

 

 

もっと考えれば、
社会一般について言えることでもある。

 

会社は、経営者が、自分や自分の一族の事だけを考えていては成り立たない。
個人企業ならばまだしも、会社が名実共に法人である会社ならば
お客様のことはもちろん、社員のこと、取引先などすべての人を考え、
すべてを大切にしていかなければ、成り立たないし、発展などするわけがない。
少なくとも、今の時代ではそうだろう。

 

もっと考えれば、
社会性の最小単位である「家庭」においてでもそうだ。
夫は妻(相手)のためを考え、妻は夫(相手)のためを考えるのが正常な夫婦だ。
どちらかが自分の事しか考えず、一方的に自分のためを考える事を要求すると、
その夫婦は、いずれも幸せになれない。
妻は夫に一方的に幸せにしてもらう権利を持っているわけではない。
夫は妻に一方的に尽くす事を求める権利を持っているわけではない。
お互いに求めるのではなく、お互いに与え合う。
お互いがお互いの幸せをお互いに一方的に願い、それが両立すると両方とも幸せになれる。
これ以外にはありえない。

 

ビジネスという広い社会性の世界でも、
相手のことを考えるのが成功の方法であるならば、
最小の社会性の単位である家庭においても、
相手のことを考えるのが成功の方法と言えるのではないか。

 

そんなことを考えさせられたのが、昨日、結婚式を上げた増田達夫婦。
開発の増田君は、天性のお人よしで、いつも相手のことばかりを考える。
仕事においても、プライベートにおいても。
彼から人の悪口を聞いたことは一度もなく、人を非難する言葉を聞いたこともない。
不器用に一方的に相手の事を良く考える。

 

人間の能力の内に「世渡り上手」を入れるならば、彼はその能力が低いことになる。
しかし、彼が関わった製品開発では、
とことん使う人のことを考え、お客様のことを考える姿勢が十分に活きている。
たとえばドイツSONAXの開発責任者であるドクターピッチは、
彼が商品開発に一切自己の都合を入れない姿勢に対して、100%の信頼を寄せている。

 

今は東京で営業にも関わり始めて、
よりいっそう相手の事を考える姿勢が、多くの相手先に受け入れられ、
今までなかなか実現しなかったビジネスに大きな可能性を作り出しつつある。

 

大きな会社だったら、彼の姿勢はただのお人好しで、
世渡りが下手なだけであったかもしれないが、
たまたま彼が入った会社は、
ビジネスの相手の成功を実現する力を強みとし、
お客様の喜びをスタッフの喜びとし、相手の利益を糧にして成長している会社だった。

 

だから、彼の天性として持っている相手を考える能力と姿勢は、
この会社において今後大きく活かされるだろうし、
彼自身がこの会社の中枢を担うことになるだろう。
まず自分の損得や都合を考えてしまう人は多いが、
天性として一方的に相手のことを考えることが出来る人は、なかなかいるものではない。
彼のこの天性は、とんでもなく大きな能力なのだ。

 

彼と彼の奥さんは、
大きく世の中に役に立つ能力が活かされ、
その能力を支え、それがもっと大きな力になるだろう幸せを実現する事になって、
幸せなお互いの生涯を、きっとこれから作り上げていくだろう。

 

彼らを見ているうちに「ラーメンも洗車もこういうことかな。」
そんなことを思った。

 

 

披露宴が禁煙なので、のこのこと外の喫煙場にたむろしてばかりの私たちバカ共。

 

 

神妙でなければならない最後の新郎の挨拶を、
ベロベロに酔っ払って、ボケて、大爆笑の渦にしてしまった。
新婦けっこう本気で怒っているの図。

 

 

うちの増田はまたやらかしてしまったのだ。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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