谷 好通コラム

2009年06月20日(土曜日)

2236.デブヤクザと二人のギャング

海水が真水よりも比重が重いのは、
水の中にNaCl、塩(しお)が溶け込んでいるからだ。
比重が重い分、
パスカルの法則で、真水より物が浮きやすい。
特にさんご礁のリーフの中は波がほとんどなく静かなので、
私がプーカプカと浮くのに好都合だ。

 

リーフの浅い所でシュノーケルも何も着けず、
仰向いて力を抜いていると、
顔に海水がかからない程度に、浮く。
プーカ、プカ、プーカ、プカ、
まるでドザエモンのごとく浮き、漂う。
うっすらと目を開くと、
真っ青な空に、白い雲が意外な速さで移動していく。
体重も何も感じない、音も水にさえぎられてほとんど聞こえない、至極の時間だ。

 

自分が死んでしまったらこんな感触なのかな。

 

グァムにはアンダーソン基地という太平洋地域の核となる米空軍基地があって
最新鋭の軍用機が離発着している。
前回グァムに来た時は、
「B-2」というレーダーに映らない最新鋭ステルス爆撃機の特異な変形ひし形の機体が、
プーカプカしている私の頭上を横切っていった。
ジャンボジェットの数倍、1機数百億円もする世界で一番高価な航空機の一つである。
爆音も静かで、たくさんの人がいるグァムの中でも
たぶん、たまたまプーカプカしながら真上を見ていた私だけが
「おっ、B-2が飛んでいる。ほ~~~っ」と気がついたのではないか。
気がついた人がいても、普通は、
変な格好をした飛行機が飛んでいったぐらいにしか思わないだろう。
世界中でB-2が実際に飛んでいる姿を、
B-2として認識して見た人はそんなにはいないはずだ。
あまりにも高価な機体で、
生産計画が大幅に縮小されて、
数えるぐらいの機数しか作られなかったからだ。

 

今回のプーカプカでは、
MD-11の軍用型KC-11が着陸態勢でアンダーソン基地に向かい飛んでいった
たぶん空中給油型のKC-11何とかいう形式の機体だ。

 

 

 

ボーっと、
時折見える世界最新の軍用機を見ながら、
しかしあくまでもボーっと、プーカプカと浮き漂う。
体重92kgもほぼゼロの世界。けだるい安楽と無思考の時間。

 

プーカプカ・・プーカプカ・・プーカプカ・・・
プーカプカ・プーカプカ・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・
ゴボッ
(顔に海水がかかった音)

 

「げほん、げほん、げほん、・・」
「くっそー、ケイスケ! 気持ちよく浮いてんだから、水かけるなよっ。」

 

 

夕方、みんなで食事に行く前、
腹ごなしに、また射撃場へ。
しかし昨日のH&Kusbでは、今日はなかなか調子が出ない。
そこで思い切って、何年かぶりにベレッタM92Fで撃ってみることにした。
久しぶりのベレッタの感触。
懐かしんで撃っている内になんと「436点」が出てしまった。
途中18発でターゲットを交換し、二枚で撃っているので正真正銘の点数だ。
(真ん中に当たり過ぎると一枚のターゲットでは穴が集中し、計算が不正確になる)
ほとんど新記録に近い。
私の射撃はいったいどうなっているのだろうか。
私にも信じられないほど真ん中に当たる。

 

 

ひざが痛いので、今日は2回だけにした。
ブスッとして射撃場を出る時、
背後で若い客の「ヤクザが・・・・」という声がはっきり聞こえた。

 

ビッコのデブヤクザと、
小さなギャング二人は、聞こえないフリをしてそのまま外に出たのはもちろんである。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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