谷 好通コラム

2009年02月12日(木曜日)

2134.もう48時間同じ服で同じ格好

 

Fin Airは至極快適であった。
最近おろしたばかりであろうエアバスA-340は、
今まで乗った国際便の中でも最も新しく、最新の設備を持っていた。

 

シベリア上空を飛んでいる間、
太陽が地平線に近づいているという意味の夕方のような景色が続く。
緯度の高い地域に、しかも西に向かって飛ぶ時の現象だ。

 

太陽は相変わらず地平線にくっついたままであるが、
北極海からフィンランド上空に届く頃、
眼下にはフィンランド特有の沼地が凍っている様子が不思議な光景を作って延々と続く。

 

 

やがて、降下をはじめ、ヘルシンキの街が見えてきた。

 

 

フィンランドのヘルシンキ空港に降りたのは現地時間で午後3時前。
日本時間で午後10時前である。

 

 

ヘルシンキ空港からミュンヘン行きの飛行機への乗り換え時間はわずか1時間だ。
大急ぎで乗り換え口に急ぐが、手荷物とボディチェックの場所が異常に混んでいる。
パスポートチェックにも長い列が出来ている。
以前にオランダのスキポール空港経由でミュンヘン空港に飛んだことがあったが、
その時は、パスポートチェックといっても形だけのものでスムーズに通過できた。
そんな経験から今回も乗り換えに1時間あれば十分でと思っていたのが、
ここヘルシンキでのチェックはまったく違い、遅い!
焦りながら、ミュンヘン行きの飛行機に乗ったのは出発時間の10分前だった。

 

乗った飛行機はブラジル製の「エイブラエル190」
日本のANAとJALも今年導入予定の「エイブラエル170」と同系列の飛行機である。
一列が2席・2席の配置の細長い胴体を持っている機体で、
実際に乗るのは初めてなので、ちょっとワクワク。
凍った滑走路に、ちょうど同じエイブラエム190が写っている。

 

 

その時、窓の内側に異なものを見つけた。
外気と機内を隔しているガラスと客席側のポリカの間に水滴を見つけたのである。
露が吹いてそれが水滴に成長している。
それ自体は機内の空気が外へ漏れているわけでもなく安全に影響はないのだが、
この水滴は上空に上がったらすぐに凍るはずである。
また、露が窓ガラスについて凍り、
ガラスが曇り外が見えなくなるはずと思っていたら、
案の定、水滴は凍り窓ガラスは露が一面に凍って、見えなくなってしまった。

 

ヘルシンキ空港からミュンヘン空港への2時間半、
新鋭機の「エイブラエル190.170」にはちょっと不安を感じた。

 

 

しかし飛んでしまえば普通のジェット旅客機で、
上昇中、ヘルシンキが凍った街であり、工業の街であることが新鮮に見えた。

 

 

やっぱり凍った。
そしてやっぱり凍った露のおかげで、外はほとんど見えなかった。

 

 

しかし、実は、ここからが大変だったのだ。
ミュンヘン空港は強風に見舞われており、
飛行機にはたくさん乗っている私でも、スリルを感じるほど着陸は大揺れであった。
揺れるというより、強い横風で機体が進行方向に向かって斜めになって降りていく。
着陸寸前など明らかに10度以上横方向に斜めだった。

 

 

そんなスリル満点の着陸のあとが、またひと騒動、
空港内の荷物受け取りで貨物室に預けたスーツケースなどが出てこないのだ。
すでにミュンヘン空港に迎えに来てくれていたSONAXの吉村さん、Dr.ピッチも、
外で心配そうに見ているが、いつまでたっても荷物が出てこない。
その内、何か案内の放送があって、
荷物を待っていた乗客全員が、カウンターの前に並んだ。
こんなことは初めてだ。
私はそれがいったいどういう意味なのかさっぱり分からず、ぼぉーっとしていたら、
吉村さんから電話が入って、
預けた荷物がミュンヘン空港に降ろされていず、
そのままヘルシンキに帰ってしまったと放送で言っていたと聞いた。

 

カウンターでは、乗客1人1人にどんな荷物を預けたか係員が聞いている。
たった20人ほどの乗客であったが、意味が分からず列に並び損ね、
一番後についた私たちの順番が来るのに1時間近くかかった。
そのうちに、吉村さんが複雑な手続きを経て、荷物受け取りの部屋に入れてもらって
なんとか、翌日(つまり今日)の午後、
ホテルにスーツケースなどを届けてもらう手続きを終えた。

 

だから、10日の10時過ぎに着替えた服を、下着もろとも
翌日の11日、SONAXでの撮影を終えホテルに戻った今まで、ずっと着ていたことになる。
時差も考えると48時間以上、ずっと同じ服を着続けたわけだ。
文字にしてしまえばそれだけのことだが、
けっこうツライ。なんとなく汚い。

 

汚いって、けっこうつらい。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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