谷 好通コラム

2009年01月30日(金曜日)

2124.ちょっとだけ特別扱いが致命傷に

世の中には「いちげんさんお断り」とか
「飛び込み客お断り」「会員制」の店というものがある。
たとえば、
私が、誰か、すでに会員である人からの紹介をしてもらってその店に行き、
その店の人が私を見て、
その店の会員としてふさわしいと判断してOKならば、
私はその店の新しい会員にしてもらって、
次からは、私は自分でその店に行くことが出来るというもの。
らしい。
私はそういう類の会員制の店の会員になったことがないので、
人から聞いた話でしかないが、そういうものらしい。

 

そんな会員制の店である銀座の高級クラブには、
過去に二度、会員である人に連れて行ってもらったことがあるが、
「あなたを新しい会員に・・」と言われなかったので、
多分、私はその店にふさわしくないと思われたのかもしれない。
!(^^)!
「いちげんさんお断り」の京都の料亭には、
一度だけ会員(というか?)の人に、連れて行ってもらったことがあり、
「今度からは、ご自分のご予約でお越しいただいて結構です。」と言われたが、
1回の食事で1人4万円という値段を聞いてびっくり。
もちろん、そのあと予約したことも、行ったこともない。
(4万円あったら、7~8人で2回は、居酒屋に行って楽しく飲んで騒げるのだ。)

 

こういう会員制の店は、
変なお客様が混じると、お客様同士で不愉快なことがあってはいけないと、
ある基準を持ってお客様を選別する仕組みなのだろう。
しかし私にはまったく縁がないので、
そういう店の会員になっているお客様の心境は分からないが、
想像するに、そういう店の会員(贔屓“ひいき”)になることで、
安心してその店に行き、
その店のリッチなサービスを堪能することになるのだろう。
あるいは、
自分が何か特別な人になった気分になって、優越感を楽しむのかもしれない。
もちろん、特別な扱いやサービスを提供するのだから、
お値段も特別に高いことは言うまでもない。

 

自分を人とは違う特別な存在として、
人とは違う、特別なサービスと扱いを受けることを好む人がいる。
そういう方は、ぜひ、そんな高級な店の、特別な会員になれば良いと思うし、
特別に高い値段を払えば良いと思う。
その人の価値観なので、人がとやかく言うことはない。
私にはそういう価値観がないだけであって、良いとか悪いとかの話ではない。

 

しかし、開かれた店舗である快洗隊やガソリンスタンドの場合、
そのような閉鎖的な会員制はあり得ず、
特別に高い価格が存在するわけでもなく、
誰でも、好きな時に、すべてのお客様が自由にご来店でき、
誰もが、同じ品質の商品を、同じ値段で買うことが出来る店舗である。
だから、
特別扱いすべきお客様はあり得ないし、特別なサービスを提供すべきでもない。
快洗隊にも初めてご来店のお客様には、
お名前とご住所を書いていただき「会員」になっていただくが、
会員になっていただいたことによって特別な特典があるわけでもないし、
(マイレージのようなポイントがある)
特別な扱いがされるわけでもない。
洗車とかコーティング作業の順番が優先されるわけでもない。
会員になって次回来られた時から、
リピートしていただいたありがたいお客様として、
他のお客様と同じように大切に歓迎する。

 

しかし、ある店舗によっては、
ある特定な常連客を特別扱いして、
順番を優先したり、
作業を特別にプラスしたりしている店がある。
たとえば、
洗車のたびに特別に毎回内窓拭きを加えたり、
足マットを全部洗ったり、
本当ならば室内清掃をお受けした時にすべき作業を
普通の手洗い洗車の受注のたびに特別に加えたりするのだ。
しょっちゅう来ていただけるので、それくらいサービスは、ということなのだろう。
また、しょっちゅう来ていただいているので内窓もマットもほとんど汚れていず、
たいした作業量にもならないので、まっいいか。でやっている。

 

一見、常連客にはそれぐらいのサービスは「気が利く」レベルであって、
とやかく言うことではないように思えるが、

 

実は、これは、開かれた店としては“致命傷”になる。
致命傷になることもある。ではなく、必ず“致命傷”になると断言する。

 

開かれた店は、
何がどうであっても、お客様は平等でなければならないのだ。

 

誰でもが自由に来店される開かれた店舗においては、
どんなにたくさんの商品を買っていただいたお客様であろうと、
足しげく通っていただいている常連のお客様であっても、
お客様として平等に扱うべきであり、特別なお客様は存在してはいけないのである。
飛行機のファーストクラスとか
(一度乗ってみたいがあり得ないだろう)
新幹線のグリーンシートとか、
「特別な商品・サービス」を「特別な高い価格で買う」ことはあっても、
他の人と同じ価格で、同じ商品を買う限り、
特別な扱い、
特別な付加サービスは、
開かれた店においては、絶対にあり得ないのである。

 

絶対に忘れていけないことは、
常連さんに対する特別扱いは、
他の普通のお客様(特に新規のお客様)に対する差別であって、
その差別されたお客様は、確実に、その店から去ることになり、
常連のお客様が来るたびに、
差別されたと感じた他のお客様を、確実に駆逐することになってしまうことだ。

 

これは繁盛しない店舗の典型であって、
店舗のスタッフは、“気を利かせて”やっていることだけなので、
スタッフにはまったく自覚はないところが深刻であるのだが、
ちょっと特別なお客様を作ることは、
新規客、普通のリピートのお客様を撃退し、
最も効率的に“ヒマ”な店をつくる最強の方法なのである。

 

たくさんのお客様によって繁盛している店舗を作るには、
特別扱いを期待する特別なお客様を作ってはならない。
これは絶対に譲れない一線である。

 

 

 

今朝の札幌駅前に近いホテルの部屋から撮った道路の様子。
雪がまったくない。
今年の降雪量は例年並みだそうだが、
温度があまりにも高く、雨で、全部、溶けてしまったのだそうだ。
ある意味恐ろしい光景である。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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