谷 好通コラム

2008年12月10日(水曜日)

2084.何のために扉を開けてあるか

一昨日、レースに行った帰りのこと。
サーキットから熊本空港に向かうためにNAVIに誘導してもらったら
10分ぐらいでものすごく景気のいい道路に出た。
阿蘇のカルデラの外輪山をぐるりと巡る「山並みハイウェイ」。
日本一景色のいい道路とも言われている素晴らしい道だ。

 

ちょうど展望台があったので車を降りて一服をした。
大カルデラの展望を腹いっぱい楽しんだあと、
ログハウス風の売店があったので、ちょっと入ってみた。
楽しそうなみやげ物がいっぱいある。
その脇にカウンターがあって「ホットドッグ」とか「コーヒー」を売っていた。
奥にはしゃれたテーブルと椅子がいくつか置いてある。
「ホットドッグ」がおいしそうだったので、
つい注文をしてしまった。
売店の中は寒い。
ホットドッグを食べ始めたらその寒さが我慢出来なくなって、
とても美味しいホットドッグも味わうどころではなくなってきた。
大急ぎで食べて、暖かい車の中に飛び込む。

 

売店のドアは開けっ放しで、
店内もマイナス何度かの寒さがまともだったのだ。
なぜドアを閉めないのだろう。
理由は簡単、「客を呼び込むため」だ。
ドアを閉めていると売店が開いていないかのように見えて
客の入りが悪いのだろう。
だから、外がどんなに寒くても、中がどんなに冷えても、
ドアは決して閉められることがないのだろう。
中に入って美味しい「ホットドッグ」を食べている人が寒さに震え上がっても
ドアは決して閉められない。
客を呼び込むためだ。
(ホットドッグは美味しかった)

 

ほとんどの人が再び訪れることは少ないであろう観光地だから、
いいのかもしれない。
また来てもらうために、来店されたお客様の快適を考えるよりも
客を呼び込むことの方が、この店の売り上げアップにつながるのかもしれない。

 

しかし、我々のように日常の生活の中で人々が住んでいる場所で商売を営む場合、
客の呼び込みばかりを考えて、
来店されたお客様の快適を無視したようなやり方では、
決して繁盛店にはなれないだろう。

 

新しいお客様はぜひたくさん来て欲しい。
しかし、せっかく来ていただいても
「また来たい。」と思ってもらわなければ、
しっかり集客をして新規客が多くても、
ザルから水が漏れるがごとくで、リピートするお客様を蓄積できない。
次から次へと新しい人が来る観光地とは違って、
町に住んでいる人は数が限られ、口コミもあるので
新規客もそのうちに減少して、きっと寂れた店舗になってしまう。
ガランとした店には新規客も入りにくいから、店はじきに潰れるしかない。

 

リピートのお客様を作り出すには、
まず商品。
質の高いお客様に満足していただけるような商品がなければ、
決してお客様は再び買おうとは思わない。
そして、お客様を迎える店の環境。
寒くなく、熱くなく、うるさくなく、臭くなく、危なくなく、
そして何よりも汚くない、居心地が悪くない環境が必要である。
そして実は一番必要なのかもしれないお客様を歓迎するスタッフの心。

 

何一つ欠けても、せっかく来店いただいたお客様を逃がすことになる。
集客に一生懸命になるのは、ビジネスとして当たり前だ。
しかし、せっかく来ていただいたお客様を満足させられなくては、
集客の意味はまったくないどころか、
不満を持ったお客様をかえって増やすことになって、逆効果になる。

 

テレビコマーシャルを流して、
お客様に「キーパーコーティング」を知っていただいても、
キチンとした施行でなければ「な~んだ、こんなものか」で逆効果になるし、
不快を感じさせる環境でお客様を待たせれば逆効果になるし、
お客様を歓迎する姿勢と気持ちがなければ、
広範な告知による集客は、広範な逆効果を呼ぶことになりかねない。

 

世の中にキーパーコーティングの名前をあえて広めるならば、
私たちは世の中に対して、それなりと責任と覚悟を持たなくてはならないのだ。

 

そんなことをしみじみ思った。
私があのホットドッグが美味い店の店主だったら、
扉を開けて置くだろうか、閉めただろうか。自省せねばならない。

 

 

夜、すっかりクリスマス色に染まった名古屋駅から新幹線に乗って、
たった今、新横浜のホテルに着いた。

 

にぎやかな名古屋駅周辺。

 

 

新横浜駅は駅ビルが出来上がってので、もう工事は終わりかと思ったら
まだ、何か工事をやっている。
いったい何を作っているのだろう。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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