谷 好通コラム

2008年10月26日(日曜日)

2046.上海蟹の旅、美味しい34枚の写真

まず最初に「くっそーっ」「しまったー」と言っておこう。
ちょっとの差で、インスト日記にH.オサムが上海の話をアップしてしまったのだ。
読むと、かぶっている部分もある。
しかし、いまさら書き直すのも面倒だし、しゃくでもあるので、
そのまま載せることにする

 

 

上海では美味しいものをいっぱい食べた。
到着したその晩の食事は
頼さんと、兪さん、郭さんと私たち三名で中国の北の地方の田舎料理を食べに行った。
素朴な中国料理と、
メインは「羊のすねの骨付き肉」
両手にビニールの手袋をはめ、両手で羊の骨を持ってかぶりつく。
スパイスの香りが効いてこれは美味い。

 

(この写真はH.オサムも載せていた。完全にかぶった)

 

 

百楽門ホテルに泊まるのは、
朝のブッフェに出ている「おかゆ」と「塩たまご」が大好きだから。
李さんが「もうないかもしれない」と言っていたが
幸運にも“あった”。
「塩たまご」というのは、
鶏の卵を塩に漬けて軽く発酵させてあるような感じで、
塩っからくて独特の発酵の香りと味がする。
米だけのお粥に乗せて食べるとものすごく美味しいのだ。
ただ、これを最高に美味いと言うのは、いまだに私しかいない。
わかんないかなぁ~、塩たまごのうまさを・・。
左の方のチョッとぐちゃっとしたのが塩たまご。

 

 

百楽門ホテルの前にあった古いビルには、
メチャクチャ美味い「火鍋」の店(酒部も絶賛)が入っていた。
いつの間にやら周辺の建物もろとも壊されて、
その跡に巨大な超高層ビルが建てられていた。
1年位前に百楽門ホテルに泊まった時にはこんなものはなかったはずだが、
あっという間に建ってしまったのだろうか。

 

 

朝、一つの工場に行ってから、
快洗タオルの陶さんの工場に行った。
会議室のテーブルを挟んで私と陶さん、
李さんが陶さんの隣に座って通訳する5年ほど前からの同じ懐かしい光景だ。

 

 

陶さんの娘さんがいた。
小さい時一緒に食事をしたら、
好物の「アヒルのくちばし」ばかりを食べていた
あの子が、もう十四歳だという。時の流れを感じる。

 

 

タオル工場の中。快洗Taoるの山である。

 

 

5年前、かなり安く提供できたこのタオルも、
「元」がドルに対して高くなり(ドル建てで決済している)、
綿糸が高くなり、増値税という中国独特の売上税の戻りが少なくなり、
労働者の給料も上がって、
5年前と今では中国での生産コストはかなり上がってしまった。
だから日本での販売単価も
過去5年で二度上げさせてもらったが、
いまなおピークと変わらない量を使っていただいているのは、
快洗Taoるの持っている独自の吸水性と
品質が一定であったことを認めていただいた結果ではないだろうか。
食料品の混入物事件などで中国製品の品質に対する不安が日本でも大きくなっているが、
今後、中国が経済の発展を維持できるかどうかは
「品質」の一点にかかっていると言っても過言ではない。

 

 

さあ、上海の街を抜けて一路「陽澄湖」に向かう。
高速道路に入るまで、
高速道路建設の為の工事のガタガタ道をゆっくりと進む。

 

 

「陽澄湖」は上海から約1時間半、北西の方向にある小さな湖だ。
濁った水は汚染されているのではなく、
上海蟹が住むための栄養がたっぷりの水であるのだそうだ。

 

 

上海蟹は竹で組んだ骨組みにぶら下げられている合成樹脂の水色のケージに入れられ、
延々と湖の中に沈められていた。

 

 

上げられたケージの網目から覗き込むと、
形のいい上海蟹がびっしりと入っている。

 

 

元気な上海蟹。

 

 

食卓である。
選んだ酒は、1939年ものと書いてある紹興酒。
蟹に合うそうだ。

 

 

それと、「白酒(バイチュウ)」と呼ばれる52度の強い酒。
今日はその中でも有名なマオタイの酒である。

 

 

小さなグラスでクイっと一気に飲む。
チビチビ飲んではダメなのだ。
ドイツの「シュナップス」と同じようにクイっと飲む。

 

 

上海蟹が出る前に地元で取れた料理が出る。
川えび、タニシ、鶏のスープ、野菜料理、・・・どれもとても美味しい。
料理を食べながら、バイチュウで何度も「カンペイ!(乾杯)」をやる。
乾杯だから、必ず飲み干さなくてはならない。
とても小さなグラスなのだが、52度の燃えるぐらいの酒なので、
何度も「カンペイ!」をやると、強烈に効く。

 

右の方で「クッファー」とやっているのは
バイチュウのカンペイ!3杯目くらいのH.オサム。
左の方のちょっとつまらなさそうな表情をしている人は
運転手役をおおせつかって酒を飲めない陶さんの弟さん。

 

 

上海蟹前の料理の最後は「すっぽん」1匹丸ごとである。
口の周りがコラーゲンでこってりとなる。

 

 

本番である。上海蟹!
大きいほうがオス。チョッと小さいほうがメス。
先にメスを食べる。
オスが美味しい時期とメスが美味しい時期が重なっている
両方とも美味しい時期なのだが、十月中はオスがとりわけ美味しいので、
先にメスを食べて味噌のうまさを楽しんでから、オスの身の美味さを堪能する。

 

 

しばらく会話が成り立たない。
ひたすら「うまい。」とつぶやきながら蟹を食べる。
古今東西、蟹を食べる時に見られる共通の現象である。

 

 

ひとしきり食べて、陶さんがニコニコでピース。

 

 

続いて頼さんがニコニコでピース。
2人とも、唇に“美味しさ”の痕跡がありありと残っているのが解るだろうか。

 

 

李さんも上海蟹の美味さにうっとり、
H.オサムはあまりもの美味さに「ウ~~~ム」絶句。
来月の全国巡業の“前”慰労は、完璧であった。

 

 

スモーカー同士の至極の時。
陶さん、ご馳走様でした。

 

 

「陽澄湖」の畔のレストランは、
本当は畔に建っているのではなく、“湖に浮かんでいる”のだ。
三階建てのほぼ同じ形のレストランはずらっと並んだ船と巨大なウキで支えられている。

 

 

「陽澄湖」で上海蟹をたっぷりと堪能したあと、
湖から10ほど離れた太倉という街の立派なホテルに行った。
ホテルでは周さんご夫妻とお会いした。
周さんは太倉で工場を経営している実業家である。

 

 

李さんが「奈良のお父さん」と呼んでいる人がいて、
学者さんなのだが中国と親交が深く、
縁あって李さんの身元引受人だけでなく本当の親と子のような関係であり、
その奈良のお父さんと周さんは親友なのだ。
6年前、私が李さんに「中国でタオル工場を探して欲しい。」とお願いした時、
李さんが奈良のお父さんを通じて周さんに依頼し、
その頃、周さんが可愛がっていた真面目な青年「陶さん」を紹介してくれたのだ。

 

李さん⇔奈良のお父さん⇔周さん⇔陶さん。
この金銭関係をはるかに超えた「信頼と尊敬で結ばれた“縁”」が、
アイ・タック技研と陶さんの“縁”を作り出してくれた。
陶さんはその信頼の“縁”に応えて、
1年間の我々との開発の末「快洗Taoる」を創り出してくれたのだ。

 

ここに快洗Taoるの輪が集まった。
これに奈良のお父さんが加われば完璧な輪であった。
ちなみに周さんの奥様は言語学の博士号を持った学者さん。すごい。

 

 

翌日、周さんの工場に伺った。
工場は日曜日にもかかわらず、ほとんどフル稼働である。
注文が多く、生産が間に合わないのだそうだ。
清潔な工場で、真面目な労働者が私語もなく淡々と働いている様子は、
こんな品質を大切にしている真面目な会社が、
これかの中国の中で生き残っていき、本当の成長を支えていくと思った。

 

 

実は私は中国に50回以上も行ったが、
中国は「安いだけ」で成長してきた国であって、
たまたまその中で金を儲けたにわか金持ちが、質の面での進歩を忘れて
目先の利益だけのために信用も信頼も台無しにしながら
成金趣味を撒き散らし、威張り散らしている姿に嫌気が差して
この国は世界の時代の流れの中に取り残されると、中国に見切りをつけた時期があった。

 

そして世界的な金融危機を前にして、
いよいよ、一度ほとんど全部がぶっ壊れて、
投機に走り楽な金儲けに没した連中が破産し、
品質と信頼を第一にする本物に成長したわずかな企業が残る時が来る。
必ずそんなときが来ると考え、一度中国での能動的な活動を停止した。

 

しかし、我々の縁に信頼を大切にする人々が間違いなくいるのだから、
そんな人達を、これからもしっかりと応援していかねばと考えた。
もう始まったのであろう中国のバブルの崩壊を、
真面目な人たちは「危機」と考えずに、
いい加減なバブルに乗っているだけのエセ企業がバブルの崩壊と共に葬り去られ、
本物だけが残って、本来の競争力が発揮される「チャンス」の時と思って欲しい。
そんなことを、一生懸命に話してきた。

 

 

そういう意味では真面目に仕事もいっぱいしてきた。
しかし、やはり、
今回の本命は、上海蟹であったことも事実である。
美味かった。大変美味かった。非常に美味かった。

 

 

明日から、・・・・真剣にダイエットである。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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