谷 好通コラム

2008年10月08日(水曜日)

2032. まず否定するか、肯定するか

一つの物事を、言葉で表現するのに、
ネガティブ(否定的)に表現してしまうか、
ポジティブ(肯定的)に表現するのかで、相手の受け取り方はまったく違う。

 

たとえば、
今日、快洗隊の店長会議で、
「お客様が来店され、
『洗車できますか?』と聞かれたが、
作業開始までに30分の待ち時間があった場合、
まず、お客様にどうご案内するか。」そう問いかけた。

 

たとえば、
「ただいま予約の車が詰まっていますので、
作業の開始が30分後からになってしまいますが、よろしいですか?」

 

このように、
洗車が出来るかどうかを返事せずに、
作業開始が30分後になることをまず言うのは、
実は、「お断りの言葉」になってしまっていること確認しておきたい。
お客様の立場になって考えればすぐ分かることだ。

 

「洗車出来ますか?」と聞かれているのに、
洗車が出来るとも出来ないとも返事をせずに
最初に作業開始時間が30分後になることを告げるのは、
「今は、忙しい。」という意味であり、
お客様から「洗車出来ますか?」と聞かれ、
スタッフは「今、忙しいです。」と答えた事になる。

 

違う例えで言うなら、
たとえば、何かの営業マンが客先に電話を入れて
「今から、ちょっと伺いたいのですが、いいですか?」と聞いて、
相手から「はい、今、忙しいですね。」と答えられたら、
訪問を断られて事になるだろう。
それと同じようなことで、
「洗車出来ますか?」と聞かれて、
「作業の開始が30分後になりますが、いいですか?」と、
最初からお客様に選択を迫るのは、
まず相手の都合を聞くことであって親切なように聞こえるが、
実は、明確に断りの意志を伝えている事になるのだ。

 

 

逆の例で、
「洗車出来ますか?」と聞かれて、
まず「はい、出来ます。ありがとうございます。」と言う。
そして店内にご案内し、
メニューで注文をいただきながら、
「では、あちらの車の作業が終わりましたら、すぐにかからせていただきます。
作業終了予定時間は○時○分になりますので、
このままお待ちいただいてもけっこうですし、
作業の開始時間が30分後くらいだと思いますので、
30分後、改めてお越しになっていただいてもけっこうです。」

 

これは、
出来ることを先に告げ、感謝の言葉を言った。
まず、お客様に対して「歓迎の姿勢」を示したわけだ。
その上で、作業の開始時間が30分後になることを申し上げて、
そのまま待たれるか、
30分後に予約を入れて改めてお越しいただけるか、お客様の選択を聞いた。

 

この場合は、まったく断っていないし、むしろ歓迎している。
この二つ例で、言葉の持つ意味の違いが分かっていただけるだろうか。

 

お客様のためを思っているようなつもりで、
実は断っている言い方
「作業の開始が30分後からになってしまいますが、よろしいですか?」
であると、
「じゃ、いいや。また来るから。」
と帰ってしまう人がかなり出るだろうが、

 

「はい、出来ます。ありがとうございます。」から始まる言い方では、
まずお客様は歓迎されてしまっているので。
作業の開始が30分後であっても、
「そのまま待つ」か、
「一度帰って、30分後にまた来るか。」のいずれかであろう。

 

もっと簡単に言うならば、
「今は出来ません。」か、
「出来ます。30分後に出来ます。」の違いだ。
まず否定するのか。
まず肯定するのか。

 

この差は大きい。
ハッキリとした差の結果をだす。
肯定の言葉と誠心は「繁盛店」を作り、
否定の言葉は、見事に暇な店を作り上げるのだ。

 

抽象的であるようだが、
この差は、実は、
ものすごくはっきりと具体的であって
ほとんど決定的な差と言える。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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