谷 好通コラム

2008年09月21日(日曜日)

2022.正解はいくつもある。

一つの事に対する真実は、いつも一つかというと難しい問題である。
たとえば(1+1=2)は唯一の解かというと、
算数的にいえば間違いなく唯一の解であろうが、
そうでない場合もたくさんある。正解はいくつもあるのだ。

 

例えば、
通常1人でやるべき洗車作業の場合、
1人でやれば約20分の時間でマニュアル通りのキレイさが提供できる。
これを2人でやれば10分に時間が短縮できるかというと、
たいていの場合15分くらいかかって、しかも、
キレイさは二人がお互い「向こうがやっただろう」と洗い漏れが出る可能性がある。
つまり、何かの都合で1人でやるべき作業を二人でやる場合は、
1人でやる時よりもむしろ洗い漏れが出ないように余分に神経を使う上に、
時間は半分にはならない。
この場合、単純に1+1=2にはならないわけだ。
1+1≒1.6。
しかも品質維持に余分な神経が必要となり、
良いことはほとんど何もない。

 

でも、スタッフが2人いて、作業すべきお客様の車が1台であった場合、
1+1=2にならないからといって
1人だけが作業をして1人が遊んでいるというわけには行かない。
お客様からすれば
「俺、急いでいるのだから、2人いるんだから、2人でやれよ。」
と思われることもある。
こんな場面は、やはり2人でやるべきだろう。
少なくとも5分は時間が短縮するのだから。

 

しかし、だからと言って、
1人でやるべき仕事を、2人でやることが日常化し、
いつでも二人でやるようになったりすると、
その店はあっという間にダメになる。

 

1人でやるべきとしている作業を、
2人でやる時は1人でやるとき以上に余分に神経を使わなくてはならない。
しかしそれが日常的になると、
当たり前の神経しか使わなくなるのは必然であって、
当然、仕事の質は落ちることになる。
品質の低い商品を提供するようになれば、お客様は離れる。

 

しかも、店が忙しくなって仕事の量が増えた時、
1人でやるべき仕事も2人でやることが習慣になっていると、
1+1≒1.6であり作業効率が激減して、
一つの仕事を1人でやっている場合の約2/3の仕事量しかこなせなくなり、
スタッフのみんなの疲労感に比べて、
妙に実績が伸びない店になってしまうことがある。

 

私はよく「人が多すぎる店は、腐る。」ということを言う。
不要に人数が多すぎる店は、
「1人でやるべき事を2人でやる」が“日常化”する危険性を持っていて、
その危険性が実現してしまうと、
店全体の仕事の効率が2/3以下になり、しかも品質が落ちる。
なお悪いことに、暇は人をむしばみ、
店が無駄話の花園となって、スタッフの神経が自分たちに向き、
お客様に対して神経が行き届かない、
つまり「気が利かない店」になって、
商品、接客の両面からCSが崩壊し、同時にESも潰れる。
「人が多すぎる店は、腐る。」のである。

 

だからと言って、
人が少なければいいのかと言うと、そうではない。
必要よりも少なすぎる人数は、
その店を台無しにする。
少なすぎる人数の店は、そのスタッフがどんなにがんばっても
お客様の期待の量に応えることが出来ず、
仕事量と品質に応えることが出来ず、
お客様に迷惑をおかけするだけでなく
せっかくスタッフが持っている「仕事のやりがい」とか、
「お客様への感謝の気持ち」がむしばまれ、
CSとESが同時に崩壊する。

 

仕事量と人の数は適切にバランスしていなければならないのだ。
一つ目安として「人時生産性」という係数がある。
単純に付加価値を労働時間で割った数字なので、
その店舗が持っている色々な事情、
たとえば、新規店であって発展途上であるとか、
研修生がいるとか、下請け仕事が多く仕事事態の効率が良くないとかで、
数値が必ずしも絶対的なものではないが、
店舗効率と店舗人数が適切であるかの一応の目安となる。

 

快洗隊で言えば、平均で約3,800円/人時となるが、
2千円台の店もあれば、4千円台の店もあり、
その店の今の事情と、今後の計画によって、正解の数字はない。
正解はいくつもあるのだ。

 

今日は6軒の快洗隊を回った。
あいにく天気予報は最悪で、
午前は曇りだが午後からは降水確率100%で、気象庁保証付きの雨である。

 

まず、大府店。
店舗は暇で、8月に開店して予定通り9月の少ない客数で苦しんでいる。
訪れた時、一台だけご来店のお客様の車を洗っていた。
それも「2人」で洗っていた。
もちろん正解である。
店長の藤村君は初代の安城店店長で、忙しい快洗隊を一番知っている一人だ。
今のこの場面なので
「いつもより神経を使いながら、」
チームーワーク良く2人で洗っている。

 

今日は天気予報が悪かったので、朝から2人だけのシフトを組んだらしい。
新店であるこの店の状況からすれば正解なのだろう。

 

 

次に行ったのは東海店。
チーフの伊藤君と、ベテランアルバイト君の木林(きばやし)君。
それに大阪から研修に来ている坂本君。
お客様は一台だけで木林君が1人で洗い、
伊藤チーフは坂本君の洗車訓練をしていた。今日、テストをやるらしい。
この店も正解である。

 

 

!????・・・
!!!!?????????????????????? !!
・・・?!

 

 

次に岡崎店に向かうが、
そのついでに、
岡崎店から40分ほど先の「スパ西浦サーキット」に行った。
本格的にレースに復活するために、近くに出来た新しいサーキットを下見に行ったのだ。
コース全長1.59KMは、なかなかの長さ。
数ある1KM前後のミニサーキットとは一味違うかもしれない。

 

たしかに、なかなかの広さである。
ストレートも500m近くあって4速までは入るだろう。
高速コーナーらしき所もあり、S字コーナーもある。
しかし「やっぱり」、
ミニコースの定番、コースの距離稼ぎの
「狭いヘアピン」の2つ連続があった。
あれはストレスが溜まるだけで、
まったく面白くもなければテクニックも何もない。
ただただ我慢してグリグリグリっと回るだけ。
コース全長が300mぐらい短くなっても、せめてシケインぐらいにしておいて欲しかった。
あんなものはタイヤが減るだけである。
コースが300m長くなるのがいいか、ストレスのたまり場を無くすか、
正解が何なのか分からないが、
少なくとも私は、小腸のようなあの狭い連続ヘアピンは大嫌いだ。

 

 

とは言いつつも、西浦サーキットは美しい三河湾の海沿いにあって、
非常に気持ちのいい所にあり、明日、明後日にでもゴルフGTIカップカーを持って来て、
「走るぞ~~~」という気分になった。(思い立ったら速いほうがいいのだ。)

 

 

岡崎店に行く途中で雨が降り始める。
100%の降水確率だから当たり前といえば当たり前だが、残念だ。
岡崎店に行ってびっくり。
なんと6名もスタッフがいるではないか。
雨がザーザー、来店中のお客様はゼロ。
でも、みんなニコニコ。
鈴木店長に何か考えがあるのだろう。
なんと言っても、岡崎店はいつも人時生産性トップで
4,000円/人時を切ったことがないのだ。
9月はただいま実績でもトップ。
よく分からないが鈴木ヒロマサ店長の自信たっぷりの表情が正解の証だろう。

 

 

そのまま安城店に行く。
ここも最近、抜群に実績がよくて8月は岡崎店とデッドヒートの末トップを取った。
人時生産性も4,000円以上の常連だ。
ここでもびっくり仰天。
お客様が一台もいないのに、なんと7名もスタッフがいるではないか。
よく見ると新しく入ったばかりの新人土日アルバイトさんが2人、水野君と関口君。
新人の社員スタッフも2人、古林君と根津君(新人かな?)
ベテランは3名だけで、
雨が降った今日の日曜日を絶好の訓練日和と考えて、全部で7名もいるらしい。
多分、ここも正解であろう。大正解かもしれない。

 

 

本日の5軒目は「知立店」
ここでもびっくり。
なんと店からお客様の車があふれ出そうになっているのだ。
雨はかなり強く降っている。

 

 

「どうしたの?この人達、洗車?」と聞いたら、
「全部、キーパーです。」と竹内店長。
カーコーティングは洗車と違って雨の日でも仕事がある。
その場で車をキレイにするだけでなく「車を守る」役目がカーコーティングにはあるから。
とは、言って来たが、
ここまで見事にキーパーのお客様が、土砂降りの中での来店を見ると、
やはりびっくりしてしまう。
目の前に大型スーパー「アピタ」があるからなのだろう。
しかし、スタッフは3名だけ。
しかも新人の大和君が含まれている。
「さすがにこの雨では、今日は3名で十分だと思ったんですが。」
竹内店長の言葉には、
誤算であっても、たくさんの来店は嬉しい限りの気持ちがあった。
これも他の店とは違った正解であろう。

 

 

新人の大和君は、すでにきちんと知立店の一員となっていた。

 

 

最後に刈谷店に行ったら、またまたびっくり。
なんと山本チーフ一人しかいなかったのだ。
雨が降り出して予約もなくなり、お客様が来なくなったので
みんな帰してしまったのだという。
これはこれで正解かもしれない。そういう状況だったのだろう。
アクアキーパーが一台あったのでそれなりの売り上げはあるというものの、
それにしても1人とは・・・。
だっだいじょうぶか、やまもとー。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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