谷 好通コラム

2008年09月19日(金曜日)

2020.諸悪の根源は我にあり

今日、昼から出席した講演会は面白かったが、
ある意味苦痛でもあった。

 

相手の側に立って物を見、
相手の立場で物事を考えなければ何も解決しないとし、
その観点からすれば、自分を一番知らないのは自分であると言う。
たしかにその通りだと思う。
しかし、自分としては、
自分を一番知っているのは自分であると思っていた。
ほとんどの人、あるいは誰もが、そう思っているだろう。
しかし、講師の言うことは理にかなっていて、否定のしようもない。

 

会社の社長で
「自分がいなければこの会社はダメになる」と
思っている人こそ、
最もいない方が良いタイプの社長であると言い、
諸悪の根源であるとまで言う。

 

その症状として、
みんなとのミーティングで自分ばかり喋って、
みんなにも発言を促すが、
誰もなかなか喋らないという場面には
自分に身に覚えがある。

 

「くっそー」である。

 

たしかに、そういう社長を私は知っているし、
私もその社長に対して
その会社の抱えている困難の元凶が、その社長にあることも知っている。
外から見ると、私もそうなのであろうか。
「う~ん、・・・そうかなぁ~~」

 

 

講師の言っていることは、
うなづけることが多く、学ぶことも数多い。
「何でも人にせいにする人は、自分が自分の人生の主役であることを放棄している。」とか、
「大事にされていない従業員が、お客様を大事にするわけがない。」とか、
「説教で人を変えるなんて不可能である。」とか、
納得、納得と思うこともいっぱいあるが、
いかに謙虚にならなくてはと思っても、
「会社にとっての諸悪の根源は我にあり」は、
感情的にむっと来る気持ちの部分もあって、
「そんなことはないぞ~」とも思う。

 

だから、「自分を一番知らないのは自分である。」となるのか。

 

私はこのコラムを書いていて、
自分で正しいと思ったとおりの事を書いたはずなのに、
思ったことを文章にしているうちに、
その内容が矛盾していたり、間違っていることに気がついて、
考えを変えることもたびたびあった。
自分の頭の中だけで考えていると、
自分の都合に合わせて論理を組み立てることもあるし、
自分を正当化する防衛的反応になることもある。
だから考えを客観的な文章にする過程で、
そこにある歪曲や自己矛盾、間違いに気が付くことがあるのだろう。
部分的であれ、自分を外から見たことになるのかもしれない。

 

あるいは、会議の中でみんなの発言を聞いているうちに、
自分の発言をくつがえすこともある。
けっこうよくある。

 

だから、自分が考えていることが
間違っていることもいっぱいあることは知っている。
知ってはいるが「自分を一番知らないのは自分である。」とまでは思わなかった。
ましてや「会社の諸悪の根源は我にあり。」とは思っていなかった。

 

しかし、この間、みんなに話をしている時に、
「結局、最終的に俺がイカンのだよな。」というところに
行き着いたこともある。

 

会社にとって悪いことがあれば、
この根源として、自分に不足があり、間違いがあり、
自分が変わらなくては、結局、何も解決しないことは正しいのだろう。
その意味はわかる。
だから経営者なのだろう。

 

だから何をすべきなのかは、
意外と「諸悪の根源は我にあり」を前提に考えていくと、
意外にも簡単なのかもしれない。
自分にとってその意味も分かってきたような気もする。

 

しかし、
「自分を一番知らないのは自分である」として
「他人から見た自分」を露骨に突きつけられるのは、
さすがにイヤだな。
それが自分にとって一番イヤなことであるとは容易に想像できる。

 

たぶん、
「自分を一番知らないのは自分」だから。

 

 

しかし、思いっきり鼻をかみたい気分はなんだろう。
「ブッーーーーっ」って。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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