谷 好通コラム

2008年09月03日(水曜日)

2009.電気自動車がやってくる

9月に入ってからの天気予報が不安定だ。
テレビを見れば、
局地的豪雨の発生が、
まだ日本全国のあちこちであることを報じている。
アメリカでは巨大にハリケーンに怯えるように
100万人規模での避難があり、
それが空振りに終わったことを報じていた。
こんなことは今までなかったのでないだろうか。

 

「観測史上初の・・・」「観測史上最高の・・」
というような記録が、ちょくちょくあって、
今の天候が、観測史上の中で新しい局面に入っていることを感じさせる。

 

CO2の増加による地球温暖化が
現実の異常気象として地球全体を覆いつつあることを思わせられる。

 

2010年に三菱自動車が「電気自動車」を発売するそうだ。
現モデルの軽自動車を電気自動車にするもので、
その走行コストは1円/kmであるという。
しかしまだ、車両自体が300万円もするそうで、
標準的な主婦が乗る走行距離では、
車両価格の高い分を走行コストでペイするためには15年かかり非現実的だが、
一般的なドライバーならば7年でペイするらしく現実味が帯びてくる。

 

これにハイブリッド車のように国からの補助がつけば、
もっと現実味を帯びてくるし、
そうなれば生産台数も増え、車両製造コストも大幅に下がるだろう。
元来、電気自動車はガソリンエンジン車に比べて極端に部品点数が少ない。
車の中でもっともコストがかかっているエンジンそのものが
単純な電気モーターで済んでしまうわけであるし、
燃料噴射装置も、エンジンブロックも、ピストンもコンロッドも、
リングもあらゆる部品がなくなり、冷却系も、触媒などを含む排気系も、
ボンネットの中などにあるほとんどのものが無くなって、
電気モーターがポツンとあるような車になる。
また、電気モーターの持っている特性として回転数ゼロから数万回転まで、
同じようなトルクが得られるので、
トルクコンバーターなどのミッション関係が必要なくなり、
燃料タンク、ポンプなどの燃料関連もきれいさっぱりなくなる。
極端な話、動力に関わるたくさんの要素が電気モーターだけで済んでしまうのだ。
その代わりにバッテリーが大きなコストとして加わる。

 

今の車の大きな部分を占める動力系、駆動系がごっそりなくなって、
車自体のコストは激減する。
今は開発費が大きくかかり、それにバッテリーなどのコストが加わってとても高いが、
今のハイブリッドカーのように本格的な量産体勢になれば、
バッテリーの改良も爆発的に進んで、
おそらく車両コスト自体は、大きく下がるのではないか
あくまでも素人感覚だが、
一台50万円くらいのシティカーが出来てきても
おかしくないような気がするのだ。

 

電気自動車が本格的に普及し始めると、
燃料産業が収縮するのはもちろん、
車の製造に関わるあらゆる部品メーカーに大きく影響が出るのではないか。
日本の産業構造から言えば、
電気自動車の出現と普及は石油業界に打撃を与える以上に、
裾野の広い自動車製造業界にこそ打撃を与えるものなのではないかと思った。

 

しかし電気自動車そのものはCO2を排出しないが、
その素となる電気の発電は、現状で石油を燃やす火力発電が主であり、
日本国中の火力発電からのCO2の排出量は、
自動車からのCO2排出量を大きく上回っている。
要は、
「石油で発電⇒送電⇒電気自動車に充電⇒活動」というエネルギー/燃料の効率と、
「石油を燃料に内燃機関で活動」というエネルギー/燃料の効率の、
どちらが効率が良いかという問題であって、
どちらの効率が良くて、CO2の削減に役に立つかどうかの違いである。
その一つの指標として、
電気自動車にすると1円/kmの効率が得られるという数値があって、
それに加えて電気自動車が主流になった時の製造コストがどのようになるかで、
電気自動車の方が、内燃機関の自動車よりも効率が良いならば、
経済原理として
世の中の自動車が、電気自動車が主流になることは
いかなる手段を持ってしても、
いかなる業界のいかなる意志を持ってしても、
その流れを避ける事は出来ない。

 

その証拠にトヨタ自動車が電気自動車を2010年に実用化することを決定した。
トヨタ自動車ほど
協力工場という名の下請け企業を
大切にしてきたメーカーはない。
そのトヨタが、
構成部品点数が激減する電気自動車の製造に踏み切るということは、
血を分けた家族とも言える協力工場の必要性を
断ち切るような可能性のある車を、
作り始めざるを得ない状況であると言えるのではないか。

 

そんなことを、名古屋から東京への新幹線の中で考えた。

 

 

今日は、東京、千葉と仕事をして、
最後は神奈川の厚木に移動して終わりである。
厚木の近く座間に、我が相模原営業所・青木所長の自宅がある。
ちょうどいいと思って、青木所長の家族を誘って晩御飯を一緒に食べた。
彼の家族は素晴らしい。
文句なしで我が社の一番の家族の一つと言っていい。
いい仕事は、いい私生活から生まれるのかもしれない。

 

営業所として最も優れた実績を上げる旧東京販売三課、現相模原営業所は、
実は、こんな素晴らしい家庭によって支えられていると、思った。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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