谷 好通コラム

2019年07月14日(日曜日)

7.14.二つの真逆の価値観

先日、全国のLABO直営店の店長80名全員と各地区のマネージャー、
そして全営業所の所長たちが一堂に会して
2020年6月度のキックオフミーティングをやりました。
拠点の責任者を全部集めただけで100名を越すようになりました。
拠点責任者だけでこれですから全部集まったら500名は楽に越します。
すごいですね。改めてそう思いました。

 

でも、それだけ多くの人が集まってくると、
それぞれが持っている価値観も様々になります。
人の個性はバラバラです。当然です。
しかし、最低限、
相手(お客様)の喜びを、自分の喜びと感じる感性、
つまり、共感性を持っているかどうかは、
簡単なテストで確かめさせてもらっています。

 

ほとんどの人が”共感性”は持っているので、
後は、きちんとした技術さえ教え込めば、
お客様のお車は間違いなく素晴らしくキレイになり、
お客様にはすごく喜んでいただくので、
その喜びを、共感性を持ち合わせたスタッフと共有することになるので
スタッフの遣り甲斐に通じて、良い仕事を行うモチベーションになります。
「お客様が喜ぶのを楽しみにしてKeePerを施工する。」ようになって、
お客様の満足と、従業員の満足が同時に成立するのが、
KeePerの最も基本的な成功パターンです。
その為にも共感性は最低限必要な要素です。

 

しかし最近は、
もう一つの価値観も確かめなくてはいかんなと思い始めました。
「楽(らく)することを得(とく)と感じる価値観」を持っているかどうか、
持っていたとしても、どの程度持っているかということです。
人は、誰だって苦しいより楽ちんな方が好きです。
私ももちろんそうです。
しかし、楽(らく)することを優先して、
やるべきことをやらないとしたら、
あるいは、やってはいけないことをやるとしたら
それは問題であり、信用できません。

 

共感性をしっかり持っている子ならば、
自分が楽をするために、
やるべきことをやらずに人に迷惑をかけるようなことはしない。
と思ってきましたが、
最近、それとこれとは別の事のようだと言う事に気が付いてきたのです。

 

そんな風に書くと難しい事のように聞こえますがそうではありません。
例えば「山」に登る事で言えば、
山に登る事は決して楽ではなく苦しいこともありますが、
登る途中でもいい景色が見られるし、
みんなと苦労を共にする事は気持ちいいし
山頂に登った時の達成感は何とも言えず素晴らしいものがあります。

山に登るのは大変であり決して楽ではありませんが、
達成感を得る。あるいは、きれいな景色を見る。とか、
楽(らく)とは違った充実した得られるものがある。という価値観と、
反対に、
それよりも家でゴロンとしてビールでも飲んでいた方が楽でいい。
という価値観と、正反対の価値観があります。

 

何事をやるにも、
必ず苦労を伴ったとしても、
その後には、何ものにも換え難い”達成”があります。
人生のすべてがその繰り返しと言っても過言ではありません。
あらゆるスポーツもそうでしょう。
何かのスポーツで勝ったとしても、実利を得られるのはほんの一部のプロで、
その何万倍もいるアマチュア選手たちは実利もないのに、
勝つという達成の為だけに全力で戦います。自分のお金を使ってでも。

 

仕事の場合は、
相手に(お客様に)何らかの価値を提供すれば、
相手がその価値に見合った報酬を払うので、
アマチュアのスポーツマンよりもよっぽど報われますが、
代金をもらえるから、その為だけに仕事をしていては、
お客様の事を思って行う仕事の質には到底及びません。

 

例えば、洗車コーティングの仕事では、
まず受注接客は、お客様が何を求めているのか、真剣に相手の立場になって、
お聞きする接客をしなければ、いい受注になりません。
これがちゃんと出来るかどうかでその店の平均単価が大きく変わります。
実際の作業だって、
マニュアル通りに体と手を動かせば車はキレイになるかと言えば、
そうではなく、自分の目で汚れを見て、それをキレイにしたいと思わなくては、
マニュアルに載っていないので取らなかったなどとバカなことが起きます。
だから「共感性」が問われる訳ですが、

 

それ以前に、「楽する」こと自体に価値を持っている人がいると思ったのです。
その代表選手が「ひきこもり」でしょうか。
引きこもりと言えば中学校、高校生ぐらいがやる問題行動だった思ったら、
今では30才台から40才台、
何と50才代、はては60才代の”大の大人”が、
何万人(何十万人?)も、八十才台の老親に食わせてもらいながら、
「ひきこもり」生活をしていて社会問題になっているのだそうです。
今は、昔より多くの親が「地代」「家賃」で食っているので、
その不労所得に子供も一緒に巣くってしまい、
あるいは親の退職金にたかって、
引きこもっているのでしょうか。
「ひきこもり」は「楽(らく)しているのが一番得(とく)」の典型でしょう。

 

いずれにしても、
食っていけるのならば、
働かない人がたくさんいることに驚く。
しかし考えてみれば、「遊んで暮らす」とは一つの理想。
宝くじで大当たりした人には、働いていた会社を辞めてしまい、
身を崩す人も多いと言う。
あるいは、会社が上場した時に、
持っていた、あるいは与えられていた未上場株が、
上場を経て、何十倍もの値段が着いて、
手持ちの株で遊んで暮らせることに負けて、
会社を辞めて身を崩す人が多いとは、よく言われる話だ。
私も実感として良く知っている。

 

「遊んで暮らす」とは、理想だろうか。
一つの価値観ではあるが、
「何もせず楽している生活」とは、「生きているだけの生活」であって、
自分が人間という、
喜び、怒り、笑い。泣き、愛し合う
社会的な生活をする生き物である事を放棄する事になるのではないだろうか。
せっかく情感豊かな人間に生まれてきたのに
「何もせず生きているだけ」では、得しているとはとても思えない。

 

最近、
仕事でパソコンを覗きぱなしであっても、
何の結果も出てこない人がいます。
多分、仕事が無いのにパソコンを覗いて、
仕事をしているふり(ゲーム?)を何時間もしているのでしょうか。
私には解らない難しい仕事をしているのかもしれませんが、
そうとは思えない人もいます。
「何もしていないのに給料をもらう」という得(とく)をしているのでしょうか。
あるいは、
閑散期には頼んでもいないのに残業をして、
忙しくなると、勝手にお客様を断ったりしたりして、
あるいは、本格的に忙しくなって、
暑さ(寒さ)も厳しくなる時期直前に「忙しいのは嫌だから」辞める人がいたりします。
きちんと仕事をして、
お客様の役に立つ事や喜んでいただく事をして、
仕事仲間や会社に貢献してくれる人とは
正反対の価値観を持っている人もまれにいます。

 

共感性を豊かに持っている人なら、そんなことはないと思ってきましたが、
今では、それとこれとは別の事のような気がしてきました。

 

いずれにしても、
楽する得より、達成とか充実を選択してくれる仲間を選ぶのは、
社長の一番大切な仕事。
そこだけでもしっかりとやれれば、
あとは仲間たちが支えてくれるので、
経営者の仕事もほとんど出来たも同じなのです。
ちょっとオーバーでしょうか。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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