谷 好通コラム

2008年07月08日(火曜日)

1964.イリューシン96-300を見た

札幌の警備体制は超過密であった。
市街地中心部はもちろん、少し離れた地域でもその過密ぶりは半端ではない。
道路の角という角、本当の路地の角までびっしりくまなく警察官が立っている。
昨日のブログで数千人の警察官がいるのではと書いたが、
まったくの間違いで、数万人規模か、
北海道以外の地域での警備まで入れると十万人を超す警備体制なのかもしれない。
まさしく空前の警備体制なのだろう。

 

逆に、観光客は、ほんの少しだけ。
サミットの混乱を避けるために北海道を敬遠したのだろうか。
観光客相手の商売の人が気の毒になるくらいである。

 

しかし、
不謹慎かもしれないが、
私はサミットに期待をしていない。
サミットは世界の強国首脳が一堂に集まって、
これから「世界をどうして行くのか」を話し合う場所のはずだが、
実際はそうではないのではないか。

 

 

戦争のない世界が一部の局所を除いて実現されているのは、
過剰な「核攻撃能力」の存在のためである。
「世界戦争=地球の破滅」の方程式がある限り世界戦争は起こらない。
一方、局所的な戦争においても、
たとえば、
アメリカ1国の軍事力で、
その他の世界中の軍事力を合計しても叶わない強大な軍をもってしても、
アフガニスタンやイラクなどの小国の弱小軍を駆逐できず、制圧も出来ないのは、
ゲリラ戦法が「負けない戦争」を実現しているからで、
すでに世界中から「勝てる戦争」がなくなっている時代になっている。
また、インターネットの世界中への普及で、
情報の遮断の上に立つ「情報の政治的歪曲=プロパガンダ」が
独裁者が生き延びている北朝鮮などの特殊な例を除いて、成立せず、
戦争が「勝てないもの」になってきていることで、
人類の夢であった「戦争のない時代」が実現しつつあるのではないだろうか。
だから、戦争がサミットの主題にはならない。

 

 

世界の政治が最も興味があるのはまず「経済」であろう。
特に中国は、北京オリンピック後に懸念されている経済破綻を如何に回避するか、
あるいは如何にソフトランディングするか。
アメリカは世界の経済的中心の立場を失いつつある現状にどう対処するのか。
もちろん、原油の急騰、食物の急騰など
世界の株式市場から流れ込んでいる投機マネーが商品相場を急激に引き上げ、
世界的なインフレーションの恐れが現実になっている。
地球規模での経済破綻をどう回避するのか。

 

解決しなければならない重大な問題が山積しているが、
これは経済の問題なので、政治的な施策だけで解決できるものではない。
むしろ、「儲かるところにお金が集中する」という市場原理がほぼすべてを決める。
すべての人が儲かろうとするし、すべての国が儲かろうとする。
お互いに自分たちが儲かろうとするのが経済原理でもあるので、
「話し合い」で解決できる要素は大きくはない。
経済は、サミットによる決定的な影響を受けることはない。

 

 

となると、最も重要な問題は
「地球規模の環境問題」であろう。
化石燃料を燃やし続けて大気中にCO2が増え続け、
その温室効果によって、地球全体の温度が急激に上がりつつ問題。
人間などの生き物が生息する地球環境が確実に破壊されつつある問題。

 

片や「環境問題は、金儲けのためにユダヤがでっち上げたニセの問題だ。」
「今、地球の温度が上がっているのは地球規模の循環であり、異常ではない。」
という議論もあるが、
世界中に起きている客観的な事実は、明確にそれを否定しているのではないか。
万が一、結果的に環境問題は気にしなくてもいい問題であったとしても、
これがもし人類滅亡につながるような重大な問題であったら、
「あの時、重大な問題ではないと言ったのは気のせいであった。」では済まないだろう。
それに気が着いた時にはもう人類が破滅する寸前なのではないか。
あるいは、もう後戻りできない時点ではないのか。
だとしたら、「環境問題はない。」とするのは
悪意に満ちた無責任なデマカセと同じ意味を持つことになる。

 

夏の時期、クーラーをかけた時、
設定温度を2゜Cほど上げると驚くほど暑くなる。
1゜Cという温度の意味が思ったより大きなものであることを実感する。
事は深刻である。

 

今回のサミットでも「環境問題」が主題になっている。
しかし、そこで話されるのは、
「どこの国がCO2をどこまで出す権利を持つか。」
「今よりもCO2を出す量を減らす目標を持つか、持たないか」
「経済と環境問題のどちらを優先させるか」
など、言ってみればのんきなもので、
すでに、今時点の大気中CO2の濃度で
将来的に十分、地球が破滅するレベルにあることをそっちのけにして、
これからもCO2を出し続け、
大気中のCO2濃度が高くしてしまうことを前提に、
「出す量をどこまで減らすか」「出し続ける量をどこまで減らそうか」という話だ。
大気中のCO2をもっと増やす話であって、減らす話ではない。

 

もうすでに限界値を越えるCO2が大気中に蓄積されているのだから、
「大気中のCO2をどうすれば減らすことが出来るか。」
議題はそこに集中すべきではないのか。

 

それぞれの国の持っている経済的な損得と、
地球規模の破滅を天秤にかけることは出来ない。
地球規模での破滅を前提とした経済などあり得ないのだから。

 

CO2を出し続ける量を如何に減らすかではなく、
今ある大気中のCO2を減らすことが、最優先の課題ではないのだろうか。
サミットでは、そのような議題にはまずなるまい。
とりあえず「地球を守る」という言葉に首脳全員が協調した上で、
どのようにCO2を出し続けるかの話につながるのは、
地球全体のことよりも、自国の、あるいは自分の経済の方が気になるからではないか。

 

地球の大気中のCO2を、
「固定化」、炭酸カルシュウムなど固形の状態に固定する技術は
アメリカの軍事費の半分の予算で開発できるはずだと、
雑誌に書いてあった。
本当かどうか、あっているのかどうか私には全く分からないが、
世界のCO2の大半を出し続けている国の首脳が集まる話し合いの場で、
是非そんな話がされればいいなと思う。

 

世界の首脳、いわば人類の代表が話し合うべきは、
「どの国が、どれくらいCO2を出し続けるか。」ではなく、
「どの国が、どんな方法で、どれくらい大気中のCO2を減らす行動が出来るか。」
ではないだろうか。
各国の首脳が集まって話し合う場なのだから、
それぞれが地球規模の視点にたって「世界をどうすれば救えるか」を議論して欲しい。
しかし、実際には
「世界の中における自国の利益」を主張しあう場になるのだろう。
たとえその結果が、地球を救うことにならなかったとしても
自国の経済的な目先の利益を優先することにサミットの意味を見出すのならば、
つまり、環境問題が、実は経済問題としか語られないのならば、
残念ながらサミットに期待するものはない。

 

数万人規模の警察官が路上に立ちつづけ、じっと耐える警備風景を見て、
首脳の自国での自分の政治的効果を狙うのが目的になりがちなサミットに、
地球的な貢献が期待できるものがないならば、
この警官たちは、むなしい仕事をしていることになってしまう。

 

千歳空港へ向かう高速道路の脇の草むらに機動隊員が一人歩いていた。これも警備なのだろう。

 

 

私はよく言う。
「私はもう歳だから、地球温暖化で世界が灼熱地獄になるところを見ることはない。
しかし、若い人たちは大変だよね。君たちの将来は暑い世界だよ。他人事ではないよ。」
もちろん、これは逆説的な比喩であって、
自分の子供たち、仲間たち、知っている人たち、知らないたくさんの人たち、
ましてや孫たちが、暑さに苦しむのは耐え難いことである。
しかし、もっと思うと、
私たち人間の魂が輪廻転生で何度もまたこの世に生まれてくるものならば、
私の魂も、灼熱地獄を何度も経験することになるのだろう。
「歳取った私たちはいいけど・・・、」ではないのだ。

 

今、何が一番大切なのか。
何が一番優先されるべきことなのか、
人類のトップクラスの頭脳が集まり、考え、話し合うサミットで、
懸命な話し合いが出来るといいと思う。

 

せっかく世界の権力を牛耳っている大国の首脳が一堂に集まるのだから、
こんな機会にこそ大きな視野を持って
「世界のため」「人類のため」「地球のすべてのため」を議論すべきではないか。
こんな機会だからこそ、
「自国の利益を越えた地球規模の利益」を議論するのか、
こんな機会だからこそ、「世界の中の自国の利益」を主張するのか、
どの国の、どの首脳が、前者なのか後者なのか、賢者なのか愚者なのか、
広く世界のことを考えられるリーダーなのか、
自国の利益のことしか考えられない愚かの国のリーダーなのか、
彼らが言うことをじっくりと聞こうではないか。

 

 

それにしても、すごい警備体制だ。
空港前は何重にも検問が置かれ、トランクの荷物まで全部見られた。
私も何かで捕まりそうな気がしてくるぐらいだ。おお こわっ。
ご苦労様です。

 

 

空港の政府機専用の駐機場に、世界の要人機がずらっと並んでいたのには感激した。
サミットなんざそっちのけで、
飛行機好きとしては大感激であった。

 

ほんのチラッとしか見えなかったのは残念だが、
米大統領機「エアーフォースワン」ボーイング747-400?
多分フランス政府機ではないだろうかエアバス300R-600?
多分ドイツ政府機のエアバス340
ボーイング757も見える。

 

 

そして奥にあるのが中国政府機のボーイング747-400
そして手前の3機はロシアの政府機である。
初めて見たイリューシン62が右の一機!
イリューシン96が二機停まっている!
大統領機だとしたら最新のイリューシン96-300だ!

 

イリューシン62も96も、ずいぶん以前の雑誌で見たことがあるだけで、
こんな機会でもなければ決して見ることは出来ない。
何故かと言えばあまりにも性能が低いので、
ロシア政府と政府直轄のアエロフロートでしか採用がされなかったからである。
しかし、ロシアの最新鋭機である事には違いなく、
飛行機ファンとしては、
「ギャ~~、イリューシンじゃん。それも62と96両方いる。すっげぇーー」なのである。

 

 

今日は、札幌でのキーパープロショップ研修会兼セミナーが開かれた。
会場は、快洗隊・札幌店で、火曜日の休日を利用する。
普段は洗車をする場所にレンタルの椅子と机をぎっしりと並べて、
セミナーが全部で85名+アルファで、。
キーパープロショップの研修会も、
プロショップに登録しているほぼ全店が出席で38店舗40名以上の出席者だ。
今回の研修会とセミナー、回を重ねるごとに出席者が増え、
毎回、予定人数を上回る人が集まるのも特徴だ。
明日は本拠地である愛知である。
約110名のセミナー出席、約80名の研修会出席が予想されている。
セミナーはともかく、研修会はもう実技の部分が成り立たない人数になってきた。
当初の予定の計11回の研修会。今日で7回目が終わった。
残りあと4回あるが、
最初のころ行った大阪・仙台・東京の3回は研修会だけでセミナーを開催しなかったので、
セミナーだけの開催のリクエストが届き、
特定の会社でのセミナー・研修会のオファーもかかっている。
6月後半から始まった今回の全国ツアー、
いつ終わるのか、だんだん分からなくなってきていて、
ありがたい、本当にありがたいことであるが、ちょっとくたびれてもきた。

 

 

しかし、そんな問題の解決は簡単だ。
夜、予定の先に移動してからの酒を飲まなければいいだけなのだ。
たぶん。(*^_^*)
しかし、その酒は、次の日のセミナーの力の源泉にもなっているし、と言いながら、
ただ単に飲みたいだけであるとも、本人は気が付いている。

 

昨日も、札幌の居酒屋で生ビール三杯と焼酎の水割りを5~7杯飲んだ。
こんなただの呑んべえが、
世界のサミットに向かって、ゴチャゴチャ言うものではない。とも言える。

 

そろそろ中部空港へ着陸するための降下が始まった。
パソコンの電源を切らなくてはならない。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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