谷 好通コラム

2008年06月01日(日曜日)

1928.頑張ると良い事があるか?

私が高校生だった時、
私はいつもマラソンがドベから3番目だった。
足が悪かったせいもあるが、
走るとすぐにヒイヒイゼイゼイとなったのは、
心肺機能が低かったのか何だったのだろうか。

 

私よりも遅かった生徒が二人。
一人は、私は左足の膝から下の筋肉が細いが、
その生徒N君は腿から下の全部が細かった。
もう一人は、走ると顔がすぐに真っ白になっていかにも苦しそうであったO君は、
体のどこかが悪かったか弱かったか。
年一回の冬のマラソン大会になると
この二人と私の三人は、いつもみんなの群れから外れて、
ヒイヒイゼイゼイ、ヒョコタンヒョコタンと走っていた。
この三人は同学年であったが、
ライバルではない。
かといって、いたわり合う中でもなかった。
スタートすると、
私よりヒョコタンがひどいN君は最初から遅れる。
O君は足は速かったので最初はかなり前を走っているが、
ある程度走って苦しくなってくるとどんどん落ちてきて、
ドベ2で走っていた私に抜かされる。
苦しそうに走っているO君に、
私が「大丈夫か」なんて感じの目線を送ると、
「うるさいな、早く行けよ。」という感じの目線を送り返してくる。
彼はもっともっと後ろの方を走っているN君にも抜かされるのだろう。

 

ビリ三人はお互いがまったく見えないほどの距離に離れて、
長い時間の後に20kmのゴールに到着するが、
はるか前にゴールしているほかの生徒たちは、もうあまり残っていない。

 

よく憶えていないが、昔の全校マラソンは、
今のマラソン(マラソンとは言わないか?)のように、
最後の生徒がコールするまでみんなで待って感動の拍手で迎える、なんてことはなかった。
(ような気がする)
記憶にあるのは、パラパラと残っている生徒と、
私たち生徒の安全のためにコースとグランドに残っている先生が、
「よ~し、よくがんばったな。」とか声をかけてくれるぐらいだ。

 

ゴールして、ヒィヒィゼイゼイ言いながらグランドに座り込んで、
しばらくして息がある程度落ち着いてきたころN君がヒョコタンとゴールしてきて、
もっとしばらくするとO君が白い顔して、
さすがに先生が付き添いながらゴールしてきた。
ドベ三人は、ゴールしても別に声を掛け合うわけでもない。
ただゴールした順にグラントにへたり込み、息が整うまでくたばっているだけ。
時たま先生が「大丈夫か?」と笑顔で話しかけてくるが、
「はい、大丈夫です。」と、少しだけ笑顔を作って見せると安心する。

 

あの全校マラソン大会は、
私にとって競技であったわけではない。(多分ドベ2人も)
競う相手がいるわけがなかったのだから。
完走が目標であったわけでもない。
完走して誰かから賞賛されるわけでもなければ、
何かを達成して満足感が欲しいとも思わなかった。

 

ただ、全校の行事であったので走っただけで、
特に意味を持って走ったのではなかった。
走っていて息が苦しくなってきたら
「とりあえず、あの橋のところまで走ろう。」と思い、
橋まで来たら、まだ走れるし、止まる必要もないので走り続けて、
足が痛くなって来たら「とりあえず、転ぶまで走ろう。」と思い、
あ~苦しいなあ、と思ったら、「もうちょっと苦しくなったら止まろう。」と思い、
前が見えなくなって、周りから誰もいなくなっても
コースの所々にいる先生に「もうやめます。」と言う理由がないので、走って、
何だかんだで、最後まで走ってしまった。
そんな感じであったと思う。
何だかんだで“走ってしまった”って感じだ。

 

だから、ゴールして、
誰かから賞賛などされなくても「ドベ3なのだから当たり前」だと思っていたし、
自分もドベ2のN君もドベ3のO君のことも、別に賞賛するつもりはなかった。
何だかんだと思いながら、走ってしまった。だけであった。ような気がする。
惨めでもなかったし、自分をかわいそうだとも思わなかった。
私にとって長距離は苦手であったので、当然の結果であるし、
ドベ3なのだから、最後まで走ったことを賞賛されたり、
ましてや気の毒がられることも、期待しなかった。
頑張ることで良いことがあるから頑張ったわけではないから。

 

私は高校で柔道部で副将をやっていたし、
N君は卓球部で活躍していた。O君もテニス部で楽しんでいた。
人間、得意なこともあるし、苦手なこともある。
ただそれだけであった。

 

 

ただ、
得意なことをがんばる事は簡単に出来るが、
苦手な事でも、頑張ることをやめる必要はないのだから、
頑張ればいい。
その結果、何かいい事がなくても、
頑張ることをやめる必要はないのだから、頑張ればいい。
頑張った末に何か良い事がなければ頑張れないのだったら、
頑張るなんてやめればいい。
頑張った結果のあとに保証されている良い事なんて絶対にないのだから、
頑張ることはやめたほうがいい、
しかし、良い事も絶対にやってこないし、
頑張らなかったことで得することもない。

頑張った末に良い事がやってこなくても平気なら、それこそ頑張るといい。
頑張った末に良い事がないかもしれないが、
何かいい事がやってくるかもしれないから、頑張るといい。

今の仕事を頑張って、自分に良い事があるかどうかは分からない。
でもどうせ生まれてきたのだから、頑張るほうがいいと思うから頑張る。

 

・・・・・

 

 

今日は一日中の幹部会議のあと午後4時から、
なんと4軒分の新規快洗隊の設計デザインの打ち合わせであった。

 

H.オサムはカメラを向けると1パターン。ちょっとバカチンである。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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