谷 好通コラム

2008年03月24日(月曜日)

1874.たとえば歯医者に行くとしたら

たとえばの話であるが、
何かの理由で引っ越した直後、
初めての土地で、自分、あるいは自分の家族の歯が痛くなって、
歯科医院に行かなくてはと思ったら、あなたはどんな病院に行くだろう。

 

歯は、生命に直接関わるものではないが、
歯の治療は大体が痛いとしたもので、
うまい先生と、下手な先生ではかなり腕の差があるのが歯医者さんだ。

 

大学病院とか総合病院のような大きな病院に行くか。
総合病院は診察、薬局、支払いとも、それぞれがものすごく時間がかかるし、
また、近くにあるとも限らない。
歯医者は一回行けばいいだけとも限らず、
後の通院も考えると出来るだけ近い病院がいいだろう。
だいいち歯科のある総合病院はあまりない。

 

初めての土地でも
街で見かける歯科医院は何軒もある。
そのいくつかのうち、
どんな歯医者に行くか、
どんな歯科医院なら通ってもいいか
選ぶ基準はいくつかある。

 

まず、汚いのはいやだ。
建物の周りや駐車場に雑草が生えたままで、
窓ガラスが汚れで曇っていたり、
ゴミが隅に放ってあるようなだらしない汚い病院はいやだ。
自分の周りの環境もきれいに出来ないような病院では、
患者のための環境だって不潔に決まっていると感じる。

 

小さな病院よりも大きな病院か?
大きければいいとは限らない。
小さな病院でもとても腕がいい医師がやっていることも多い。
大きな歯科医院では、勤務医師でまだ腕が未熟な先生に当たるかもしれない。
おっかなびっくりで治療されるのもいやだ。

 

それでも、とりあえず、
あまりよく分からないまま、
建物とかを見て、良さそうな歯医者さんに入ってみたとする。

 

受付は、親切そうか?
待合室は清潔か?
来ている患者はどんな人たちか?
混んでいるか? いない。
待合室に自分一人だけしかいなかったら、ちょっ不安になる。
待合室で待っている間、
ドキドキしながら、治療室から聞こえる声と音に聞き耳を立てるだろう。

 

いざ自分の順番が来て、
治療台の椅子に座った時、
その治療設備が新しいものか、古びたものか、充実していそうなのか、
思わず見渡してしまうだろう。
ひょっとして何十年も経っているだろう古い機械が、
あまり手入れもされていず、
ホコリがかぶっているような器具で、
しかも治療室全体が何となく不潔そうだったら、
「あー、こりゃしまった。はずれだ。」
と思うだろう。

 

しかも、目の前に現れた歯医者の先生が
何となくだらしない格好をしていて、
白衣が、何日も洗っていないような感じで汚れていて、
治療台に寝かされた自分を見下ろす先生の目には力が無く、
しかも、目ヤ二までついている。
マスクから覗いているアゴには無精ヒゲが生え、
風邪でも引いているのか、時おりゴホっゴホっと咳き込んでいる。

 

そして、
無関心な言い方で、患者である自分に問いかける。

 

先生「どうしましたか?」
患者「いえ、ただ歯石を取ってもらいに来ました!」
先生「・・・歯石? この奥の虫歯、腫れているよ。痛いだろ。こりゃ抜かなきゃね。」
と、言われたら、
患者「いえっ、まったく痛くありません。本当です。今日は歯石を取ってもらいたいだけです。」
と、必死に言いはる。
先生「・・・・・・」
患者「・・・・・・」
先生「おーい(助手を呼ぶ)、歯石をとってやってくれ。」
患者「ホッ・・・」

 

これは悪夢である。

 

 

近所の人に「どこか腕の良い先生がやっている良い歯医者さんはありませんか?」
と、評判を聞くのはいい方法だ。
地域に評判の良い病院は、たいてい、当たり外れがない。

 

私の場合、天才的にうまい歯医者さん堀田歯科に巡りあえたのは、
約7年前の当時、経理担当の女性社員の方から教えてもらったからだ。
堀田歯科にたどり着くまでの道は長かった。

 

ある歯医者さんでは、
奥歯が虫歯でしかも腫れた時、その歯を抜くために1時間以上も格闘し、
私も痛いのを必死に我慢したが、
結局、抜けずに
「また、二三日してからもう一回やって見ましょう。」と言われ、
その夜は、抜き損ねた虫歯が痛くて眠れなかった。
もちろん、
その歯医者には二度と行かなかった。

 

それからすぐに、近所の評判を聞いて良さそうな歯医者さんに行ったら、
1時間の格闘の末、抜けなかったその虫歯は、
3分で抜けた。
しかも、ほとんど痛くなかったのだ。
「うわー、いい歯医者さんを見つけた」と思って、
何年かは、その歯医者さんを利用した。

 

しかし七年ほど前、非常に困った事故が起きた。

 

それまで、私の前歯の何本かは「差し歯」であった。
高校のころに柔道をやっていて練習中に、
何かの拍子に相手の腰骨に自分の口を強打し、何本かの歯が折れてしまい、
たしか5本ぐらいを差し歯のブリッジにしていたのだ。

 

事故はおよそ7年前、
当時開発中の「快洗Jr.」を、1BOXのバン車に積み込むためのレールを試していた。
車に取り付けたレースに沿って快洗Jr.を押し上げるのだが、これがなかなか重い。
苦労しているスタッフを見て、
「ちょっと、俺がやってみよう」と、私が快洗Jr.を押した。
しかし7分目ぐらいまで来たところで、
ふと「力尽き」、
快洗Jr.がドッと落ちてきて、
ちょうど快洗Jr.のカドが、私の口の辺りに激突した。
口の中が血だけになって私はうずくまったのだが、
前の差し歯が全部折れているのが分かって愕然とした。

 

私は当時から講演をさせていただく機会も多く、
研修やスクールも精力的にこなしていた。
喋るのが仕事のような私の歯が、しかも前歯が全部折れてしまったのでは、
お話にならない。(シャレではない)

 

早速、前述の上手い歯医者さんに行ったのだが、
「入れ歯にするしかない。」と宣言され、
本気で死にたいような気分に落ち込んだものだ。
そんな時に、
7年前の経理の女性が
「社長、インプラントって知ってます? とても上手い歯医者さんがあるんです。」
と、堀田歯科を紹介してもらった。

 

堀田歯科は奇跡のような歯医者さんで、
私の歯は、インプラント手術によって、まるで自分の歯のようによみがえり、
今でも健在である。

 

他の歯の治療があった時も、
私が今まで知っていた歯医者さんとは、まるで違うスピードと正確さで、
魔術のような治療を受けている。
もちろん、まったく痛くないし、
私の歯が今どうなっていて、どのようにすればいいのか、
きちんと理由を添えて丁寧に話をしてくれる。
自分の治療によっぽど自信がなければ出来ないことなのだろう。

 

 

こういうことって、車のコーティングに似ていると思いませんか。
歯医者さんと、コーティングを施工する店舗と非常に似ていると思うのです。

 

大切な愛車をよりキレイに保つためのコーティングは、
歯医者の治療にも非常に良く似ていると。

 

新しい車を買ってコーティングをしようと思った時、
まず考えるのはカーディーラーだろう。
(新車の見積もりに最初から入っているし)
しかし、施工を誰がやるのかまったく分からないし、
多くの場合、下請けさんに回されるので施工した人の顔を見ることもない。
どんな人が、どんな技術を持っていて、
どんなコーティングを、どんな所で、どんな道具を使って、どんな方法で、
どのような施工をするのか、すべて分からない。
信頼できるのは、メーカーの看板を背負っているカーディーラーという存在だけだ。

 

信頼できる総合病院に歯科があったとしても、
担当の歯科医師がどんな経歴を持っていて、どんな技術を持っているのか
分からないまま治療を受けるのは、非常に不安だ。
街の評判の良い歯科医院を探した方がいいように思える。

 

そのようなことを思っているユーザーは意外と多い。

 

しかし、
街のコーティング屋さんや、
「プロ」と書いてあるSSで施工を受けようとしても、
その店舗が汚く、施工環境が貧弱・劣悪で、
しかも、だらしなく、道具もお粗末で、手入れもされていない。
看板だけは立派だが、
コーティングの説明を受けるカウンターもないし、
だいいち、待合室も事務所も雑然としていて、汚い。
そんな所に迷い込んでしまったユーザーは、
「あー、こりゃしまった。はずれだ。」と思うだろう。歯医者の場合とそっくりである。

 

出てきたコーティングのプロと称する人の、
作業着姿がどことなくだらしなくて、いつ洗ったのか解らないほど汚れていて、
無精ヒゲまで生やしている。
コーティングの説明を聞こうにもパンフレットを見せて、
ゴニョゴニョと言うだけで、
何を聞いてもチンプンカンプン。
肝心のユーザーの車を見ようともしない。

 

そしてやおら
「うちのコーティングはいいですよ。」「いつやりましょうか。」
ユーザーは言う
「いや、今日は洗車だけでいいです。」
そして、その汚い店を出たユーザーは、「ホッ」っとため息をつくのだろう。

 

もちろん、その店には二度と近づこうともしないだろうし、
たぶんその店でコーティングをしても、
1時間かかっても1本の虫歯を抜けなかった下手な歯医者さんのように
ろくな仕事は出来なかっただろうから、
逃げ出したそのユーザーは、その店に愛車を任せなくて幸運だったのであろう。

 

人の振り見て我が振り直せ。
あなたなら、どんな歯医者さんに行くか。
ユーザーは、どんな施工店でコーティングをしたいと思うか。
自分も含めて、自省すべきだ。

 

今日は午前中、本社で快洗隊のグループ会議をやって、
昼から横浜に向かい、大切な仕事を済ませて、
夜、羽田から北海道に飛行機で飛んだ。
今は千歳空港の中のホテル。
先ほど、コーティング界の堀田歯科とも言える名人エムズの西岡さんと話しをした。
いい仕事をする人は、共通している部分があるなぁと、しみじみ思った。

 

 

名古屋⇒横浜の新幹線から、
ほんの一瞬だけ、富士山のてっぺんが見えた。

 

 

羽田から1時間05分。
千歳空港は、今年最後かもしれない雪が降っていた。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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