谷 好通コラム

2007年12月16日(日曜日)

1798.JALがANAに勝つ時?

今、札幌に飛ぶ飛行機の中。
夜7時15分、千歳空港に到着する。
夜8時までしか営業していないレンタカーに間に合う時間からなのか
この時間帯の便はビジネスマンが多い。
(飛行機の便がある時間までは営業すればいいのにといつも思う。)

 

昨日、会社として日本航空の株を買った。

 

私も私の会社も株を買って儲けようなどという気持ちはまったくなかったし、
株を買ったこともなかった。
しかし、ひょっとしたら株式の上場が出来る時が来るかもしれないと思い始めた時、
株を買う人の気持ちがまったく解らないのではイカンな、と思って、
今年の春からチョコチョコと買い始めた。
今、4社の株を持っている。
陶磁器メーカーと、あるカーケミカルのメーカー、それからあまり大きくない商社、
ドライブショップのフランチャイジー、全部で数十万円だけだ。
それでも株式の上下が気になるようになったかと言えば、そうでもない。
最初は時たま株価を見ていたが、
ほとんど変わらないので飽きてしまった。
もともと興味を持っていなかったのが、
ちょっと持ったからといって急に興味津々になるわけがないのだろう。
まぁ、損にも得にもならない株ならば持っていても会社に害があるわけでもない。

 

ところが今回は、
これは絶対に上がるぞと思ってJALの株を買った。
このところANAに負けっぱなしのJALは、今どん底の株価である。
もう上がるしかない株として個人投資化には人気なのだそうだが、
証券会社の営業の人に言うと「個人の人に人気はあるんですがねー。」と言葉を濁す。
それをかまわずに、今回1万株を買ったのだ。

 

理由はいくつかある。

 

何年か前、JAL日本航空とJAS日本エアシステムが経営統合してから、
両社に所属していた従業員の給与体系が違ったままであった時、
給与の安い方の給与整備士が、
強い不満を持ち、こともあろうことか大切な飛行機の整備にいたずらをして、
トラブルが何度か続いた。
それが原因で深刻な旅客離れが起きた。
特に団体さんを扱う旅行代理店が、
普段飛行機に乗らない団体客に不安を与えてはまずいということで、
割引団体ツァーにJALを使わなくなった。
合併に伴う給与の不公平の不満をぶつけるために、
お客様の命に関わる飛行機の整備で手を抜いたり、いたずらをして、
会社の信用を致命的にまで落とした整備士は、
心の腐った犯罪者である。
自分のうっぷんのはけ口に、人に危害を与える可能性があるような行為に走ったのは、
まさしく憎むべき自分勝手な犯罪である。
そのころJALの整備場内には監視カメラが張り巡らされ、
下手な刑務所以上の監視体制であったと週刊誌の見出しにあった。

 

厳重な監視体制が功を奏したのか、
あるいは、卑劣な犯罪者が放逐されたのか、辞めたのか、
人為的なトラブルがなくなってしばらく経つ。
こうなると人のうわさも百日までというか、
JALの飛行機は危ないという空気が世の中から無くなった。

 

それで最近、明らかにJAL便の乗客が増えたような気がする。
団体さんもいる。
客足が明らかに戻っているのだ。

 

何より、
JAL便にはビジネス客が多いような気がする。
団体さんはもとより観光客は旅行代理店が出している激安パックを利用することが多いが、
ビジネスで飛行機を使う場合、スケジュールがタイトなので
(私の場合、札幌は基本的に日帰りだ。)
とてもそんな激安パックに乗っかることは出来ない。
だから、せいぜい前売りの特割りチケットを買うぐらいしか方法がなく、
ビジネス客は単価が高く、航空会社にとって利益率の高い客なのだ。
そのビジネス客がANAよりもJALの方が多いような気がするのだ。

 

昔、何年か前のJALのスタッフには、
日本?1の国策航空会社としての過剰な自信が感じられ、
個人的にはあまり好きではなかった。

 

昔、JALの飛行機に乗っていた人の良さそうな男性客と女性客室乗務員(CA)との会話。
その飛行機はボーイング767-300。
中型機の代表的な飛行機。
男性客「この飛行機は大きくて安心だねー。」
CA「いえ、JALではこれが一番小さい飛行機なんですよ。」
男性客「・・・・・・」
なんとバカなことを言っているのか。
お客様が大きな飛行機だと思って、誉めてくれているのに、
これはJALでは大きい飛行機じゃない。と言って何かいいことがあるのか。
つまらないバカな人だ。と思った。
あれ以来、私はJALが嫌いになり、ひたすらANAに乗るようになった。
もちろんJALしかない路線ではJALにも乗ったが。

 

しばらくして、経営が深刻な状況になったJALとJASが合併して、
MD81,87,90あるいはB737-400など先ほどのB767-300より小さな飛行機が
JALマークを掲げて飛ぶようになってから、
あの卑劣な整備士(単数か複数か?)によるトラブルが、立て続けに発生して、
JALは極端な客離れにより深刻な経営危機に陥った。

 

しかし、JALの危機が深刻化してきた時、強力な助っ人が現れた。
かつて国際線をJALが独占していた時代に、
華々しく国際便で働いていた”スチュワーデス”さんたちが、
引退してそれぞれ一流のご亭主と幸せな家庭を持っていたのに、
わが青春の危機を救わねばと
パートのCAさんとして、国内便にたくさん乗るようになったのだ。

 

さすがに彼女たちの接客は超一流である。
昔、世界を股に駆ける国際便で日本と世界の一流の乗客を相手にしてきた人だ。
その笑顔といい、言葉といい、気配りといい、
今の若いCAさんとは、まったくレベルが違う。
当然、年を経ているのでオバサンではあるが、圧倒的な存在感を持っていた。
たまたま乗ったJALの飛行機でそんな経験をしたので、
私はそれからすっかりJALのファンになった。
ベテランのパートCAさんが、若い正社員のCAに、
ニコニコしながらいろいろ話をしていたのは、きっとコーチングであったのだろう。
そのせいかどうかはまったく分からないが、
マニュアル通りを感じさせるANAのCAさんより、JALのCAさんの方が、
洗練された笑顔と接客に見えるのは、私のひいき目なのかもしれない。

 

しかしJALはその施策においてANAの追従ばかりしていたのにはがっかりだった。
これじゃ、いつまで経っても追いつけない。
せっかく現場がいい感じで頑張っているのに経営者、企画チームがだめだよな。
そんなことを思っていた。

 

ところが最近のJALは、ANAと違うことをやり始めた。
細かいことではあるが、
機内(倉庫)預かりの荷物のタグの照合をやめたのだ。
みんなターンテーブルで受け取った自分の荷物を持って、さっさとそのまま帰れる。
持ち主が自分の荷物を探しているターンテーブルから、
しかもあの閉じられた空間で、
人の荷物を盗んで出るなんて事はなかなか出来るものではない。
だから、アメリカに行っても、中国でも、台湾でも、韓国でも、
ヨーロッパでも、シンガポールでも、
出口で空港会社のスタッフがタグの照合をしている国などはない。
少なくとも私の経験では、
“日本の国内線だけ”であった。

 

特に大きな飛行機から大量の乗客が降りた場合、
タグの照合をするための行列はひどい行列が出来ていた。
いつまでこんなバカバカしいことを日本の国内線はやっているのか。
(国際線ではやっていない。)
そう思っていたので、
JALがそれをやめたのには拍車喝采である。
ANAの乗客がタグの照合のためにズラッと行列をしている横を、
JAL便の乗客であった自分がさっさと歩いて出る気分は痛快でもある。

 

もう一つ、
今、JAL、ANAとも最新鋭のB737シリーズを導入しているが、
JALはB737-800、ANAはB737-700で、
両方とも主翼に大きなウィングレットをつけているのが特徴だ。
問題はそのシートの裏の小物入れ。
ANAの737の小物入れは樹脂性でパソコンが入らない。
JALの737の小物入れはネットになっていて、らくらくとパソコンが入る。
この差は大きい。
飛行機が飛び上がってからパソコンを開くビジネスマンは多い。
普通、飛び上がったら5分ぐらいでシートが解除になりパソコンも使えるのだが、
気流が悪い場合、シートベルト解除にならなくても
5分経ったらパソコンを使ってもいいことになる。
その時にパソコンが小物入れに入っていないと
つまり、頭上の物入れのかばん入っていることになるので、
じっとシートベルト解除になるまで待たなくてはならない。
それがいやなら、はじめっから自分のひざの上にパソコンを持っていなくてはならない。
ほんとにちょっとしたことだが、
残念ながらANAのシートを決定した人は、そんなことを分かっていない。

 

そんなつまらないような差が、だんだん大きくなるのである。

 

それに、普通シートに+1,000円で座れる「クラスJ」のシートもいい。
1,000円ならば自分の小遣いでちょっと余裕のシートに座る気になれる。

 

今までANAに追随するばかりであったJALが、
差別化を図ろうとしてきていることは、間違いなく結果を出すはずだ。
その証拠に、私は、スケジュールが許すならば、JALに乗りたいと思っている。
他のビジネスマンにもそう感じている人が多いように思えてしかたない。

 

受付カウンターで何かクレームを言うと、必ずスタッフが黙ってしまうのがANA。
JALでも相手によるが、たいていは真剣に聞いてくれる。
客のクレームにこそ改善の源があるというのは、いまや常識なのに、
クレームを言われると黙ってしまい返事もしないあのANAスタッフが、
会社のCSを確実に低下してさせているとは気づいていないだろう。

 

ここしばらく勝ち続けたANAは、
利用者の気持ちの中で徐々に負け始めていることにきっと気が付いていない。

 

これは絶対にいつかJALが勝つ時が来る。

 

それにプラス、株主優待券10枚(半額券)は、
一切の割引がなくなる時期の千歳便に使えば、
約18,000円×10枚の節約にもなるのだ。
それだけでも十分にメリットはある。

 

そう思って、JAL株を買った。
こんなことがいわゆる株主の心理というものなのだろうか。
ちょっとワクワクした。

 

札幌は雪である。
それも本格的な雪である。

 

快洗隊・札幌店は今、鈑金が大忙しであると西岡さんが不謹慎にも嬉しそうに言っていた。
雪が降ると洗車はなかなか来ないが、鈑金が大忙しになるとは。

 

 

これは違う飛行機だが、
ビジネスマンは、こんな形でパソコンを小物入れに入れている。

 

 

この日の飛行機は機内が暑かった。
CAさんは半そで、半そででちょうどいいぐらいの温度であった。

 

 

千歳空港のレンタカーカウンターのすぐ近くにポインセチアがきれいに飾ってあった。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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