谷 好通コラム

2007年09月05日(水曜日)

1722.どうするアメリカ

(これは9月3日、飛行機の中で書いたものです。)

 

今、ロスへ飛んでいる飛行機の中

 

ロスのトニーと出会ってからもう3年になる。
それからビジネスの可能性を探ることで2年を費やし、
昨年の10月には、I-TAC USA INC.という現地法人を立ち上げた。
社長はトニーである。

 

最初のころは、
アメリカの洗車ビジネスに関わっていくことで、
アイ・タック技研としては新たな洗車に対する学習をすることが出来て、
目に見えない形で役に立ってきたことはあった。
それはそれで良かったのかもしれないが、
アイ・タック技研としてアメリカにおいてのビジネスを構築するとなれば話はまったく違う。

 

我々のビジネスは日本国内でまだまだやらねばならない事が残されていている現在、
国内への投資に加えて
アメリカでのビジネスにも投資することが、
アイ・タック技研が持っている目的を実現することに役に立つのか。

 

よくよく考えた上で、
去年、I-TAC USA INC.をスタートさせた。

 

新しい場所でのビジネスが、
最初から上手くいくわけがないのは当然であるが、
それにしても、この一年、ペースが遅すぎた。
商談はあるのだが、
なかなか実際の商品の動きにまではつながらない。
半年経ったところで日本のアイ・タック技研から役員を約三ヶ月間派遣して、
何とかアメリカでのビジネスを起動させようとするが、なかなか動かず、
一年経った今、
債務超過になる直前にまで迫っている。
債務超過とは実質的な倒産状態であり、その企業の資産価値がゼロになるということ。

 

まったく新しい場所で、新しいマーケットを切り開くのに
10万ドル程度の投資で、すべてが上手く行くとは決して思っていない。
しかし、決まった投資額で、
決まった期間に、
どの程度まで事が進み、
事業のシルエットがどこまで見えてくるのかが肝心なのである。

 

現在いくつかのアメリカの代理店と小規模ながら取引が始まり、
代理店を希望の企業もいくつかある。
加えて、アメリカのドライブショップ内で
磨き屋に近いディテイルショップを試験的に開店した。
開発部の森部長と、
快洗隊・相模原店の佐貫君の二人を派遣して
三日間の仮営業で1500ドル(17万円程度)の売り上げがあったらしい。
この数字をどう見るか、
いずれも、今後の可能性を考えると微妙な数字であり、状況である。

 

これからどうするのか。
債務超過時点で、I-TAC USA INC.を解散し、
アメリカでの事業をあきらめるのか。
それとも新たなビジネスパートナーを求め、アメリカでの新たなスタートを切るか。
あるいはI-TAC USA INC.として現実的な事業計画を策定し直すか。
いずれにしても、今月で迎えるだろう一つの大きな節目を、
しっかりとこの目で現状を確認し、
代理店さんとも会って、今後のことについてじっくりと話をするスケジュールになっている。

 

 

今考えると、
中国でのビジネスも大変であった。
商談そのものは無数にあるのだが、
商談相手は
「私は・・・・をやって、・・・を作るつもりだ。具体的な計画も進んでいる。」とか、
「私は政府の要人とコネがあって、・・・・・の事業を起こすので、合作しよう。」とか
聞くだけには現実的に聞こえるのだが、
ほとんど空想的な話ばかりで
現実的な商売の動きになるものはほとんど皆無であり、
稀に現実的なビジネスとなっても、じきに劣悪な「コピー」を作られて終わってしまう。
中国の全土と言ってもいいほど走り回り、
無駄と時間を意味もなく積み重ねた経験もあった。
その意味で、中国での直接の販売活動はあきらめた。
中国は、10年来の付き合いであり信頼できる「頼さん」にすべてを任せることにした。
それが今、一番上手くいっている。

 

中国で、私たちが“売る”ビジネスは、
結局大きなものにはなっていないが、
“買う”ビジネスにおいては、良い商品の開発も出来て、
いまや、我が社の大きな柱の一つになっていることも忘れてはならない。
中国でのビジネスは大変苦労はしたが、
そういう意味では決して不毛のビジネスではなかった。
「コピー」さえなければ、もっと中国で直接頑張っていたかもしれないが。

 

 

それに対して、
アメリカでのビジネスは中国での話とはまったく違うもので、
やはり世界一の超大国アメリカでの商談は、
いつもリアルであったし、
スケールも大きい。
ロス周辺にとどまっていても、
そのスケールはかなり大きなものになる予感を持てる。
それに、決してコピーなど出てくる様子はない。(まだ分からないが)
それでも、
現実に利益を生むようなビジネスを新たに作り出すのは、
そう簡単ではなく、苦労していることは事実だ。

 

ここまで来て、どうするのか、
私とて、ただ安穏として追加投資を垂れ流しするつもりはない。
ビジネスとして価値ある投資でなければ、すっぱり諦める覚悟は出来ている。

 

正念場を向かえているアメリカでのビジネスを、しかと確かめてくる。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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