谷 好通コラム

2007年07月01日(日曜日)

1667.音楽が鳴り始めた

何年か前まで、音楽は私の友であった。
それがピタッと聴かなくなったのは何が原因だったのだろうか。

 

?快洗隊を作って“快洗隊”を多店舗にし始めた頃か?
あるいは、レースをやり始めた頃か?
よく憶えていない。

 

一週間ほど前に久しぶりにオーディオのスイッチを入れた。
それまで何年も全く電源すら入れていなかったので、
はたしてちゃんと音が出るかどうか心配であったが、
最初の十秒くらい妙な雑音が入っただけで、
すぐに正常な音が出るようになってのは、少なからず驚いたと同時にホッとした。

 

以前から持っているCDは百枚以上もあるのだが、
久しぶりに鳴らすのは、新しく買ってきたCD2枚、
チェロの「YO-YO MA」と、ピアノの「フジ子・ヘミング」
先程、テレビを見ていて、フジ子・ヘミングの物語とピアノの演奏を聴いて、
無性にそれをいい音で聴きたくなったのだ。

 

YO-YO MAはチェロが好きなので、ついでである。
彼のチェロは好きなほうではないが、昔、テレビCMで有名になってから、
ただでさえ少ないクラッシックのCD売り場にはチェロは彼のしかない事が多い。
誠にテレビの影響力には凄まじいものがある。

 

そう言いながら、それまで私はフジ子・ヘミングのことを知らなかったのに、
テレビで見て彼女のCDを買う気になったのだから、人の事を言えたものではないが。

 

(テレビで見た範囲での記憶から)
フジ子・ヘミングは若い時から才能があって、
一時はバーンスタインに見出され、大きなチャンスをもらった。
しかし、運悪く風邪をこじらせて、コンサートの当日に耳が聞こえなくなってしまい、
そのチャンスを潰してしまって以来、
食べるにも困る不遇の時代を何十年もヨーロッパで過ごした。

 

失意の内に日本に帰って来て、
六十歳を過ぎて、テレビたまたま彼女を取り上げた番組があって、
注目を浴び、大人気となった。
今ではその実力は日本に留まらず全世界に通用し、
世界的に人気のあるピアニストとして大活躍をしている。(だそうだ)

 

年取ったおばあさん然とした彼女のピアノは力強く、いっさいナヨっとしない。
彼女の奔放な解釈でグイグイと打ち進んでいくリストとショパンは、
私のような鈍い感性しか持ち合わせていない男にも
心臓に響いてくる感動を覚えさせてくれた。

 

音楽の感動は、その中に人間の魂を見つけるからだろう。

 

学生時代には、
五つの赤い風船の「まぼろしの翼」に反戦の心を見つけたし、
井上陽水の「夏もよう」に平穏の心を感じた。
ジョンコルトレーンの「O・LE」は何百回もジャズ喫茶に聴きに行ったし、
尾崎豊の「アイ ラブ ユー」には生きることの痛みを感じた。
バッハの「ザ・リトル」には心の繊細を強く感じたし、
まだまだ思い出すといっぱい出てくる。

 

フジ子ヘミングのピアノには、動ずることのない強い人間の深いやさしさを感じる。
これは初めての経験である。

 

なぜ私は、何年も音楽を聴くことから離れたのであろう。
不思議で仕方ない。

 

http://www.jvcmusic.co.jp/fujiko/profile/index.html

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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