谷 好通コラム

2007年03月17日(土曜日)

1600.キ-マンをアタック

千歳から羽田に飛ぶ飛行機の中で書き始めた。
16回目の100話だ。

 

 

アメリカでのビジネスが急展開している。
詳しくは言えないが、
ひょっとするとそんなに遠い将来ではない内に、
アメリカでのビジネスが日本のビジネスに匹敵する大きさに発展するかもしれない。
あくまでも、ひょっとするとであるが。

 

アメリカに法人を立ち上げたことを、まだ皆さんに報告していない。
もう4ヶ月前の事であるが、
アイ・タック技研?100%出資のアメリカ法人「I-TAC INC」を設立した。
ロスに在住、アメリカ国籍の“トニー谷川”こと谷川正章氏を代表としている。
この会社の設立については、
私がトニーを口説いた。
アメリカにおけるカーアフタービジネスマーケットは日本の数倍はある。
私たちの何度かの訪米と、トニーに訪日してもらっての調査で、
この巨大なマーケットに、
日本で育んだKeePreの考え方を持ち込むことについての可能性が、
明らかに大きいものであることを確認した。

 

それでも懸念はある。
技術認定制度とキースパープロショップのスタート、
また快洗隊の活動が活発になってきたこと、
ダイヤモンドキーパーが軌道に乗ってきたことなど、
日本での活動が佳境に入ってきている現在、
遠く離れたアメリカでの活動など、あえて今でなくてもいいのではないか。とか。

 

あるいは、
ある大手のホィールメーカーの社長から、
「アメリカでのビジネスは大きなものだけど、
ビジネスがマネーゲームのようで、足が地に着いたビジネスになりにくい。
ビジネスパートナーの失踪などで何度か痛い目に会った事がある。
我が社はもうしばらくはアメリカでのビジネスは考えない。」
というようなアドバイスもいただいた。

 

あるいは、
アメリカが訴訟社会であって、
どんなビジネスでも賠償訴訟の標的になりやすい。
思いも寄らぬところに致命傷にもなりうる落とし穴が開いている。
そんなことを聞いた事もある。

 

などなど、考えればあり得る懸念は次から次へと出てくるのだが、
しかし少なくとも、アメリカでのビジネスは、
中国でのビジネスのように
役人がらみの理不尽な不透明さはなさそうだ。
(中国では上海の頼さんが一人奮闘し、やっと本格的に目が出て来たところだ。)
マーケットサイズからしても日本の数倍、中国のそのまた数倍はある。
やる価値があるマーケットである事は確かだ。

 

それよりも、何よりも、
アメリカにはトニーという誰にも替え難い強い味方がいる。

 

トニーも、この会社を立ち上げる時、ずいぶん悩んだらしい。
年齢的にももうすぐ還暦である。
しかし、彼は鍛えているので間違いなく私よりも肉体年齢は若いはずだし、
精神的な若さは、仕事にチャンレンジしてこそ維持できるものだ。
トニーの言葉を借りるならば、
「私は、いまだ青春真っ只中。」
そんなトニーを何度か口説いた結果、
私たちの願いを聞き入れて、
トニーはアメリカでのビジネスを立ち上げる主人公になってくれた。

 

あの時、トニーが断ったら私はアメリカでのビジネスを
きっぱり諦めていた。

 

トニーは以前まで、
カルピスの現地法人であるカルピスUSAの代表を務めていて、
(そう、あの“カルピス”です。)
日本からアメリカに進出した日本の大企業の草分け的な存在であったのだ。

 

トニーのすごさは、そのスタンスにある。
これと目をつけた企業に対するアタックは
まっしぐらに企業の経営者に向けられる。
アプローチの段階で現場の誰か責任者と親しくなるのはもちろんだか、
その後はすぐに、躊躇なく、社長、あるいはそれに準ずる経営者の誰かに会う。
会社のキーマンだ。
企業のトップであったトニーには、
トップと互角に渡り合う風格があるし、教養もある。
言葉も、話の内容も、いつでもトップと話し合いができる高いクラスのものだ。

 

「ビジネスを進めるためには躊躇することなくキーマンと会う。」
これはビジネスを進めるに当たって
極めて重要な事である。
何か新しいビジネスを提案する場合、
どんなに商品が良く、お互いに有益な提案であっても、
その提案が重要であればあるだけ経営トップの決断が必要であり、
実務レベルでの交渉に担当者との時間を多く割いたとしても、
最終的には、トップの決断がなければ何も決まらない。
実務レベルでの話とアクションは非常に大切であるし、
それが活動の主となるが、
経営トップとの接触がゼロでは、まず何も決まらない。
こちらの存在を経営トップに理解してもらっておく事は極めて重要な要素なのだ。

 

そのスタンスをトニーは自然に持っていて、
さっさとキーマンを抑えにいく。
だから、非常に早いペースでビジネスの話が進んでいく。
この姿勢は私たちも学ぶ点が非常に多い。

 

 

 

寒い北海道から東京にやってきて、
長い時間、車に乗った。
東京から埼玉の外れに行って大切な話をさせてもらった後、
東京に帰ったらもう一日が終わった。
とにかく関東圏の道はどこに行くにも渋滞がひどく、やたらと時間がかかる。
とにかく車が多過ぎて、ちょっとした合流だけで、高速道路が何kmも渋滞するのだ。
都市が密集しているので物理的な距離は近くても、
時間的な距離は果てしなく遠い。
関東圏はやたらと移動に時間がかかって、本当は非効率な場所なのかもしれない。

 

今日は朝から東京トレーニングセンターに東京販売1課、2課、3課、直売部、
そして仙台営業所のメンバーに集まってもらって拠点会議を行なった。
総勢11名、この地域のスタッフはこのところ急に増えている。
関東は日本の経済の三分の一が存在する所で、
最重要地域である。
重点的にスタッフを育て、力を入れている。

 

会議が終わったあと横浜トレーニングセンターの候補物件を見に行った。
関東には新小岩に東京トレーニングセンター兼東京営業所があるが、
横浜は東京と隣どうしの都市でありながら、
文化が違う。
それに時間的距離が離れている事もあって、
横浜は、東京とは別の地域と考えた方がいい。

 

候補物件の場所は町田と厚木のインターのちょうど中間点であった。
新築の倉庫で感じは良かったのだが、
いかんせん高速道路とのアクセスが遠すぎる。
今日は土曜日である事も手伝ってか町田インターから物件まで30分もかかってしまった。
その帰り、物件から町田インターまではもっと混んでいて50分以上もかかった。
平日なら20分程度とは言うが、
仕事での行き帰りを考えれば40~100分以上の時間の無駄となる。
これが何人かの無駄であり、
それが毎日の事となると許容範囲には収まらない。
ましてや最も大きなマーケットである横浜市内に行くのに
1時間半はかかるというのは、私には致命的であるように思えた。

 

感じの良い物件であったので残念であるが、
あきらめて、高速へのアクセスを最重点においた物件を探すように指示をした。

 

物件が新しくてキレイである事よりも、
その場所が日常的に無駄が発生する位置にあるかどうかの方が重要な要素である。

 

 

仕事において、私達は現場を一番大切にする。
その事については間違いはない。
しかし、キーマンを外しての現場だけでの活動では、
現場においての成果を実現することはきわめて難しい。
ビジネスには、キーマンとのコンセンサスを得る事は最も重要な要素なのである。

 

何が優先されるべき要素なのか、
そこを判断できる事が、ビジネスにとって最も大切な要素であるとも言える。

 

 

二回目の試作の快洗テント。
なかなか良い出来栄えであった。
このテントは、快洗Wingと抱き合わせでセットする事もできるが、
“日よけの屋根”として単体で設置する事もできる。

 

 

この屋根の下で作業することを想像すると、
ホッとする感覚を自分の中に感じられたあのは嬉しかった。

 

 

脚立に登ってテントの写真を撮ったら、ちょっとまた違う印象がある。
この角度が遠くから見たテントの印象になるはずである。

 

 

昨夜、みんなで東京営業所近くの居酒屋に行った。
北海道から転勤してきたばかりの青木販売3課課長が、
ちょっと浜っ子見たいなことを言っていたのが嬉しかった。
後ろで変な顔をして見せているのは、
とてもドイツに住んでいたとは思えないひょうきんものの富澤君。

 

 

新横浜から新幹線に乗って名古屋に帰る。
長く車に乗っていたせいもあって、
新幹線のシートがツライ。
やっぱり腰が痛いのだ。
ああ、いつになったら直るのであろう。

 

 

1500話から1599話までを入れたファイル。
全部で243Mbもある。
こんなのが16もあるのかと思うと我ながらゾッとする。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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