谷 好通コラム

2007年03月16日(金曜日)

1599.あー憎ったらしい

そんなに甘くはなかった。

 

三月というのにすっかり寒くなった今日、
腰はやっぱり治っていないようで歩くのが非常につらいのだ。
こんな状態で改めて解るのが中部空港の広さ。
一歩一歩腰に痛みを感じながら歩くと、
「何でわざわざこんなに広く作ってあるのか。」と、
思わず愚痴が出てしまう。
作る側と使う側の価値観の違いなのだろうか。

 

売る側と買う側の感覚の違いと同じ事なのだろう。
あるいは、人の痛みはなかなか解らないと言うこととも似ている。

 

私達は今、
ダイヤモンドキーパーとかアクアキーパーなどの
高付加価値であり高価格なコーティングを販売している。
これらのコーティングは素晴らしい効果を長期間維持できる商品であり、
我々は、これらのコーティングのための材料を開発し製造販売するだけでなく、
適切な道具の選択、最適な施工技術の開発、
そして特に技術の訓練と認定を、全国7箇所のトレーニングセンターで行なっている。
正しい施工には訓練を受けた正しい技術が必要なのである。

 

そして、もう一つ忘れてならない大切な要素として「施工環境」がある。

 

どんな環境でコーティングを施工するかは、
実際の作業に影響を与えるだけでなく、
お客様がその店で、
その高いコーティングを買うかどうかを
決定する重要な要素でもあることを忘れてはならない。
少なくともお客様は汚い場所で施工する高いコーティングを買おうとは思わない。
汚い場所できれいなコーティングは施工出来ないし、
売れない。
これは誰でも容易に想像できる事であろう。

 

現実的にSS(ガソリンスタンド)で研磨作業をする場合、
たいてい、車のオイル交換とかタイヤ交換など、
普段、車の点検修理を行なう“PIT”で作業する事になる。
ホコリなどを嫌う研磨作業を、まさか露天で行なうわけには行かないので、
壁で囲まれているであろうPITでの作業となる。

 

ところが、普段はオイル交換などをしているPITは、
どこかかしらにオイルの汚れが飛んでいたり、オイル缶がいっぱいあったり、
全体的に何となく油っぽい感じがする。

 

お客様にとって
“車のキレイ”に対して、
オイルなどの油っぽさは“汚れ”であるという感覚がある。

 

普段からこの環境の中にいるスタッフにとっては日常的であっても、
お客様にとっては、油っぽい環境とは非日常的な環境であり、
どんなに整理整頓をしてあっても、やっぱり感覚的にキレイな場所とは感じられない。

 

そういうキレイさとは異質な環境の中で、
数万円もするような高額のコーティングを施工して、
車を飛び切りきれいにすると想像しても、やっぱり違和感があるようだ。

 

レクサスのPITを見たことがあるが、
見事なまでに“油っぽさがない”。
工具とかの道具がすべて器具の中にしまい込まれ、
何も見えないようにしてある。
もちろんオイルなどの油脂類は、どこに仕舞ってあるのか何も見えない。
カラーコンクリートの床も、一回の作業ごとに洗っているのか
(メカの人は「そうです。」と言っていた。)
不思議なほどに油っぽさを感じない。
品質を徹底的に追及すると、
オイル交換など油を伴う作業をする場所ですら、
お客様のお車を大切にするというイメージを持たせるような、
つまり、油のイメージを払拭するような努力がされている。

 

これはレクサスに限らず、よく教育された工場の床はどこでもそうだ。
必ず油っけを感じさせないまでに、ピカピカに磨き上げられている。

 

油っぽい環境の中での施工が、お客様に嫌悪感を与えるのは当然であろう。

 

ひどい場合には、PITに道具やオイル缶が置いたままになっており、ゴミが散乱し、
PIT中に洗い物や、景品とか商品山積になっている時がある。
こういう作業環境では、
どんなに技術を磨こうと、いい道具を持とうと、一生懸命に販売しようと、
たぶん、高いコーティング商品などは売れないだろう。

 

お客様が、そういう所で自分の車がきれいになるとは思わないから。

 

では、油を扱っているSS(スタンド)では、
高いコーティングの販売は無理なのであろうか。
いや、決してそうではない。

 

先程のレクサスの例を思い出して欲しい。
彼らはPITでオイルを交換し、
部品を交換し、自分も油まみれになって作業をしても、
作業後の毎回の完璧な清掃で、
普段は全く油っけを感じさせないようにしている。

 

さすがに忙しいSSでそこまでやるべきかと言えば、
本当は「イエス」なのだが、なかなかそうも言えない現状もある。
ならば、次善の策として、
たとえば、2台分のPITがあった場合、
リフトのない方の一台分のスペースは、
不燃材のビニールカーテンなどで囲ってしまった上で
せめて、その1台分のスペースに限っては、
油っけを感じさせない環境を作り上げたらどうだろうか。

 

高品質、高価格な“キレイ”を売るなら、
それを作る場所のキレイさも、同レベルのキレイさにしなければならない。
それがSSで高価格商品を売る一番のポイントかもしれない。

 

 

※ とここまでは名古屋から札幌に向かう飛行機の中で書いた。

 

ここからは、札幌での仕事を終わって、
ホテルに入ってから書く。

 

札幌は寒かった。

 

雪が降り、道路に出ていた外気温の案内では-3゜Cとなっていたが、
体感ではそれよりずっと寒いように思えた。
腰が痛いがたまらなく痛かったのだ。
一昨日ギックリをやった腰が、冷えて重―い感じでとてもつらかった。
しかし初めての経験なので解らないが、
腰の痛みは温度に反比例するらしい。
温度が低いと痛くなって、暖かくなるとピタッと痛みが治まる。
今入っているホテルの室内は申し分なく暖かいので、
先程まであれだけ痛かった腰がまったく痛くなくなっている。

 

酒のセイかもしれない。

 

夜、ミーティングが終わってから
坂本所長と、新任のスタッフ西園君と、M,sの西岡さんとで飲んだ。
札幌営業所近く、全国チェーンの居酒屋「つぼ八」だ。
札幌まで来て、わざわざ「つぼ八」もないと思うのだが、
西岡さんが「白木や」とかの日本国中どこにでもある居酒屋が
よく解らないが好きなのだ。

 

飲み会は、西園君の歓迎会の意味があったのだが、
話のはじめで、
「西岡さんが、“セパン”の“軽耐”“24時間”で、“優勝した”」という話が出て、
歓迎会がぶっ飛んでしまった。

 

セパン?
「セパン」ってF1やスーパーGTがレースをやるあのマレーシアの“セパン”?
そのセパンで「軽耐(軽自動車耐久レース)」?
それも「24時間耐久レース」?
で、西岡さんが「優勝」?
それって一体何のこと??

 

西岡さんが草レースを始めたということは、チラッと聞いた事があるが、
ポンと出の、レースを始めたばかりの「西岡さん」が?
憧れの「セパン」で、
しかも、しびれるほど好きな「24時間耐久」で?
「優勝」?????

 

一体何なのそれ?

 

それ以降レースの話ばっかりになって、西園君の歓迎はすっかり忘れられた。

 

よくよく話を聞いてみると、
なるほどではあったが、
一言で言えば「ゆるせない。」「くそったれ。」「くっ~~、くやしい、憎ったらしい~。」である。

 

あ~~、俺も走りたいっ!
走りたい。走りたい。走りたい。

 

そんなバカな酒を飲んで、飲みすぎて、腰の痛みがぶっ飛んでしまったのか。

 

今シーズン初めて雪のある北海道を見た。

 

 

新任の西園君(左)の歓迎会に集まったはずの、坂本所長(中)、西岡さん(右)

 

 

その西岡さんの「“セパン”の“軽耐”“24時間”で、“優勝した”」という話で、
歓迎会がぶっ飛んで、その話ばかりになり、
「ゆるせない。」「くそったれ。」「くっ~~、くやしい。」で、
しょぼくれた谷 好通

 

 

いかにも自慢げな表情に見えてしまう憎ったらしい西岡さん。
(今に見ておれ、俺だって。)

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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