谷 好通コラム

2007年02月10日(土曜日)

1571.人の痛みを感じる

人と人との信頼とは、
お互いが相手のことを自らのことと同じように感じる関係であると思う。

 

他人の喜びを、自らの喜びと同じように感じることが出来れば、
他人の喜びを理解することが出来る。

 

他人の喜びを理解できれば、
たとえば、商品の開発を考える場合では、
どんな物を消費者が喜んでくれるのか、よく分かるだろうし、
だから、消費者が喜ぶ、つまり売れる商品の開発が出来るだろう。

 

他人の喜びを、自らの喜びと同じように感じることが出来れば、
どんなことをすれば相手が喜んでくれるのかが理解できるので、
満点の接客が出来るであろうし、
サービス業として大成功するであろう。

 

相手の喜びを我が事に感じることが出来る能力は大切である。
だが、それ以上に大切なのは、
相手の痛みを自らの痛みとして感じる能力なのではないだろうか。

 

顧客満足戦略とは、
お客様の満足を造り上げ提供していくことであるが、
商売において大切なのは、
お客様をひきつける満足力もさることながら、
そのお客様を引き止めていくリピート力に他ならない。
リピート客を如何に積み上げていくかが、繁盛店の最も大切な要素なのである。

 

お客様が、ヒイキにしていた店から離れていくのは
その店に満足が無くなった時であることもそうであろうが、
むしろ、
その店の何かに不快なことがあった時である。
つまり、常連の客であった人が
「もう、この店には来ない!」
「この店にはこれっきり来たくないっ」と思った時である。

 

商品は文句なし、サービス満点であったとしても、
その店の何かに、ちょっとした不快感を感じた時、
お客様は、いとも簡単に離れて行ってしまうのだ。

 

だから、顧客満足戦略で、
お客様との喜びを共有する努力も必要ではあるが、
むしろ、本当の顧客満足戦略とは、
お客様の痛みを我が痛みと感じる感性で、
お客様に与えてしまうであろう不快感をいち早く察知して、
それを我が痛みと感じ、
その要素をお客様に与えてしまう前に潰してしまうことなのではないだろうか。

 

他人の喜びと痛みの両方を、我が喜びや痛みとして感じる能力が必要であり、
とりわけ、人が感じる痛みを自らのものとして感じる能力が
本当の顧客満足戦略に必要なのではないだろうか。

 

それは、BtoCのビジネスだけでなく、
BtoBのビジネスでも全く同じことであって、
相手の欲求をビジネスとして共有するだけでなく、
相手の痛みと苦しみを、
我が痛みと感じる能力と感性があってこそ
信頼される関係となり得るのだろう。

 

その信頼から、実は最も大きなビジネスが生まれるはずなのである。

 

相手の痛みを感じない者は、
人の尊厳を冒しやすく、そのことによって自らの尊厳をも乏しくしてしまう。

 

特にBtoBの場合、
相手から信頼を受けているのに、
その相手が苦しんでいる時にその痛みを感じず、
放置した場合、憎しみまでを受けることすらある。

 

そんなことを強く感じた今日であった。

 

 

今日は、どうしてもと思って無理やりに日程を空けて、
やらなくてはならない事をまとめてやった。

 

朝5時に起きて、
7時20分の飛行機で福岡へ飛び、レンタカーで久留米に行き、
大切な仕事をして、そのまま大急ぎで福岡空港に向かって四国・松山に飛んだ。
松山では三軒の先に行って、
松山から電車に乗って岡山経由で神戸で降りて、
神戸で大切な話をして、最終の新幹線で名古屋に向かっている。
帰り着くのは、多分、日付が回って午前1時近くになるだろう。

 

日帰り強行軍はいつものことであり、
格別なことではないが、岡山で新幹線に乗り換える時、
松山から乗ってきた電車の中に、
カメラをポケットに入れたままのコートを、忘れてきてしまった。

 

大切な写真がいっぱい入ったカメラは、「まっいいや」と言うわけには行かない。
何とか明日、岡山駅に電話をして取り戻さなくてはならない。
いくら一生懸命にやっても、ポカをやったのでは何にもならない。

 

大切にしてきたお客様を、ちょっとしたポカで失ってしまう事に似ている。
情けない。

 

 

と言うわけで、
せっかく撮った写真が一枚もない。
しょうがないので、同行の畠中君のカメラで撮ったしょうもない写真を一枚だけ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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