谷 好通コラム

2019年04月29日(月曜日)

4.29.同じエンペラーでもえらい違いだ。

テレビで、現・明仁天皇の幼少の頃から今に至るまでの記録を放送していた。
正田美智子妃との軽井沢テニスコートでの恋など、
微笑ましくも楽しい話題もあったが、
大半がとても笑えない現天皇の真面目で誠実な天皇としての言動に感心した。
何よりも感心したのは、その謙虚な姿勢。
天皇とは英語で言えばemperorエンペラー。
これを、もう一度日本語にすれば「皇帝」とか「帝王」となる。

 

 

しかし、たとえば、
経営者で”帝王”タイプと言えば、
自分は選ばれた優れた種類の人間であって、
自分の言う事にすべての社員は服従すべきで、
服従する者を可愛がり
自分の言葉は神の声と勘違いしている。
論理的な思考に欠けて
自分のひらめきと直感を信じ、
自分のただの「好き嫌い」までを「ひらめき」「直観」と勘違いまでする。
自分より下と見下した人の言う事は、すべからくバカにして、
何の参考にもせず、むしろバカにするネタにする。
人の痛みや悲しみを感じることなく、
人の喜びや感動も共感することが出来ないのでマーケティングも解らず、
経営とは勝つことでしかないと思っているから、
負けるとその訳が分からず、八つ当たりするだけで、
ひたすら人のせいにするので、
負けが、経営の宝である”学び”にも”懲り”にもならない。
しかも、
環境の変化に適応するタフさと孤独に対するタフさに欠けていて、
目先の変化に惑わされる脆弱な精神力しかない。
自然の中ならば真っ先に滅びる種類だ。
帝王タイプの経営者で成功した人を私は一人も知らない。
最も経営者に適していない人と言える。
よく勘違いされるが帝王タイプの経営者は意外といない。
サラリーマン社長ですら成功していない。
ましてや創業者には帝王タイプはいないと断言できる。
少なくとも私は会ったことが無い。

 

 

しかし、
日本の現代のemperor、天皇は、
敗戦後、日本民族の象徴として、どうあるべきか、
たくさんの、たくさんの国民からいろんな意見を聞いて、
理解し、受け入れて、
自分が神ではないことを理解し、
人間でありつつ象徴であることの意味を理解し、
そのために自らは何をすべきなのかを見出し、
たとえば、災害で打ちひしがれる国民には、必ず行って、膝を下ろして声をかけ、
そっと心で寄り添うことで、象徴としての役割を果たして
多くの国民の力になっている。すごいですね。
その上で、
日本民族が育んできた神道の天皇としての宗教的役割を、
伝統に則って果たし、
自らの役割がその承継であることも体現する。

 

すごいですね。
私は”右”ではないですが、
日本の天皇の存在とその意味と行動に何の違和感もない。
第二次世界大戦に敗戦したことですべての価値がひっくり返った日本で、
象徴天皇が見事に適応している今の姿に
外国に対してもむしろ誇らしく思います。

 

底の浅い帝王タイプの経営者とはえらい違いです。

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.