谷 好通コラム

2006年10月24日(火曜日)

1497.給与の計算に思う

今日は朝から25日支給の給与計算をした。

 

我が社は毎月15日締め切りで25日に支給をしている。
25日にみんなの口座に振り込むためには、
銀行とつながっているパソコンで前日までに入力をしなければならない。
だから、24日中に計算が終わっていなければならないのだ。
みんなが自分の給与を20日までに申告をしてくる事になっているのだが、
いつも遅れて送ってくる者がいて、
こちらの計算とチェックもギリギリになる。
今日も、大切な約束が朝10時あるのを解っていながら、
朝早くから時間が経つのを忘れて計算をしていて、
お客様に大変失礼なことをしてしまった。

 

給与計算は、昔から私がやって来た。

 

社員と会社とは、乱暴に単純化すれば、
社員の会社に対する貢献に対し、会社が給与で評価する関係なのだから、
給与の評価、計算は、自分の仕事としてやるべきだと思っている。

 

この会社の給与の計算方法は変わっていて、
出勤簿を自分で書くのはもちろん、
自分と自分の部署が上げた実績を、
会社から用意されている自分用の給与計算エクセルシートに打ち込んで、
自分で自分の給与を計算するのだ。
それを毎月20日までに専務にメールで送って、
まず専務がチェックをして、私に送られ、
私は、その人の仕事について色々なことを考えながら、
修正すべきと考えた部分を修正して、それぞれに支給する。

 

給与計算のエクセルシートは私が考えて作った。
何日も何日もかかって、自分で作った。
非常に複雑な方程式になっているので、
エクセルに書き込む計算式そのものは会社のスタッフに手伝ってもらうが、
方程式そのものは私が作って、
何年かかかって、少しずつ修正を加えてきたものだ。

 

固定しているものは「年齢給」と「家族手当」。
問題は変動部分で、
経験が浅くて、まだインストラクターとしての能力が十分ではないスタッフは
職能基礎レベル数が低く、
実績による成果給があまり大きく反映しないようになっており、
代わりに固定の「現業手当て」がついて、
残業、休日出勤などが、通常の残業としての計算で出るようになっている。
能力がまだ十分で無い時点においては、
固定給の要素が強く、業績にあまり大きく影響されることなく
時間による加点が大きく出るようになっているわけだ。
成果給の色合いが低く、タイムカードによる普通の給与体系に近い。

 

それに対して、能力が十分に備わり、
その部署の実績に大きくかかわってくるようになってくると、
職能基礎レベルが上がってきて、
「現業手当て」が無くなり、代わりに「指導資格手当て」が付く。
と同時に、残業とか休日出勤による加点が低くなってきて、
部署の業績によっての成果給の割合がぐんと増えて来る。

 

これを、基礎レベルの数値が上がることによって変化して行くように
たくさんのセルに計算式が入れられるのだが、
例えば、成果給の基本値を算出するセルには
=IF(F5>=14,E5*(G8+0.1)*(G8+0.1),IF(AND(F5<14,G8>0.9),E5*(G8+0.1),E5*1)となり、
固定部分と、変化する部分、それも二乗効果でダイナミックに変化する部分と
3つの要素で構成されている。
これに限界の値を算出する計算式がリンクして、
決定値が算出される。
こんな複雑な計算式、しかし意味を持った計算式が、
たくさんセットされている。

 

こんな計算式を私が書ける訳がないので、
会社のエクセルに強いスタッフに作ってもらうわけだが、
方程式としては、私自身が会社のスタッフ一つ一つの顔を思い浮かべながら
ああでもない、こうでもないと、考えながら作り、修正する。

 

人を人が評価するのは大変に難しい。
評価されるその人の行動をすべて把握できるわけでもなければ、
その結果として出てくる成果の意味を、すべて理解できるわけではない。
ましてや人間は感情の動物であって、
すべての人に対して客観的であることは出来ない。

 

それでも、頑張ってやるべき事をやって、それに応じた成果を出した人を、
その人の持っている能力と立場に応じて出来るだけ客観的に評価をしなければならない。
それを実現するには、
人間の頭による計算だけでは無理だと考え、
複雑な方程式を作った。

 

やる人が、やればやっただけ評価されて、
やらずに不当な高い評価を受ける者が出ることなく、
誰もが頑張れる評価の方程式を何とか作りたかった。

 

この方程式が完全では無いことは当然のことだが、
少なくとも、人間の頭の中だけでの計算よりは、うんと客観的になっているはずだ。

 

我が営業スタッフたちは、
そのエクセルシートに、
出勤簿と、部署の実績と、個人の獲得実績データを打ち込んで、
その月の自分の給与を自分で計算する事になる。
自分で実績を入れ、自分で計算をすると、
実績がどうであったので、あるいは個人の実績がどうであったから、
どのような給与になるのか、リアルタイムで実感しながら計算をする事になる。

 

実績が思うように上がらない時は、
少なければ少ないように、納得せざるを得ないし、
実績が素晴らしく良ければ、給与を計算しながら「やったー」という事になる。(はず)
複雑ではあるが、
特に管理職においては
自分の実績と報酬が直結するする方程式になっているからだ。

 

人を評価するのは実に難しい。
人が挙げた成果を評価するのはもっと難しい。

 

だから、数字で出来た複雑な方程式を作って、
より客観性を持たせようとするわけだが、
状況が複雑になるにつれて、方程式もだんだん複雑になってきて、
収拾がつかなくなって来る時もある。

 

そんな時には、一度原点に戻って
係数を一度整理して、いっそ無くしてしまって、
方程式の本来の意味を思い出しながら再構築する事になる。

 

働いてくれている人たちの評価は経営者としての最も大切な仕事の一つだ。
複雑になった計算式を作っている方程式を、じっと睨み、
その中に心を吹き込む事に集中する。

 

 

昨日、今日と会議が続いた。
出来れば今日の午後から、
エンジンが壊れたゴルフGTIの修理が出来上がったので、
それを取りに行こうかと思っていたが、やっぱり、やることがいっぱいで無理だった。

 

こんな私の評価は誰がするのか。
社会の多くの人からのこの会社に対する評価が、
すなわち、私たち経営者に対する評価そのものなのだろう。
一生懸命仕事して、頑張らなくっちゃ。

 

 

今日の会議の一場面。誰かがエキサイトしている。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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