谷 好通コラム

2006年05月29日(月曜日)

1403.2年使ったカバン

私のビジネスカバンはかなり大きい。
横長の手提げタイプで、
飛行機の中に持ち込める規定と同じサイズ。
特に変わった形ではないが、伸び縮みする取っ手とタイヤが付いていて、
地面をスムーズに音も無く引っ張ることが出来る。
カバンの中身が多い私にはぴったり、大変気に入って2年くらい使い続けている。
材質は“布”に限る。
絶対的に布のカバンが軽いのだ。

 

カバンの中身は、
ノートパソコン、充電器、LANケーブル、CD-R・DVD各一枚ずつ、ピッチカード、
コンパクトデジカメ、小さな充電器、予備のSDチップ、USBコード、携帯の充電器、
商品のカタログ3種ほど、キーパータイムス2号分各2枚程度、
その時に必要な書類10枚~20枚程度、名刺入れ、予備の名刺、
と、ここまでが仕事道具。
そして、洗面道具一式のバッグ
(歯ブラシ、歯磨き、歯間ブラシ、うがい薬、髭剃りとムース、垢摺りタオル、つま楊枝)
突然の宿泊に備えワイシャツ一枚、靴下、(パンツとシャツはコンビニで買えばいい。)
身障手帳、ANA・JALとスカイチームのマイレージカード、
スケジュールの手帳、風邪薬・胃腸薬などの薬類、飴少々、

 

ざっと思い出して、いつもこれだけの物が入っている。
“いつも”これだけの物がカバンに入っている。

 

本当は、行き先とスケジュールによって書類カバン一つで済むはずなのだが、
用件によってカバンを使い分けると、
中身をいちいち入れ替えることになり、
おっちょこちょいの私は、必ず何かを入れ忘れることになる。

 

だから、
いつも仕事に必要な物を全部持ち歩き、
突然一泊しなければならないことも多いので、
そんな場合にも困らないような物までもカバンに入れている。

 

これはけっこうな量で、
カバンの重量も加えるとかなり重い。

 

海外出張になると、
これにパスポート、国際便のチケット類、
Yシャツが2枚以上が加わり、下着のシャツとパンツ、靴下も加わる。
海外のコンビニには下着類が売っていないからだ。(中国でしか確認していないが)

 

海外出張でも、2泊~3泊くらいならこのカバン一つが常である。

 

重量は確実に5kgを越し、
日本の国際便のカウンターに行くと、これでモメル事がある。
「機内持ち込みの荷物と認められない」と言うのだ。

 

海外のカウンターではそんなことは一度も言われたことがないし、
日本でも国内便カウンターでは言われたことが無い。
特に中国の飛行機などでは、
大きな荷物を2つも3つも平気で機内に持ち込んでいるし、アメリカでも同様だ。
なぜか日本の“国際便だけで”、それを言われる。

 

カバンのサイズは機内持ち込み許容サイズ内になっているのだが、
キャリア機能が付いているカバンはダメだというのだ。
キャリアのハンドルを引っ込めて「これでいいですか?」と聞くと、
「重量を測って見ますのではかりに乗せて下さい。」と言う。
しぶしぶ乗せると7Kg~9Kgぐらいあって、
「重量オーバーです。」と来る。
カチンと来て、
「私は標準体重から30Kgぐらいオーバーです。私も機内持ち込みはダメですか?」
と言うと、係の若き女性は、
きまって、
怒ったような顔をするか、
「アホか・・・お前は」というような顔をする。

 

いいではないか、たった2~4Kgの重量オーバーなんて。
私の荷物はこのカバンたった一つなのである。
空港などで買ったお土産を山ほど、しかもいくつも持っている人もたくさんいる。
たった1つのカバンで、2~4Kgの重量オーバーなんて・・・・・
しかし、
そこで大きな声を出しても仕方ないので、
最後は拝み倒しになるのだが、それにしても腹が立つ。

 

 

・・・・・・
話がそれてしまった。

 

いつもそんなに重いカバンを持って歩いているので、
キャリア機能は、私のカバンには必須の機能なのだ。

 

その私のカバンは、2年程前に買ってきてもらったごく安いカバンで、
2万円程度であったと言う。
安物ではあるが、入れる場所が多く、そのサイズも私の荷物にぴったりで、
大変便利で気に入り、長い間使った。
今までいくつもカバンは買ったが、こんなに長く使ったカバンは初めてである。

 

せっかくのお気に入りのカバンであるが、
酷使したせいもあって、キャリアの“コロ”が重くなってきた。
コロの軸についているベアリングが減ってきたか、割れたかであろう、
ガラガラと大きな音が出るようになって、引っ張っていてもずいぶん重くなった。

 

そこで今日、新しいカバンを買いに行った。
巨大スーパーのカバン売り場では、私の持っているようなタイプのカバンは無かった。
仕方なくかなり遠方であるが、大きなカバン専門にまで足を伸ばした。
カバンばかりの店で、売り場は300~400坪くらいあるだろう、
そこに見渡す限りのカバンが売っていた。

 

がっ、ビジネスバックの売り場はほんの一角で、
私のような大きなビジネスバックはほんの少しの数しかない、
しかもキャリア機能付きとなると全部で4つしかなかった。
その内私の望むようなパソコンが入り、
色々な荷物を区別して入れられる構造を持っているのは、たった一つ。
たった一つだけ!

 

私は広いカバン専門の店の中で、
選択の余地がまったく無いたった一つのカバンを見つめて迷った。

 

そのカバンは「TUMI」というメーカーで、値段は7万2千円だ。
今のカバンと同じ黒の布のカバンだが、ずいぶん高い。
構造が丈夫に出来ているのか、今の物よりもかなり重いような気もする。

 

たった一つのカバンを目の前にして迷い、悩む。

 

カバン売り場の主役は「ブランドバッグ」で、
鍵付きのショーケースに入れられ、売り場の1/3を占めている。
ちょっとだけ覗いてみたが、
VとLの文字が入ったバックたちが10万とか20万円以上の値札をつけていた。
「高っか~~」、思わずぞっとする。
係員が近づいたので、そ~っとその売り場を離れる。

 

もう一つの売り場の主役は、スポーツバックと旅行用バック。
スポーツバックは「修学旅行に」と書いてあり、
旅行のボストンバックには「バケーションの海外旅行に、新婚旅行に」とある。

 

結局、私は迷った挙句にTUMIのビジネスバックを買うことにした。

 

今日、大きなカバン専門店で、
観光客ばかりの中、一人だけ背広姿で飛行機の中に乗っている時と
同じ孤独を感じた。

 

「やっぱり消費は、遊びとかおしゃれとか、そういうものなんかなぁ~~」

 

私はおしゃれにまったく興味が無い。
極端に言えば、私には仕事着の背広とパジャマがあれば人生の98%が済む。
電化製品にもまったく興味が無い。壊れたら仕方なく新しいのを買うだけだ。
私は消費者としては異端に属するのだろうか。
これでは消費者の気持ちが理解できないかなぁ~。
カバンを買いながら、そんなことを考えさせられた一日でした。

 

迷いに迷って買ったTUMIのビジネスバック

 

 

こんな風にハンドルが伸びるのです。

 

 

2年以上愛用したお気に入りの無名のカバン。
いいカバンでした。

 

新しいカバンが、下手にブランド名が付いているだけで高いカバンでないことを祈る。

 

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.