谷 好通コラム

2005年12月05日(月曜日)

1298.私は予選で終わり

まず、これを書いているということは、
私はMINEでパッと逝くことが出来なかったということである。
良かったというか、何というか。

 

 

昨日の夜、新山口に入って、
翌日、つまり今日、朝7時に迎えに来てくれた山本君の車でMINEに向かった。

 

朝、空は朝焼け、山は紅葉で、
すっかり気分のいい出足であった。
MINEサーキットは、今度こそ最後になるはずである。
出来れば晴れて、私も走れればいいなぁ、と思いながらMINEサーキットに到着。
すでに畠中君とか、メカの小林君とかが来ていて車の準備をしていた。

 

寒い。
足元から凍るような寒さを感じる。
高速を降りる所にあった温度計が「0゜C」とあったと、山本君が言っていた。
それでも空はまだ曇っているだけであった。
ひょっとしたら、天気予報が外れて、今日は晴れるのかもしれない。
そう思わせるような朝であった。

 

8時までに車検と装備品のチェック
9時半からは、予選である。

 

車検が終わった頃であろうか、ポツッポツッとしずくが空から降ってきて、
たちまち地面のアスファルトが黒くなってきた。
予選だけでもドライで走れたら、それだけで満足なのだが、
そう思っていた希望は、あっけなく無くなった。

 

いずれにしても、予選は走ろうと思っていた。
晴れていても、雨が降っていても、とりあえず予選だけは走っておこうと思っていた。
エントリーに名を連ねて参加ゼロでは、いかにも失礼だし、情けない。

 

雨は本降りになっていて、コースは完全に濡れている。
所々、コース上に川が出来ているくらいだ。
?25KeePreレビン、予選の最初はH.オサム、
なかなかタイムが上がらない。ベストラップは、2分14秒。
断然速かったトップとは15秒差、2位以下の車とも10秒くらいの差がある。
これはいくらなんでも、おかしい。
しかし、いくらアタックしてもタイムが上がらないので、わずか数周で帰って来る。

 

次に私が出て行く。
セカンドドライバーの山本君が、体力温存と言って予選を走らない事にしたので、
私は、畠中君から「時間いっぱい好きなだけ走ってきてください。」と言われた。
(山本君は本当に首がおかしいらしく、ヘンな格好をしている。)

 

私の予選、まず一周目、
春のジュニア耐久以来、9ヶ月ぶりの本格的なサーキット走行である。
しかも、経験の少ない雨での走行。
ピットレーンから本コースへ、
見慣れた光景だが、久しぶりで懐かしい。

 

本コースへの合流に向けてアクセルを踏み込む。
と、すぐにガッガッガッと音と共に振動が前から来た。
アクセルオンで前輪がトルクをグリップ出来ず、タイヤが空転する音と振動だ。
うっそ~、こんなにグリップしない事は初めてだ。
アクセルを戻してそっと加速しながら第1コーナーを抜け、
第2コーナーへのバックストレートを、それでも、フルスロットルで加速する。
ある程度スピートが出て3速からなら、アクセルを踏み込んでも大丈夫そうだ。
第2コーナーにかかる手前では、
ドライの時は100m弱でブレーキングを始めるのだが、
この時は多分150m手前くらいで、
“そっと”ブレーキを踏み始めた。本当にそっとである。
それでもシフトダウンのためのヒールアンドトウをすると、
ちょっとブレーキペダルに圧力がかかるのか、クックッとタイヤがロックする。

 

コーナーの奥に2台が曲がりきれずに突っ込んでいるのを見た。
次の第3コーナーでも、曲がりきった外側にコースアウトした車が1台。
ヘアピン、便所下のコーナー、第2ヘアピンと、ヨタヨタと走って、
シケインと最終コーナーの一つ目に、
1台ずつコースアウトしている車。
まるでコース中レースカーの墓場のように、
コースアウトした車が鎮座していた。

 

こんな光景をみるのも初めてである。

 

9ヶ月ぶりの本格的サーキットで、
最初に、ハンドルまっすぐなのに、アクセルオンでのタイヤ空転を初体験し、
次にコーナーごとのコースアウトした車達の墓場を見て、
私はすっかり動揺してしまった。

 

びびって運転すると、足も手もすくんで、
なかなかスムーズな運転が出来ない。
ここは一回出直そうと、早々にピットに入る。

 

ただ単にヒビッて、戻って来たことを見抜いた畠中は、
「はい。もうちょっとがんばって~」と冷たく私をピットを追い出す。
またコースに戻る。
それでも何周か走るうちに、
あのレーシング走行の懐かしい感触が戻ってきた。

 

でも、雨の中、
ブレーキはそっとペダルに触る程度、踏むなんてとんでもない。
ハンドルは、まさかと思う低いスピードでコーナーを回っても、
すぐにアンダーステアの状態になって、
コリコリコリとタイヤが横に断続的に滑りながらゆっくり回る。
アクセルだって、そ~~~~っと踏まないと、
すぐにフロントタイヤが空転する。

 

じきに予選終了のチェッカーが出て、私の出番は終わった。
タイムは2分24秒。
私のドライの時のベストは1分46秒前半、それに遅れて約38秒プラスである。
これでは走ったうちには入らないが、
この状況なので仕方がない。
これで、私のMINEはすべて終わった。

 

予選のあと、とにかく冷え込んでくるピットの中で震え、
10時過ぎのドライバーズミーティングでは、
ブリーフィングルームの中の暖かさに、説明を受けながらも15分は椅子で熟睡した。
こんなことは初めてである。
初めてづくしの最後のMINEである。

 

レースは、スタートドライバーが畠中君、そして、山本君という事になった。
私はもちろん決勝は走らない。
冷え切った雨のコースは、私が闘えるような場所ではない。
みんな、「走りましょうよ」と誘ってくれるが、やっぱり走らないことにする。

 

レースの様子はまた、明日書く事にして、とりあえず、きょうはここまでです。

 

朝は、とにかくこんなに天気が良かったのです。
てっきり、そのまま晴れると思ったのですが・・

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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