谷 好通コラム

2005年12月02日(金曜日)

1296.ぬくぬくポカポカ

今日は半分以上遊びのようになってしまった。
富士スピートウェー(通称FISCO)に、“コースライセンス”を取りに行ってきたのだ。

 

去年の十勝24時間耐久を走ったインテグラを、
FISCOに拠点を持っている東名スポーツさんに、Nプラスからクラス4に改造してもらい、
田中さんの車とは別に、
来年のスーパー耐久富士スピードウェー戦に出そうとしている。
ドライバーは畠中オサムと、山本マコトの二人、
あわよくば私もCドライバーでというプランだ。

 

そのために、FISCOでの練習を積んでおこうと考えた。
練習のためにはコースライセンスが必要で、それを取りに行ったのだ。

 

私は、国内のほとんどのレースに出場できる「国内A級ライセンス」を、
持っている。(もちろん畠中オサムと、山本マコトも)
レースに出場のためなら、
全国何処のサーキットに行っても走ることが出来るのだが、
レース以外での練習のため、あるいは遊びで走るには、
それぞれのサーキットが発行する「コースライセンス」を、取らなければならない。

 

これは、全国の有名サーキットはもちろん、
全長1kmそこそこのミニサーキットでもだいたい同じだ。
何のためにこんな制度があるのか分からないが、
現実にそうなのだ。
コースライセンスを取るには、
2万円から5万円の費用が必要であり、
約2時間の講習を必ず受ける事になっている。

 

講習の内容は、みんなだいたい同じで、
黄色の旗が振られたら、その区間は追い越し禁止であるとか、
青い旗が振られたら、後ろから速い車が迫っているので追い越しをさせろ。
赤旗が振られたら、レースは一旦中断であり、注意してピットに戻れ。
・・・・・・
などのレースの基本ルールが繰り返し述べられる。

 

2時間という長い時間がノルマになっているのか、
話すことが無くなってしまうのか、
あるミニサーキットでは、そのコースが出来るまでの歴史を聞かされた。
そんなことが、コースを走るために、そして安全のために何の役に立つのか、
不思議で仕方なかったのだが、
講習が早く終わることを祈って、その時は黙って聞くことにした。

 

国内Aライセンスを持っていて、
モータースポーツにとって一番激しい“レース”を行なうことが許されているのに、
そのサーキットにおいての練習走行には、
コースライセンスを取るために毎度の2時間の講習と、
バカに出来ない金額の費用が要ることは、
いかにもつじつまの合わない理不尽な事に用に思える。

 

コースライセンスの存在理由は、
それが、そのサーキットの大きな収入源になっている。
ただ、それだけなのではないか。
少なくとも、A級ライセンスの取得者には、コースの利用説明ぐらいで、
毎度の基本的な講習は勘弁して欲しい。

 

そういう意味で、今日のFISCOのコースライセンスは、
さすがに、FISCOが国際的にも一級のサーキットであるだけのことはあった。
練習走行の予約の仕方とか、そのルールとか、
コースに入る時の方法とか、何やかや、
FISCOでの練習走行に必要なことをいっぱい教えてくれた。
これを聞いておかないと、実際に練習走行に来た時、迷ってしまうことである。
もちろん、あの解り切っている旗の話とか、
そんなものもあったが、
最後に体験走行でコースを三周だけ回らせてくれたのは、嬉しかった。
体験走行は、
どんな車でもOK、ヘルメットも何もなしで、
誰を同乗させても良い事になっており、
私は、三島駅で借りたレンタカーで、一緒に行ったH.オサムと一緒に、
観光客気分で、楽しく回らせてもらった。
国際的にも第一級のFISCOのコースを観光走行。
これはこれで、ピクニックのようで楽しかった。

 

しかし、さすがにFISCO、4万1千円のライセンス取得料は値段も一流である。
(ちなみに鈴鹿サーキットは5万円以上だという。)

 

 

FISCOは寒いイメージがあったので、
私は今日、
当然のごとくパッチを履いていったが、
これは間違いであった。

 

三河安城から三島での新幹線「こだま」は、室内が暑すぎるぐらいであったし、
三島からのレンタカーでは、ヒーターを切ったくらい暖かい日であった。
FISCOの講習会の会場も、
充分に暖房が効き、
ポカポカぬくぬくで、講習の間、
瞼が下がってくるのを我慢するのにかなり苦労した。

 

富士山ろくにあるFISCOは、まるで春のような気候であったのだ。

 

ポカポカぬくぬくは、
人間をダメにするのか。
私は、まったく集中力が欠けていて、
忘れ物の連続であった。

 

FISCOに着くまでは、それでも、緊張感があったのか、何事もなかった。
新幹線の中からの富士山は、バッチリ撮った。

 

 

しかし、講習でウトウトッとしてからが歯車が狂い始めた。
まず、FISCOからのすばらしく間近の富士山を撮り忘れてしまったのだ。
しかも、せっかくの観光気分で何でもありの体験走行で、
コースを走る写真を撮るのを忘れてしまった。
こんなことは二度と無いかも知れないのに、浮かれて喜んだだけだった。
実に惜しいことをした。

 

FISCOでのライセンス取得が終わって、
午後、近くにある東名スポーツさんを訪問した。
そこには、S耐の田中選手と松永選手も来ていて、
来年のシリーズをいかなる体制で走るかを話し合ったのだ。

 

ひょっとしたら、ものすごくひょっとしたら、
東名スポーツの中野社長の斡旋で、
S耐の最高クラスで、闘う事になるかもしれない。
あまりにも未定な部分が多くて、これぐらいしか言えないが、
ひょっとしてひょっとすると、来年はすごい事になるかもしれない。

 

 

今年一年お世話になった中野社長に田中・松永両選手とも、感謝、感謝です。

 

 

その東名スポーツを早めに出て、三島に急ぐ。
三島に着いたのが午後4時過ぎ、これなら充分に会社に間に合うと思ったが、
私のセカンドバックを、
東名スポーツに忘れてきてしまった事に気が着いた。
自分の頭をポカポカっとやりたいぐらいだ。

 

一緒の畠中君は、店の方でちょっとした問題が起きたので、
そのまま三島駅から新幹線に乗る事にして、
私一人で、御殿場の東名スポーツに忘れ物を取りに行く事にした。

 

一人で走る片道約50km、ポカポカぬくぬくで強烈に眠い。
途中でコンビニに寄って、ガムを買い、噛みながら、やっとのことで東名スポーツへ。
照れ笑いをしながら、中野社長からバックを受け取り、
一路、また三島へ。
ところが午後6時を過ぎた三島市内は通勤渋滞がすごい。
行きの三倍ぐらいの時間を掛け、やっとのことでレンタカーを返したのは午後7時前。

 

三島駅で切符を買ったが、
ちょうど「こだま」が出たところで、三島駅で25分待ちとなった。

 

ポカポカぬくぬくで気が緩み、バック一個を忘れただけで、
こんな時間になるとは、とんでもない誤算だ。

 

腹が減った。
構内で何か食べ物を買う事にする。
キオスクを覗いたが、ちょうど良いものが無い。
しょうがなく、お茶だけを買った。
改札を抜けたところに駅弁屋があったので、また覗いたら、
アジの寿司があって、量もあまり多くなかったのでそれを買う。

 

やがて新幹線がやってきて、
列車に乗り込むと同時に弁当を食べようとしたら、お茶が無い!
どうも、駅弁屋さんに置き忘れて来てしまったようだ。
弁当代を払う時、カウンターにお茶を置いた記憶がある。
そのまま忘れてきてしまったらしい。
がっくり。

 

お茶なしで弁当は食べられない。(私はそうなのだ。)
仕方なしに、列車の中の自販機を探すが無い。
「こだま」には自販機がはじめから設置されていないのだと車掌さんが言っていた。
しょうがないので、
車内を巡回しているワゴンサービスが来るのを待つ事にしたが、
それにしても腹が減った。

 

三島を出た“こだま”は、「新富士」「静岡」「掛川」と過ぎていくが、
ワゴンサービスの車内販売がやってこない。
イライラするとますます腹が減る。

 

じれた私は車掌さんに
「ちっともワゴン来ないですよ。そろそろ一時間ぐらい経ちます。」
車掌「わかりました。早く行くように言っておきます。」

 

ワゴンサービスがちっとも来ないのをチクッた私が、席に着くのとほぼ同時に、
可愛い女性が押すワゴンサービスがやってきた。
あまりにも出来すぎだが、
とりあえず来てくれたのだから、早速呼び止めて、
「お茶を下さい。」と言った。
「お茶“だけ”ですか?」とは、ワゴンサービスの女性。
腹が減ってイライラしていた私はカチンと来て、
「そうっ、だけっ、です。」と、ちょっと強い言葉で言ってしまった。

 

それから「浜松」「豊橋」「三河安城」と進み、
その間、そのワゴンサービスは3回ぐらい往復してやってきて、
それも、私の席の横を通る時はまるで走るかのように早く通り過ぎて行った。
何か悪い事したのかな。

 

お茶を弁当屋さんに忘れてきてばかりに、
私はワゴンの女性から嫌われてしまったようだ。

 

あまりにも今日はドジが多い。
駅に着いて、
慎重に考えた。
車を駅の駐車場から出さなくてはならないのだが、
ひょっとしたら財布の中から千円札が無くなっているかもしれない。
何か悪い予感があったのか、
財布を調べると、本当二千円札がなくなって、一万円札だけになっていたのだ。
「お~危ない、危ない。」
ちょっと離れたところにある駅の駐車場に行ってから気が着いたのでは、
また、両替に戻らなくてはならなかったところだ。

 

そそくさと「みどりの窓口」に行き、
「すいません。駅の駐車場から車を出したいんですけど、
一万円札しか無くなってしまったんです。両替してもらえませんか。」
駅員さん
「いや~、両替はしない事になっているんですよね。」

 

カチンと来た。

 

駅構内の売店、レストランは、午後9時前だと言うのに、
すでに閉店しており、一っ軒も開いていない。
「新幹線の駅で、こんなに早く売店閉めちゃうなんて思っていなかったし、
この駅、前の公園みたいのがだだっ広いので、コンビにまで200mぐらいあるし、
足が痛くって、ちょっと歩けないんですよ。
だいいち、駐車場もこの駅の施設なんでしょ。」
などと、
グチュグチュ言っていたら、
先程の駅員さんは聞こえないフリをしているのか、こちらを見もしない。
また、カチンと来た。

 

「おいっ!」っと、ちょっと大きな声で一言だけ言った。
一言の掛け声だけであるが、恫喝に近い調子だ。
そうしたら、何も言わずに、
いかにもいやそうに、五千円札一枚と千円札五枚を持ってきた。
私も黙ってそれを受け取った。
それだけ。

 

大きな声を出すことは、
それがたった一言であったとしても恥ずかしいことである。

 

 

ぬくぬくポカポカで始まった今日の忘れ物連発。
パッチのセイではなく、私の不注意である。
しかし、何か気が萎えてしまった私は会社に行かなかった。
もう午後8時を大きく回っていて、事務所には誰もいないかなとも思ったし。

 

それから、これを書き始めた。
先程、午後10時を大きく回った頃、
何か予感がして、会社に電話を入れてみた。
そうしたら、事務員さんたちがほぼ全員、事務所でまだ頑張っていてくれた。
びっくりした。
私「エ~ッまだ頑張ってるの。ほとんどみんないるの?」
「先月からずーっと、みんなこれぐらいの時間は残っているんですよ。」
私「なんで?」
「私は新システムのこともあるんですが、みんな、とにかく出荷の荷物が多くって」

 

私は外に出ていることが多くて、
事務所にいる時は、昼間、目が回るほど忙しく、早目に帰る事が多かった。
だから、出荷あとの処理で、みんながこんなにまで毎日遅くまで頑張っていてくれる事に、
気が着かなかった。
申し訳ないことだ。

 

たしかに、このところまた出荷が増えて、
今月も、前年比150%をオーバーしている。
そう思って、パートさんをかなり増やしたのだが、
出荷が終わって後、社員の事務員さんが行なう処理も大幅に増えているのだ。
たしかに社員の事務員さんの数はずっと増えていない。
それが、連日、全員夜中までの仕事になっている事になっていたのだ。
気が着かなかったことは恥ずかしい限りである。

 

誰でもそうだが、
自分に苦しいことがあると、
つい、自分だけがこんなに苦労をしている。と思いがちである。
そして、つい、被害者のような意識を持ってしまうことすらあるもの。

 

とんでもないことである。

 

仲間たち、みんなそれぞれに、自分の仕事として、みんな頑張ってくれている。
あらためて、そんな事に気付いた思いである。

 

ぬくぬくポカポカは、まだ早いようである。

 

 

中野社長の東名スポーツは、
クラッシックカーのレストアも大変な物である。
すごい車が、ピカピカによみがえっていた。

 

 

今年一年間活躍してくれた?17キーパーインテグラが、静かに休んでいた。

 

 

東名スポーツは、FISCOから5分。
静かな森に囲まれたすばらしいところである。
紅葉が盛りであった。

 

 

富士山はいつまで見てても飽きない。

 

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