谷 好通コラム

2005年11月01日(火曜日)

1277.陰湿なる犯罪行為

何の雑誌であったろうか、
つい最近読んだ経済紙に、
空恐ろしくなるような記事が書いてあった。

 

(記憶だけで書くので不正確ではあるが)
JAL・日本航空とJAS・日本エアシステムが経営統合して、
新生JALが誕生しているが、
元日本航空社員と元日本エアシステムの社員では、
かなりの給与格差があって、それがいまだに、そのままであるという。

 

同じ会社に居ながら、2つの給与体系が生きたままで、
JALでは、元日本エアシステムの社員からの不満が社内に鬱積しているという。
そのような鬱積が反映してかどうか分からないが、
JALのスタッフの対応が、だんだん悪くなってきているような気がする。
いずれにしても、なんとなく覇気がないことは確かだ。

 

先日、航空券を購入する時に、聞くべき事を聞かれなかったので少し文句を言った。
しかし窓口の女性は「はあっ」と言っただけで、こちらの言ったことを無視した。
いつもなら、「言った事にちゃんと答えて下さい。」と食いつくところなのだが、
JALの給与の二重構造のことを知っていたので、
文句を言わず、
カウンターの中の人たちを見渡した。
すると、何となくではあるが、
いい笑顔をもって接客しているスタッフと、
ニコリともしないスタッフにはっきりと別れているように見えた。
その差は、
同じ仕事をしていて、
給与が高い組(元JAL)と安い組(元JAS)なのかなぁ~
などと思ったのは、
私の勘繰りであったに違いない、と信じたい。

 

しかし、そんなことは些細なことで、
先の雑誌に書いてあったことはもっと深刻なことであった。

 

機体の整備についてである。
整備スタッフについては、
何故か、給与体系の高い安いが逆になっていて、
元JASの整備スタッフのほうが、元JALの整備スタッフより給料が高いらしい。
ここでは、元JALのスタッフに不満が鬱積しているらしい。

 

今、JALの中では給与格差を発端に、
専制的な経営姿勢に会社全体に不満が充満しているらしく、
とても高いモチベーションを維持できるような状態ではないというのだ。

 

ここしばらく、
JALは機体整備不良が原因と見られる機体の故障が相次いでいる。
競合のANAのそれの何倍かの発生率であるという。
また、機体の配線が、大量に、故意に切断されていた事件まであったと言う。
恐ろしいことである。

 

ここまで故障とか事件が続くと、
誰かが、人為的に、飛行機に対して故意に故障を引き起こすような犯罪行為とか、
あるいは、手抜きをしていると考えたほうが自然であるのかもしれない。

 

そのために、
JALの機体整備工場の中は、
不審な行為をする者がいないかをチェックするための“監視カメラ”が、
膨大な数、設置され、
監視の目が張り巡らされていると書いてあった。
「これでは監獄以上だ。息が詰まる。」と整備のスタッフの声が書いてあった。

 

冗談じゃない。
お客様の命を預かる飛行機の整備、
何がどうだか知らないが、
会社に対する不満で、手を抜かれたんじゃあ、
その飛行機に乗る私たちはたまったものではない。
ましてや、確信犯的に故障の原因を作られたのでは、
飛行機に乗っていても、いつ落ちるかヒヤヒヤしていなくてはならない。

 

真剣に「しばらくJALに乗るのはやめようかなぁ」と思ったぐらいだ。

 

私は何年か前まで、国内線はANAが多かった。
ANAの方が、他のJAL/JASの国内便に比べ、きめ細やかに路線があったので、
マイレージのポイントが、ANAの方が断然早く貯まるからだった。
それが、JAL/JASの二社がJALに統合後は、
ANAに遜色のない細かい路線数に充実したし、
私も日本人、つい判官びいきもあって、
あえて負け組み同士がくっついたJALを乗るようになっていた。

 

しかし、カウンターでの対応が人によって当たりハズレが多くて、
不愉快なことが多くなったり、
予約にしても、いい加減なところが目立つようになって来た。
ましてや、
安全に直接関わる整備の部分で、
会社が自分の社員をまったく信用せず、
膨大な数の監視カメラを配備していることを知るにつけ、
JALに乗るのを真剣にためらうようになってきたのだ。

 

我が社の中でも、出張の多いスタッフの中では、
「JAL、大丈夫かなぁ」と、公然と語られるようになってきている。

 

しかし、憎むべきはJALか?
会社は会社として、それなりに一生懸命に再建を画しているのだろうと思う。
その方法が理不尽であろうと何であろうと、
そのやり方が馬鹿げた方法であろうと、
天下り族の元官僚たちの施策が人を人とも思わぬ許しがたいものであろうと、
たとえ、なんであろうと、
その鬱憤晴らしに、あるいは会社に対する嫌がらせのために
お客の安全を脅かすような行為をする者がいたとしたら、
それは、ただの犯罪者であり、
その憎むべき行為を正当化できるような理由は、絶対にあり得ない。
憎むべきは、そんな陰湿な犯罪者である。

 

結果として、
その許しがたい行為で、会社が窮地に追い込まれ、
新たなる首切りが行なわれたりしたら、
その許さざるべき行為を行なったその者と関係のない仲間まで不幸にする事でもある。
それはあらゆる者から憎まれるべき卑劣な行為である。

 

客のためにある飛行機に手を出すな!
被害妄想にかられた陰湿な、多分、たった一人か二人の犯罪者よ、
絶対に飛行機に手を出すな。
もし、そんなに許せない会社ならば、とっとと辞めればいい。
やっと入った一流会社と言われるその会社が、そんなに憎いのならば、
しがみついていないで、とっとと辞めればいい。

 

人に分からないようにコソコソと陰に隠れてやる行為に、ロクなことは無い。
コソコソと陰に隠れて、嫌がらせをやる奴にロクな奴はいない。
さみしくも、暗い奴だ。
カッコばかりで、頭が空っぽの変質者に違いない。

 

これは他のことでも言える。
自らの姿と名前を表すことなく多くの事が出来るインターネットでも同じだ。
インターネットがすべてにおいて匿名性を持っていることをいい事に、
馬鹿げたイヤガラセをする奴などは、
人生に自信を失い、希望を置き忘れてきた、陰湿な敗北者ではないか。
いい加減にしろ。
毎日毎日、執拗に送られてくる売春メール、迷惑メール、買春メール、詐欺メール。
どれもすぐに削除するだけの話だが、
その手間も惜しいし、そのメールの表題を見ただけでも、
そのさもしさに気分が暗くなる。

 

いい加減にするがいい。
自分が誰か判らないだろうと思って、
下卑た本性を丸出しにして、鬱憤を晴らしたつもりでいる輩。
それが誰だか、そんなことが出来るバカな奴が誰なのか、
すぐに判るものだ。
そんな情けない奴なんて、そう何人もいるものでないのだから、
それが誰だか、すぐに判るものだ。

 

自分を隠さなければ何も出来ない奴は、
鬱積した不満を胸に、こそっと飛行機の配線を切る犯罪者と何も変わらない。

 

私は思う。
これからも、積極的にJALに乗ろう。
陰湿な暗い馬鹿が、コソッと飛行機のボルトを緩めようと、
それが怖くて、JALに乗らなくなったら、
自分は、その馬鹿者のドロドロとした脅迫に、負けた事になる。

 

そんなことは、自分の存在に掛けて許せない。
だから、私は明日からもJALに乗る。

 

犯人は、きっと気の小さい暗~い奴に決まっている。
そんな奴には絶対負けたくないのだ。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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