谷 好通コラム

2005年10月05日(水曜日)

1259.ローンとは借金だ

テレビをつけると「サラ金」「消費者ローン」、
いわゆる高利貸しのCMがとぎれなく溢れている。
バカな時代があったものである。

 

「先に借金をして、物を買い、あとから金を払う。」
「先に欲望を満たし、そのツケは後から払う。」
これがどういうことなのか、解っているのだろうか。

 

「先にうまいものを食って、後は食べずにガマンして働く」ということか。

 

「働いて、稼いで、稼いだ分で毎日食べる。」
これが正常の生活だ。
「畑で農作物を造り、出来た作物を食べる。」
「山に狩りに行き、とった獲物をみんなで食べる。」
昔からの当たり前の生活だ。

 

それが、
「借金をして、御馳走を食べ、
それから山に狩りに行って、獲物が取れたら、それを売って借金を払う。」
こんな生活が成り立つとでも思うのだろうか。

 

獲物を買ってくれる商人の利益の分だけ、収入は目減りするし、
高い金利ががっちりと着く。
それに苦労を後に持って行くのだから、
獲れる分以上に御馳走を食べ、たくさんの借金をしがちであるし、
ひょっとして獲物が獲れなかった時は、どうするのだろうか。

 

獲った獲物を食べていれば、獲れるまで、食べるのを減らせばいいが、
借金は金を返さなくてはならないのだ。
獲れないから、返済を減らすか?延ばすか?
そんなに高利貸しは甘くない。
では、
女衒に娘を売り飛ばすか?
獲物が獲れなかったという低くはない確率で、娘を売り飛ばすか?
何のために働くのか?
自分のためであり、大切な愛する家族のためだろう。
その家族を地獄に落としてまで、御馳走を食べるのか?
それが出来るのは、鬼畜である。

 

商売の場合でも同じことが言える。
商売には必ず“投資”が要る。
商いをするために店舗あるいは事務所が必要だ。
裸一貫で商売を始める場合、投資は借金である。
どれくらいの規模の投資をするかは、つまりどれくらいの借金をするかは、
その商売で、どれくらい稼げるかが根拠となる。
稼いで、その利益の中で返済が出来る範囲の中でしか投資・借金は出来ない。

 

楽観的な利益予想で、
それが外れた時には、返済が出来ず、倒産となる。
自然の論理だ。
投資は、収入に見合った範囲でなければ、
利益予想が外れるという低くはない確率で、倒産する事になる。

 

ましてや、
収入予測に基づいた投資ではなく、
「店にはあれが欲しい、これが欲しい。」「これがなければみっともない。」
「あれがあったほうが便利だ。欲しい。」「いずれは要るかもしれないから」
などという欲望を動機として投資をした場合は、
収入予測とは別の次元で投資規模が決まり、つまり借金をするので、
収入がそれに伴わない場合の方が多い。

 

この場合、
「これだけ使ってしまったから、これだけ稼がねばならない。」
となるわけだが、
どれだけお客様が買ってくれて、どれだけ利益が得られるかは、
お客様が決めるわけであって、
店のほうの「これだけ稼がねばならない」という店側の都合とは関係ないからだ。

 

個人の借金の場合でも同じだ。
ローンとか月賦とか呼ばれている“借金”でも同じこと。
ものを買うと、その支払いを後で少しずつするという月賦、ローンの類は、
その構造から間違いなく借金である。
何一つの違いもない。

 

借金をした時点での収入、つまり支払能力が、
借金の返済期間の間、間違いなく続くという確信と根拠がなければ、
低くない確率で、破産する。

 

給料が何らかの要因で高くなったとしても、
それが何年か、あるいは何十年か続き、あるいはもっと高くかるとは決まっていない。
何処でどんな要因があって、
収入が減る場合もある。あるいは無くなる場合もある。

 

そんな時、買った物を返せばいいのが自動車ローンだが、
基準よりも価値が下がる要因、つまり事故車になっていたり、
走行距離が異常に長かったりすれば、その基準との差額は当然、借金として残る。

 

あるいは、不動産の場合、土地はまだいくらかは下がるかもしれないが、
少なくとも“古くなって”価値が下がる物ではない。
土地を借金で買っても、払えなくなれば、売ればおおよそ解決する。
売る事によるコストと、土地が下がった分だけがなお借金として残るが、
返済がある程度進んでいれば、無傷の場合が多い。

 

“古くなって”価値が下がる「建物」は、そうはいかない。
“住めば”その時点で半額、10年も住めば価値はほぼゼロとなる。
場合によっては、取り壊しの費用が必要になるぐらいだ。
マンションの場合も同様で、
土地の等分所有では、土地の価値においては無きに等しく、
建物の一部所有は、建て直す自由もまったく無い。
物件としての価値は、返済残高以上のペースで下がっていくので、
その部屋を出て行くときには、借金残高の他に追い金が必要となる場合が多い。
つまり、金を出さないと部屋を出ることが出来ない。

 

しかし、こんなことはマシな方で、
収入に見合わない生活をする事によって出来た借金とか、
飲み食い、ぜいたく品の購入で作った借金などは、
自らの欲望の代償であるだけで、
それが減る要素はなったくない。
自らの生活を180゜変えない限り、破産あるのみである。

 

お金の原則は、稼いだ分を使う。ということ。
商売の原則は、稼げる分だけを投資をするということ。

 

 

今、ディモインのホテルに居るが、
今回は時差がまったく克服できず、午前1時半に目が覚めたきり、
ずっと寝られず、メールを書いたり、コラムの二つ目、これを書いたりして、
起きていた。

 

もう朝の7時である。
さきほど、虚しくモーニングロールがなり、
朝ご飯を食べに行かねばならない。
ああ、つらい。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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