谷 好通コラム

2005年06月05日(日曜日)

1185.これが国営て事?

今、大連のホテルでこれを書き始めた。
今日はたくさんの出来事があって、すごく疲れた気がする。

 

・一つ目の出来事

 

朝、出かける時、車のキーが見つからない。
何処にやったのかとイライラしながら家中を探すが見つからない。
約束の時間が迫ってきて、つい、意味もなく怒鳴ってしまった。
怒鳴ってしまってから、
キーが自分の胸ポケットに入っているのを見つけた・・。
こんなバツが悪い事はない。
つい、怖い顔をしてごまかしてしまったが、
自分が悪い事はよく解っている。
あとで、電話で謝ったが、私はまだまだ出来の悪い人間のままである。

 

 

・二つ目の出来事

 

同行の廣瀬君を刈谷のホテルで拾い、中部国際空港に向かう。
空港の駐車場がひどく混んでいて
空港のロビーも人間でいっぱいであり、団体さんも目立つ。
今日は日曜日だから観光の乗客が多いのだろうと思っていたら、
チェックインカウンターはどこもガラガラなのだ。
今日の大連行きの飛行機は「中国南方航空」

 

手荷物検査場も、イミグレーションもガラガラ。
搭乗口あたりに至っては、ご覧の通り。

 

 

あのロビーの人だかりは何だったんだろう。
それは、飛行機に乗って、滑走路に向かう時分った。
空港を見渡せる空港ビルの屋上にずらっと並んだ見物客、その数、千人以上か。
金網越しにぎっしりと見物客が並んでいる。

 

あの人だかりは、空港を見物に来た客だったのだ。
中部国際空港、またの名を“セントレア”は、開港以来半年を迎えても、まだ、
愛知県の数少ない貴重な観光スポットのままであったのである。
ああ、びっくりした。
わずか百人程度の乗客、中国南方航空のA319という小型ジェット旅客機は、
ゆうに千人を超すであろう見送り人ならぬ見物客の前を、
小さくなって、しずしずと滑走路に向かったのであった。

 

ああ、はずかしい。

 

 

・三つ目の出来事

 

飛行機の中でちょっとしたことがあったのだが、その事は書くのが面倒なので、
大連に到着してからのことを三つ目とする。

 

大連空港には定刻より、なんと、30分も前に到着してしまった。
理由は分らないが、ともかく、早く到着しすぎて、
出迎えてくれるはずの“励さん”がまだ来ていない。
しばらくして、空港に着いた励さんを逆に出迎えて、久しぶりの硬い握手。

 

せっかくの再開を喜ぶまもなく、
私が、パソコンを機内に忘れてきてしまったことに気がついた。
それは一大事と励さんが走って空港事務所に連絡に行ってくれた。
(励さんはフットワークが素晴らしく軽い!)

 

清掃係に問い合わせるが、
「無い」と言う。万事休す。
「バックアップを取っておけばよかった。」とは、
私がパソコンを忘れるたびに出る愚痴。(これで三度目なのだ。)

 

「もうちょっと調べてみます。」と言う係員さんの言葉に
事務所でしばらく待つことにした。
15分ぐらい待った頃、
電話が鳴る。
励さんが立ち上がって「あったそうですよ。」と、うれしそうに言った。

 

どうも、機内に忘れた私のパソコンは、
“親切な”乗客によって拾われ、イミグレーションの審査官に手渡されたのだそうだ。
飛行機の乗員に届けてくれればすぐに出たはずなのだが、
この親切な乗客は、
子供の頃から教わった「拾い物は警察に届ける。」の言葉どおり、
警察官のような格好をしたイミグレの審査官に“親切に”届けてくれたようなのだ。

 

いずれにしても、ありがたいことである。
こうして、三度目の飛行機内へのパソコン忘れ事件は、無事に解決したのでした。

 

 

・四つ目の出来事。

 

励さんと廣瀬君と三人で、市内の喫茶店で話し合った。
励さんを迎えての大連での活動について、
あるいは励さんの研修について、待遇について、3時間近く話し合った。
そして、励さんを私たちの仲間として歓迎することを確認した。

 

話が終わって、晩御飯を食べようということになる。
まだ、午後5時半。(中国時間で)
早すぎる晩御飯だが、昼飯の機内食のボリュームが少なかったことと、
日本時間ではもう6時半であること。
要するに腹が減ったので、早すぎる晩飯を食べることになったのだ。

 

行ったレストランは、
もう何十年前かの「中国文化大革命」の雰囲気を残した店だという。
どんな所かと思ったら、
その頃のポスターが所々に張ってある程度で、特に変わったレストランではなかった。
「な~んだ」と思いながら、そんなことは忘れて、
大連の土地の料理をおいしくみんなで食べた。

 

私は、
ご飯を食べながら、大きい方のトイレに行きたくなるという悪い癖を持っている。
今日もそうであった。
食事の途中で、中座してトイレに行く。
トイレの辺の様子がちょっと昔の雰囲気になっていた。
建国の父・毛沢東が中国中を遠征して戦争をしていた頃の雰囲気なのだろうか、
野戦の様子とか、標語だとかが有って、
トイレに入ってみたら、男女共用のトイレ。
しかも!
大のトイレの扉が、下から130cmぐらいしかない。
上から覗いたら、丸見えである。

 

元来、中国のトイレはこんな扉であるところが多いが、
絶対にこのトイレでだけは「“大”はしないぞ」と強く決めていたのだが、
私のお腹とお尻の都合は、切羽詰っていた。
「ひぇ~~っ、とうとうこのトイレで○ンコをするのか。俺は・・」
覚悟を決めて、
立ち上がると顔が扉の上に来るそのトイレにしゃがんだ。
(座る洋式トイレではない。日本式とはちょっと違った“しゃがむ中国式トイレ”
しゃがむと、扉の方に顔を向ける形になる。)
誰かが入ってきて、覗かれるのではないかとハラハラである。

 

かくして私はとうとう、顔が出てしまう中国式トイレで初の○ンコをしたのであった。

 

※何故だか分らないが、この店では「撮影禁止」となっていた。

 

 

・5つ目の出来事

 

今回は大連市内のホテルに泊まることにした。
これまでの3回の大連訪問では、
レースの田中さん(大連市内の会社を持っている)のお世話で、
大連・開発区の中の立派なホテルに、
320元という破格の値段で泊めてもらったのだが、
今回は、まだ一度も見ていない大連の市内を見たくて、市内のホテルを取ったのだ。

 

このホテル「四つ星」である。一泊460元。
廣瀬くんが「旅窓」で、取ってくれたホテルだ。
このホテルの近所には480元の豪華ホテルのRAMADAホテルもある。
とすると20元安いだけのこのホテルも、相当に良いホテルであろう。
と思った。

 

まずチェックインの時、ホテルのフロントでひと悶着。
部屋のカードキーを造る機械が故障しているので、
ルーム係にいちいち部屋を開けさせるという。
冗談じゃない。部屋に入るたびにルーム係を呼んで鍵を開けろというのか。

 

それでも、機械が直ったら、すぐにルームキーを部屋に持ってくるということで、
とりあえず収まる。
(現在、現地時間で23時、いまだカードキーは届かない。)

 

しかし、部屋に入って驚いた。
風呂の扉の前の絨毯が、ぐっしょりと濡れているではないか。
それもかなりの範囲だ。
水が染みているというレベルではない。
靴で踏むと水がズブッと出てくるぐらいぐっしょりなのだ。
電気を着けてよく見ると、明らかにカビが生えている。

 

 

廣瀬君の部屋にも見に行ったら、
染みている面積こそ私の部屋よりは少ないが、明らかにぐっしょりとなっている。
このホテルの部屋はほとんどこうなのであろうか。
信じられない。
さすがの中国でも、こんなのは初めてだ。
今日は風呂には入らないでおこうと決める。
設備だけは立派(品質の高いTOTOを使っていた)だが、

 

 

湯を出したら何が出てくるか分ったものではない。気持ちが悪い。

 

 

・六つ目の出来事

 

次にクーラーを入れてみるが、冷気が出てこない。
それどころか、スイッチ自体が入らないのだ。
暑い!
外は涼しかったので、窓を開けようと思ったら、
窓を開けられなくしてあった。

 

 

申し訳ないと思いながらも、廣瀬君に頼んでフロントに話をしてもらい、
ルーム係に来てもらった。
しっばらくして、やってきたルーム係のおばちゃん、
クーラーのスイッチをさわって、動かないことを見て、
やおら、部屋に飾ってあった絵の額をひょいと動かした。
そこには何と配電盤があって、その中のブレーカーが落ちていたのだ。
おばちゃんは、表情一つ変えずにブレーカーを入れて、
クーラーが動き始めたのを見て、
また表情一つ変えず、一言も何も言わず、出て行った。

 

 

まぁいい。
とりあえず今晩はここに泊まらなければならないのだ。

 

 

・七つ目の出来事

 

パソコンでもやろう。
そう思って、パソコンをカバンから出し、準備を始めた。
部屋の机は、カッコつけただけの信じられないほど小さいもの。
まぁいい。
パソコンを置ける面積だけあれば何とかなる。

 

電源を探した。
・・・・・
机の下には、電気スタンドを着けるコンセントが一つあるだけ。
明かりの為の電気スタンドは必要だ。
部屋中を探すが、コンセントは反対側にあるテレビの電源のコンセントだけだ。
今度は、LANケーブルのジャックを探す。
これも、テレビの台の裏に一つだけあった。

 

色々考えて出した結論。

 

机とテレビの台の真ん中に、椅子と小物を置く小さなテーブルを置いて、
その椅子の上にパソコンを置き、小さなテーブルの上にスタンドを置く。
そして、パソコンの電源とLANケーブルはテレビの裏から引いて、
電気スタンドの電源は机の下から引く。

 

そして、椅子の下にバスタオルを敷いて、
その上にあぐらをかいて座り、これで出来上がり。
インターネット環境の一丁上がりである。
私は、今、この状態でこれを書いているのだ。

 

 

廣瀬君の言うには、このホテルは国営であるようだ。
設備の一つ一つは金が掛かった立派なものであるが、
その運用は、デタラメである。
運用する人の目的意識がデタラメなのだろう。

 

 

・カードキーが作れなくても「直ったら持って行く。」で済まし、
・バスとトイレを掃除して絨毯が濡れても、ほったらかしで、カビまで生えている。
・部屋のクーラーのブレーカーが飛んでいても、客が言うまで気がつかず、
・直っても「直ったんだからそれでいいだろう。」という、ふてぶてしい態度。
・LANがあっても、サーカスのような格好をしなければ使えない配置。

 

バカバカしいぐらいデタラメである。

 

これで四つ星とは、とんでもないデタラメだ。
国営でもなければ、つまり変な政治力でもなければ、
とっくに星なしのボロホテルである。

 

入れ物だけ立派に造っても、あとはほったらかし、
どこかの国の役人さんと政治家達が作った
全国に星の数ほどある「○×△会館」とか「■☆*+施設」と同じである。

 

こんなところに明日もう一泊するのはとんでもないと、
先程、田中さんの会社の人に、いつもの開発区のホテルの予約をお願いした。
こんな事なら、
最初から、私よりうんとたくさん大連に来ている田中さんの言うことを、・・聞いておけばよかった。
と、後悔と反省の一日の終わりでした。

 

まっ、だけど明日はいいことがあるさ。きっと。(^・^)

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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