谷 好通コラム

2005年01月18日(火曜日)

1101.観光客として豫園

16日の日曜日は観光の一日とした
今回の出張、息子の北斗が一緒に来ることになっていて、
一日ぐらい観光の日があってもいいかなと思って、そんな日程を組んだ。
しかし残念ながら、北斗は予定の日直前に風邪を引きドタキャンになってしまった>
ものすごく楽しみにしていたのだが、風邪では仕方ない。残念。
しかしいまさら、この日に仕事の予定を入れることも
相手に迷惑をかけるので、
そのまま観光の日にしてしまったわけだ。

 

考えてみれば、
私は、大好きなBANDOを何度か見に行った程度で、
上海では観光らしいことをしたことがない。

 

去年六月の2班での社員旅行でも、みんなと一緒に食事をしただけで、
観光にはまったく行っていない。
だから、ほとんどの社員が上海タワーに昇り、人民広場に行き、
豫園などを観光しているが、
私はそのどこも知らない。

 

逆にそれを自慢にするという屈折したものは精神的に良くないので、
今回の機会でぜひ“観光”をしようと思った。

 

行ったのは、「豫園」。
案内は上海の廣瀬君。

 

豫園は、宿泊の百楽門ホテルから近かった。
私の認識では、豫園は上海の郊外にあるものと思い込んでいたが
BANDOのすぐ近くで、
あまりの近さに驚いたぐらいだ。

 

豫園は想像していたものとは全く違うものであった。
もっともっとしょぼいものと思っていたのだ。
さすがに豫園は上海の観光地を代表するもので大迫力。
いつも、ものすごい人出で、歩くのもままならない大混雑であるそうだが、
この日は日曜日にもかかわらず普段の半分以下の人出だと、廣瀬君が言っていた。

 

それでも、この混みようだ。すごい。

 

 

通路の両側、中国風の立派な建物はすべておみやげ物屋さんとかレストラン。
よっぽど儲かるのだろう、圧倒的な存在感である。

 

観光はお土産を買わなくてはならない。
私は屋台のおみやげ屋さんで「ミニ連凧」を買った。

 

屋台のお姉さんは、1個120元だと言う、
それでも電卓を出してきて、それを0.8掛けで96元でいいと言うが、
中国の値引きはそんなものではない。
私が、0.3掛けの36元だというと、
「お話にならない」というような顔をする。
それでも・・・なんだかんだと1分位駆け引きして、結局、2個で100元で収まった。
それでも0.4掛けとちょっとになったわけだ。

 

私は駆け引きが下手なのでそんなものだが、
私の知っているある女性は、ホテルの売店で実に上手に駆け引きをして、
0.2掛け以下にまで値切ったところを見ている。
中国ではいちいち値切って買わなくてはならないのが大変面倒だ。
私は値切るのは苦手だし好きではない。
(その割には、よく値切る !(^^)!)

 

屋台でミニ連凧を売っていたお姉さん。

 

 

それにしても、門前のおみやげ物屋さんなどの建物は、
それ自体が立派な観光施設であり、歴史的な建物と見まがうばかりの威容だ。
中国人のすさまじいばかりと商魂とエネルギーをひしひしと感じる。
こんな建物が、多分500メートル四方ぐらいに広がっている。
大規模観光施設だ。

 

昔の中国建築様式の建物に、見慣れたロゴマークがあった。
「スターバックス」「マクドナルド」「MOSバーカー」「KFCケンタッキーフライドチキン」
ファストフードの名だたるFCがかなりある。
中国人はフランチャイズ好きでもあるのだ。

 

 

あらゆる民芸品のみやげ物屋、中華料理レストラン、食材屋さん、
貴金属細工、宝石屋、仏具、おもちゃ屋、骨董品、漢方薬、
そして駄菓子屋、
私たちは、この駄菓子屋さんでかなりの駄菓子を買った。
どれも甘い菓子で、カロリーたっぷりである。

 

 

しかし、この中でも人気があったのは、
「南翔饅頭店」
饅頭といっても、あんこの入っている饅頭ではない。
ショウロンポウが有名な店で、
特に“蟹肉入りショウロンポウ”が一番うまいという。
中国に長く住んでいる廣瀬君も、
「絶対、ここのショウロンポウが一番うまいです。」と太鼓判を押していた。

 

 

店に入って食べるのには、延々たる行列に並んで1時間~2時間
お土産としてテイクアウトしても、やっぱり1時間ぐらいは並ばなくてはならない。
とにかく大行列をしなければ買えないのだ。
中国の人は行列が平気なようだ。
これでも、いつもの半分の人手であり、行列も半分程度だという。
※ここに写っている人たちほとんど全部、ずっと向こうの方まで行列です。

 

 

昔、長島茂男監督が、この南翔饅頭店のショウロンポウの話しを聞いて
この行列に並んだ事があったという。
30分ぐらい経っても、ほとんど列が動かず
「こりゃだめですね。あきらめましょう」と、あの声で言って
残念そうにこのショウロンポウを諦めたそうだ。

 

そんなことを聞けば、
ますます南翔饅頭店のショウロンポウとはどんなにうまいのだろうと、
想像がたくましくなってしまう。

 

と、廣瀬君が言う。
「ここは本店で、別に支店があるんですよ。
何故か、みんな意外と知らなくて、この本店よりかなり空いています。
そちらで食べた方がよっぽど早いですよ。
味は、間違いなく一緒です。
僕は両方のショウロンポウを食べていますから、絶対、間違いありません。
うまいですよ~~~っ。」

 

これで決定、
すぐに豫園の庭園をじっくりと見物して、
その後は、廣瀬君の言う「南翔饅頭店の支店」とやらに直行することになった。

 

豫園の庭園は、
中国式の庭園で、想像していたより遥かにきちんとしていて、
なかなかのものであった。

 

 

南翔饅頭店の支店は、豫園からタクシーで15分ほどのところにあった。
普通の街角に、普通の饅頭店として、普通に営業をしている。
一見何の変哲もない中華饅頭屋である。
廣瀬君が店を覗き込んで、
「ラッキーですよ。すぐに座れます。」と嬉しそう。

 

早速、中に座って、ショウロンポウを注文。
もちろん一番うまいという「蟹肉入りショウロンポウ」である。

 

しばらくしてやってきたショウロンポウ。
一つのセイロに小ぶりな「蟹入りショウロンポウ」が八つ。

 

そこで正しいショウロンポウの食べ方。

 

まず、レンゲの上にショウロンポウを一つ乗せる。
そして、レンゲの上のショウロンポウの横腹の皮の薄いところを箸で破る。
そうすると、肉汁が出てきてレンゲに溜まる。
その肉汁をそっとすする。
この肉汁がうまい!

 

 

この行為は、肉汁を別に楽しむという意味と同時に、
この肉汁を出さずにショウロンポウを口の中に入れると、
肉汁がいっぺんに口の中に出て、
口の中を“やけど”してしまうのだ。

 

肉汁の濃厚な美味さをじっくりと楽しんだ後、
おもむろにショウロンポウ本体を口の中に放り込んで、食べ始める。
幸せな時間だ。
蟹の味と香りが肉の旨みと相まって、ほんとにおいしい。
この幸せは、先月、上海蟹を食べた以来である。

 

豫園はショウロンポウの味として、私の頭にインプットされてしまった。

 

ところで、
前回の社員旅行では、
豫園に来た時は、誰も買い物を楽しむ間もなく、
通路を通って、中のレストランに直行し、食事をしただけで、バスの戻ったそうだ。
時間がなかったのか、
しかし、バスには決まった予定を時間通りにこなすようには言ってなかったはず。
一つ一つの場所をしっかりと見せてやって欲しいと言ってあった。
急ぐことは何も無かったはずなのだが、
少なくとも豫園においては、
豫園という庭園を見ることもなく、
どちらが主役なのかわからないほどのおみやげ屋さんを楽しむわけでもなく、
世界一のショウロンポウに挑戦するわけでもなく、
ただ単に当たり前の昼ごはんを食べただけで帰ってきてしまったという。

 

たぶんバスを使ったせいだ。

 

観光バスは、旅客運賃としての料金は安くても、
提携のレストランで飯を食わせることによって、ピンハネをし、
何よりも、団体観光客専用のみやげもの屋に連れて行って大きくピンハネをする。
それで利益を上げているのだが、
私たちは、あのペテン土産物屋には絶対に連れて行くなと注文を着け、
自分たちのスケジュールで、バスを依頼した。

 

それで、こちらの注文を出来るだけ短時間に済ませるだけ済ませて、
強引にペテン土産物屋に連れて行ったようなのだ。
豫園だって、昼飯の予定だけ済ませれば後は全部省略して、次へという具合だ。
だから、誰からも何の感想も出なかったわけだ。
それで時間を無理やり作って、ご指定の土産屋さんへ直行という具合だったらしい。

 

だんだんその実態がわかってきて、
また腹が立ってきた。
これは日本の旅行代理店の自立性の無さにも起因している。
表面的な旅行代金を安くするために、
現地の観光会社を甘やかしてしまっているのだ。
いい加減に、団体の観光客を食い物にする悪習を辞めなければいけない。

 

そこに気がつかなかったことで、社員旅行のみんなにも、本当に悪いことをした。

 

そんなことを思いながら、
あ~あ、くたびれたと、ホテルの近くのマッサージ屋さんに行って
みんなで本物のマッサージさんに全身をほぐしてもらい、
上海で初の観光客としての一日が終わったのでした。

 

上海の早いうちの夜景
いつもの百楽門(バイラーモン)ホテルの、いつもの部屋から。

 

 

これは、16日から17日にかけて書いたものです。
17日はもう“南昌”に来ていて、
南昌の結構いいホテルに泊まったのですが、
インターネットがどうしても繋がらないので、明日の夜上海に帰ってから
コラムに上げます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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