谷 好通コラム

2004年04月13日(火曜日)

932話 三匹の犬のエサ

今日はまた東京に向かっている。
何度か会っている上海の企業の社長が、日本に来ていて、
快洗隊の2軒同時設置計画とKeePreの代理店契約について、
話し合う予定だ。

 

上海の会社の名前はまだ明かせないが、しっかりした、力のある会社のようである。
「ようである。」とは、はっきりしない言い方だが、
実のところ、やっぱり、はっきりしない。

 

一応、信用調査もかけた。
しかし、日本でもそうであるように、
信用調査自体、あまりアテにできるものでない。
内容を読んでも、どうとでも取れるような書き方ばかりなのだ。

 

上海に行った時、その会社の事務所を訪問した。
事務所はたしかに立派であった。
日本で言えば“六本木”に当たるような一流とされる街のど真ん中に
立派なビルがあって
その一つのフロアー全部を使った事務所である。
しかも、私の嫌いなこけおどしの豪華さは微塵もなく、実利的で、実に活気があり、
好感の持てる事務所でもあった。
それでも、まだ、時間をかけてお付き合いしなければ、
きちんとしたことは判らない。

 

以前に彼が日本に来た時、
快洗隊の安城店を大変気に入り、
次の機会に会ったIAAEのショーで
ブースに展示してあった安城店のジオラマをすごく欲しがっていた。

 

彼の企業は洗車事業を大きく展開する具体的な計画を持っていて
どんな洗車店舗を造ればいいか、
日本国中を精力的に見て回ったそうだ。
たくさん見て回った上で、ホームページから私たちの存在を知り、
電話でのアポイントだけで来られた。
約2ヶ月前のことである。

 

まず刈谷店をご覧になり、
「やっと本物と出会うことが出来た」と喜び、
安城店を見て、
「上海で、このままの店をいっぱい作ろう」と
ウキウキしておっしゃっていた。
快洗隊の良さを分かっていただいた事は、非常にうれしく
これが上海の街にも通用するという同じ想いを持たれたことに、感動した。
個人的には、この社長のことは大好きだ。

 

前回、上海の事務所を訪問して、長い長い話をさせてもらった。
この上海の企業の社長(仮にAさんとする)は、
話し合いの冒頭に、
中国における快洗隊のFC本部としての権利と、
KeePreの総代理店の権利を欲しいと言った。

 

中国の人は、多くの場合“権利”を欲しがる。
中国がいまだ共産主義国家であり、国家が与える“権利”が幅を利かし、
事業においても大きな力を発揮する土壌があるからだろう。

 

上海での話し合いでは、
私は「それはダメです。」と言った。
「自由競争こそが発展の原動力であり、独占は沈滞を生むことになる。」
続けて
「私は、あなたの会社のことを、まだ、あまりよく知らない。
たとえ、その力が大きなものを持っていたとしても、
そこに競争原理が加わらなければ、その力も十分に発揮されることはないでしょう。
KeePreの販売は権利ではありません。
如何に、KeePreを利用していただく施工店さんに、成功してもらえるかどうか、
お互いに一生懸命努力して、
その結果、「施工店さんの成功=KeePreの使用」となって
私たちのビジネスも、成功報酬としての報酬を得ることが出来るのです。」

 

それを“商売としての権利”ということにしてしまったら、
施工店の成功に向かって、一緒になって努力することは多分しないでしょう。
Aさんはするべきだと考えても、実質的な行動をするスタッフにまでは
それが浸透することは無理です。」

 

こんなきれい事のような話が、はたして通じるのか。

 

Aさんいわく
「誰でもKeePreを売ることが出来るのでは、
私たちが快洗隊に大きな投資をした上で、一生懸命KeePreを普及させても、
誰かが、後からその店に行って、
『私から、KeePreをもっと安く買えますよ』と、言われたら、
最初に投資をした私たちは、大損をしてしまうだけです。
あなたの言うとおり、日本では、そんな事は無いかもしれないし、
防げるかも知れますが、
中国では、絶対、平気で行われます。」

 

前回の話し合いでそう言われて、私は言葉に詰まってしまった。
中国ではやったが勝ちで、何でも有りの所である事は実感として解かる。

 

今日の話し合いでは、一体何をどう言おうか。

 

 

・・・・
三匹の犬がいる。
親犬と、二匹の子犬。
子犬と言っても、もうとっくに成犬になっていて、
知らない人が見たら、どの犬が親犬なのか見分けは付かない。
だから、実態は三匹の大人の犬なのだ。

 

二匹の子供の犬は、体の大きさが極端に違う。

 

親犬が7匹の子供を産んだときに
飼い主が、子犬たちを、あちらこちらの知り合いに分けてあげた時、
二匹の子犬を残した。
親犬と合わせて三匹までなら家で育てることが出来ると思ったからだ。
では、どの子犬を残すのか。

 

選択は順は明確であった。
まず、一番体が大きくて、顔が真っ黒で“可愛くなさそうな奴”
こいつは、貰われて行っても可愛がられないかもしれないと思った。
次に、体が一番小さくて“ひ弱そうな奴”
貰われていった先で苦労しそうであったから、手元に置くことにした。

 

だから、残ったのは
親犬と、体のでっかい子犬と、ちっちゃい奴。三匹である。

彼らの食事風景が面白い。
体のちっちゃい奴は、体が小さいだけあって、食が細い。
三匹同時にエサを貰っても、どうしても最後まで残ってしまう。
体が小さい分、エサを食べる欲求も小さいのであろう。

 

一番先にエサを平らげてしまうのは、体がでっかい奴で、
さっさと自分のエサを平らげて、まだ無いかと他の奴のエサにまでちょっかいを出す。
親犬は、年の功か、ちょっかいを出されるまでに何とか食べてしまうのだが、
どうしても、ちっちゃい奴は早く食べられないので、
でっかい奴は、決まってちっちゃい奴のエサにちょっかいを出しに行く。

 

それでも、ちっちゃい奴は、でっかい奴がちょっかいを出しに来ると、
体中で怒って、でっかい奴を追い払うのだ。
そして、必死になって、自分の分を平らげる。

 

でも、ちっちゃい奴は、でっかい奴がちょっかいを出しに来なかったら、
貰ったエサを残しているだろう。
みんな同じだけの量を貰ったエサは、ちっちゃ奴には
十分過ぎて、多分、食べ残す量なのだ。

 

だけど、でっかい奴に取られるぐらいなら
無理してでも食べたい。
正確に言えば、食べたいのではなくて、取られたくないのだ。

 

そのおかげで、ちっちゃい奴は体も丈夫で、
今では、気も一番強い。

 

ちっちゃい奴は、でっかい奴にエサを取られたくなくて、
いっぱいエサを食べて、元気であり、一番気が強い犬になっている。

 

「食べたい」より、「取られたくない」の方が、
モチベーションが強いのである。

 

自己を充足させる欲求より、奪われたくない欲求の方が強い。
競争の原理とは、こんな単純なことなのであろう。

 

総代理店制度は、その競争の原理を取り去ってしまうことになる。

 

今日は、その総代理店権を欲しがっている人との正面対決である。
一体、何を、どう話したらいいのであろうか。
まさか、
三匹の犬のエサの取り合いの話を、例に出すわけには行かないし・・

 

う~~ん、どうしようか。。。

 

一番からだのでっかい欲張りな奴

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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