谷 好通コラム

2003年12月26日(金曜日)

再858話 神垣社長対談

24日に858話として載せた広島県“呉”の神垣石油さん社長との対談
録音テープから拾ったものを
ほぼ直接、原稿に落としたので、非常に分かりにくい部分が多くありました。
(私は名古屋弁、神垣社長は広島弁がきついので)

 

そこで、神垣社長の多大なご協力をいただき
大変読みやすく
日本語訳(神垣社長いわく)校正したものを再度掲載させていただきます。

 

読みやすくなったら
その内容が大変意味のある事に、今更ながら気づき
再度掲載することにしたのです。

 

24日にもう読まれた方も、今一度読んでみてやってください。

 

ちなみに神垣石油さん
24日現在
油外502万円(うち洗車192万円)
12月700~750万円到達の模様
だそうです。すごいですね。

 

 

神垣石油 社長対談

 

 

神垣社長=k: 谷好通=t:

 

SS運営について

 

k:結論は、人件費以上にはるかにはるかに油外を稼ぐしかないと思う。
しかしそれでも、私もアイビー石油馬場社長さんも同じ考えだと思うのだけど
石油から上がるマージンが半分無いといけないんじゃないか。
そうでなければメンテナンス屋に看板を描き替えたほうがいいんじゃないかと。
(笑)
油屋っていい商売じゃないですか。燃料が減れば放っておいても来てくれる。
そこそこ採算価格を通した売り方をすれば、
油外とのバランス考えてもなんとか半分まで燃料油で稼ぎたい。

 

皆さん SS店頭のガソリンだけをメインに考えているから、
儲からないとか不満がでるわけです。
灯油も軽油も配達があるし、そうした一連の燃料油収益の中で
油外という位置づけが存在する。
得意不得意もあるから、
油外収益が半分だったり4割だったりということがあるでしょう。
石油という商売の中での油外、洗車という位置づけ。

 

3年前から試行錯誤しながら毎月チラシを撒いている。
「st31では(st31とは神垣石油の愛称)洗車をメインに
メンテナンスもやっていますよ」というのを、
この街でいかにお客様に意識してもらうかということなの実践なのです。
「バッテリーあがりでもできますよ」ということから、
そこからの<縁>をどうやってその後の商売に結び付けていくかと。
油屋は雨の日も、日曜でも開けておればお客さんが来てくれる、有難い商売です。

 

※図を描きながら一生懸命説明してくれる神垣社長

 

 

谷社長がHPのプジデントコラム中で言ってみえた
<ラーメンと洗車>シリーズのたとえ、あれはいい話です。
最近は他SSを辞めた人の中途入社が多いのですが、
その店その店に染まっている者を、
st31カラーに染め替えさせるときにあのラーメンの例えが一番いい。

 

t:どういう意味なんですか?

 

k:「ラーメンの行列って安いから並んでるわけ?じゃなくて
美味しいから並んでるんでしょ」って。
一番に早いとか安いとかということではなく、美味しいラーメンを作るということ。
いい洗車を仕上げるということを一番に考えなさいと。
そういう中で時間も早くできて価格もリーズナブルでという問題は発生するけど、
一番には安いから並ぶのではないということ。

 

ガソリンは安いから並ぶということはあるけど、
洗車だけは仕上がり具合が違うから、腕を磨かないとリピート客はない。
ウチの店は誰がやってもここまでの仕上がりが出来る店だということを
印象付けていかないといけない。

 

t:上手いと全部が上手くいくんですよね。上手ければ速くなる、上手いとコストも
安くなる。そんなに高くしなくても利益が取れる。

 

 

t:SS経営に話に戻りますが、前提としていくらの口銭がいるのか。

 

k:私は10円では苦しい。12円がベター。ベストは13円。
それ以上となると安売り店と差がつき過ぎる。マージンがありすぎるのも不安です。
緊張感のある価格差というのも大切。
10円では赤字にはならなくても収支トントン。
減価償却、福利厚生など企業としてやるべきことをやって
ハイレベルでのトントンなのか、全部切り詰めて本当にやっとこさのトントンなのか、
ここに幅がすごくある。
それが私はマージン10円~12円というところに収斂されると思う。

 

平均SS像としてガソリンスタンド一店の売上は年間3億円から4億円ですよね。
元売りの指導によれば、ガソリン+軽油=自動車燃料合計200キロが
生き残り条件ということですが、実際には150から200キロが多いんです。
それを使用総資本に直すと、8千万から1億くらいですが、
総資本利益率として年間4~5%の利益を1SSで出したい。
つまり年間400~500万の利益を出せていれば
このまま残っていけると思っています。
広島県で昨年一年間で5千万以上利益が出ていたのは1軒だけ。
あとは全滅。
平成15年はSS小売業界にとって最高に悪い年でした。
逆に今冬は 安売りも少なくなり良い年になりそうな予感です。

 

 

t:12~13円のマージンとはこのあたりだとどういう値段だと言えるのですか?

 

k:この半年に限っていうと8~10円のSSが多いでしょう。
ウチは周辺より3円くらい高く売っているから11~13円あります。
セルフは92円ですからマージン4円くらい、支援あっても5円強と想像しています。
セルフってのは面白いもので、年間の10ヶ月は赤字です。
残りの2ヶ月だけでバカンッと儲ける。
正確に言えば8ヶ月赤字、2ヶ月トントン、残り2ヶ月黒字で一年間でみると、
チャラか若干の黒字。
8ヶ月の赤字が幅が小さければ、2ヶ月で随分取り戻せて、
2ヶ月は利益になるであろうが、これは机上のこと。
あくまでセルフは元売りのシェア争いにしかない。

 

 

t:フルサービスのSSがセルフのSSを気にすることは全く無いと思う。
幅が5円くらいだったら平気ですよね。

 

k:お客さんが、本当に窓拭きと灰皿清掃を望んでいるかどうかがポイント。
かといって価格差やサービスを無視した結果
お店の固定費を維持する以下のボリュームになっちゃうとセルフの思う壺になるから、そこをどうするかというと。
私は「SS維持の限界ボリューム」と呼んでいます
もう1、2年その動向を見ないとわからない。

 

t:差が4~5円だと気にならない。

 

k:一番大切なのは、人員削減を見直してきた中で、サービスの落ちない体制を
組めているかどうかが問題だ。
私の持論は「従業員は3人いないとダメ」
一年12ヶ月稼ぐことを考えると3人必要。
会議や代休などで社員一人になると、緊張感が持てた日は良いけども
12ヶ月満遍なくコンスタントな成績をあげるというのは難しい。
単月やキャンペーン入賞なんか私は全然評価していない。
12ヶ月コンスタントな成績を上げるモチベーションをキープしていくためにも
社員が3人は要る。

 

t:馬場さんところは、アルバイトあってもボーナスを出して、社会保険にも入っている。
あれは私たちの会社で言えば、ほぼ社員ですよね。
あそこのアルバイトさん、モチベーション高いですよ。

 

k:まったくです。
社員・契約社員・フリーターと三様の形態(待遇)は違おうとも、
本人が本業としていれば社員感覚でよいでしょう。
ウチの優秀なマネジャーは、実は4年前閉鎖された隣の外資系SSにいたのですが
その頃は、POSそのものに数量と売上しか出なくて、
燃料マージンというのは経営者に教えてもらって計算して手書きしていたんです。
POSそのものに粗利が出ない。
この業界、実はそういうPOSの方が多い?ようなのです。

 

 

t:店も会社もやっていこうと思ったら、売上などどっちでもいいですもんね。
粗利が大事。

 

k:SS業は現金が回転する業界ですから、売上げの数字など見ることはないですよ。
どのPOSでも粗利も出せるはずなんです。
社員には油外油外といいながらも粗利益を知らないのですから笑えます。
誰も真剣になるわけがない。
事後調整という良き時代があって、
そのままでやっている経営者がいかに多いかということです。
時代が変わってもう5年以上経ちます。

 

t:部下に対する情報公開は本当に必要ですよね。
今や決算書を社員にまで見せるかどうかの時代です。

 

k:燃料もタイヤなどTBA商品も仕入れ価格開示は大前提だと思います。
粗利益が計算できて、経費もきちんと設定されて、
毎月次SSレベルで簡易試算ができる状態。
従業員には言うのですが、
経費節減を口うるさく言っているからこそ、
収益に少々波があっても毎年平均化した待遇ができるんだ。ストレートに伝える。
ケチは大いに結構 シブチンは喰えないけれどと。(笑)
決算書はまた別問題です うちもオープンにはしていませんどね。

 

t:当社はちょっと決算書まで見ないと動きが見えないので幹部には見せています。
いずれにしても見せる、知る、ということが大切ですね。

 

k:ここ2~3年、SS店頭部門と灯油で8400万から8800万くらいが年間粗利。
(神垣石油さんは 別途軽油・重油の直売部門もある)
その内油外収益が4400~4700万。
しかし 収益バランスが燃料と油外が五分
五分という信念からすると、油外も上がれば、
燃料油ももっと上がるやり方があるんじゃないかと思うんです。油屋なんだから。
まだ うまい方法が見つからなくて、燃料マージンが苦戦している分、
年々油外収益のウェートが大きくなって少し息苦しさを感じ始めています。

 

 

t:セルフ給油や2-300円洗車が一方で流行っているけど、フルSSのサービス
の方向性はどうでしょう

 

k:似通ったことではダメ、完敗。
フルサービス店は、お客さんが喜んでくれることを考えたアクションを起こすこと、
具体的にはそれが良質洗車であったり、車のメンテナンスを見てあげるとか、
困ったときにバッテリー上がりだけでもいいし、
鈑金だけでもいいけど、そういうちょっと出来ること。
模範解答で言えば地域密着型。
当然、それなりに料金をいただかないといかんけど 堂々と徴収すれば良い。
堂々とサービス相応の料金を取らないから、赤字になる。
23年前 初めて米国へ見学した時
時間当たり1万円修理代を請求する話に驚きましたが、
今うちでも7000円/hrを基準にしています

 

 

t:ガソリンスタンドで「アルバイトだけだからパンクの修理できない」
と言われると、がっくりしちゃいますよね。

 

k:だからね、難しく考えないで、昔やってたことをやってあげようよと。
パンク修理しかり、出張作業しかり。
また お客さんが喜ぶ一言を加えようよと。
洗車が仕上がったときも、『お客さんキレイになりましたよ』とかね。
自分でやって自分で言ってりゃ世話ないけど。

 

ウチの店では、『いらっしゃいませ!』とか『ありがとうございました!』なんて、
鯱張ったところから入らない。
『おはようございます』であり「お帰りなさい」『行ってらっしゃい』にしているんです。
お客さんにアットホームなところを、どう感じてもらうかですね。

 

アットホームなんだから、お客さんが困ったいたら行ってあげる。
営業時間内なら何してもいつでも行きますよという体制をとると、
社員は必ず3人以上は要るということになる。
とにかく困ったことがあったら、「あのシェルのお店に行けば良かったんだ」
ということだけ覚えておいてもらうためにも商圏内にチラシを配布している。

 

t:そういう店って本当は望まれているのかもしれない。頼れる店、当てになる店。

 

k:油屋としての生き方ってお尋ねですが、ウチはちょっと中途半端なくらいで、
馬場さんのようなやり方があって、
かたや徹底的に割り切って、
オンボロのスタンドを安い家賃20万~30万で借りてきて、一切燃料しかやらない、
ボリュームも80キロくらいでいいと、小さく手堅くやっていくか、
どちらかの両極端になるのかなと。
でもそれは家賃、リース料が安いと言う大前提がいりますよね。
一番大切なのは家賃等の人件費以外の固定費が最低いくらいるか、
それまでも油外で賄えるとしたらたいしたもの。
でなければ、やはりガソリンで上がってくるマージンがいくら必要だということになる。

 

t:その先を聞きたいんですけどね。

 

k:どっかか潰れると信じていくしかない。そりゃあ生き残り合戦しているんだから。
元売りの援助がないことは誰しも100%理解しているが、
さりとて具体的にどうしたらよいのかわからない、動けない、
新しい一歩が踏み出せない人が実に多い。

 

t:でも周辺の店が潰れてもあまり影響が出なくなっているんじゃないですか?

 

k:そうですね、100キロ販売の隣が閉鎖しても5キロしか増えなかった。
隣は現金とプリカ店だったからまったく客層違い。

 

t:お客さんに対して便利であるとか、頼れるという店づくりをしていけば、
確保できるじゃないですか。

 

k:馬場さんはすごく効率がいい。ミニローリーもなければ軽トラもない。
それで売上がある。でも普通の店はそれをやってどう伸ばしていくかです。

 

t:いや、馬場さんもいつかはそういうところもやり始めるんじゃないですか?

 

k:さあっ どう考えていらっしゃるでしょうか?
ただ 燃料油収益ってのは放っといてもあるわけですから、
それを安売りするのは愚の骨頂かなと。

 

t:あれはどういう心境なんですかね。結果的に自分の首を絞めるじゃないですか。

 

k:安売りでずっとやっている例は聞かないです。
今は、元売り子会社以外で安売り生き残りはあり得ない。
自己資本での安売りはあり得ない。
一説には 元売りには30何通りの仕入れ価格があると言われます。
高低値幅はいくらあるかというと、7~8円。以前は9円あった。
今でも(11月時点)95円で仕入れているところはいくらでもありますから。
そのかわりそれ以上に高く売るからいいんです。
それで面白いのがマークを降ろしたからといって、
今までの業転価格で仕入れできるか。と言うとそうじゃない。
業転にもいくつもの価格があるそうですよ。

 

t:どういうところが情報源なんだろう(笑)

 

k:だから(ネット仲間の)オフラインミーティング。
リム(RIM)について言えば、
リムは元売りや商社から集まった売買情報の統計を出して配信していく情報会社。RIMが上がった下がったはよいけれど、
元売りに操作されているというのは的はずれ。
先物にせよ、RIMにせよ指標なのだから元売りはビジネスとして上げようとするのは
当たり前。指標なのだから動きとしてとらえるべきだと思います。

 

t:そういうふうにして読まないといけないんだ。
神垣さんのHP“st31”では快洗隊のことも時々書いていただいているので、いいコマーシャルになっていますが。
http://www.kure-city.net/st31/

 

k:アクセス数を見ると判るんですけどね、
仕入れ価格、値段のことを書くとね、反応が2割必ず多い。価格が出てるよ~って。
一番関心が低いのが閑話休題、
私が思ったことなど、どうでもいいんじゃろね(広島弁)。
次に反応が多いのが快洗隊のこと、油外。
燃料じゃ儲からないのでもう頼るのは自分で稼ぐことしかないよという話になると、
アクセス数が伸びる。いくらそういう話が耳に染みついても、
頭の中はまだそうなっていない。

 

 

t:快洗隊を導入するという時、必ずもめるのが、給油の導線を切ってしまうことで、
ここの計量機を外しましょうと言うと、必ず抵抗に合う。
ここには車を止めないと他が満員になってしまうとかね、言うんですね。
じゃあヤメたって。

 

k:僕、去年の年末に書いたのですが、一日の売上が洗車だけで30万あがったと。
快洗隊を見れば、70万とかなってる。
ガソリンは10キロ売ったところでリッター8円くらいのマージンで8万円。
そうであれば、30日、31日のガソリンの販売をヤメたら?ということ。
止めるわけには実際はいかないけど、それくらいの発想転換が必要だと。

 

実際、この12月の最後の4日間、ウチの店はレイアウトが決まっているんです。
去年もちょっとやったんですが、今年はもっと徹底してやります。
洗車優先。灯油はシーズンとして外せませんが、洗車に6台分スペースをとろうと。
結局、燃料を注ぐスペースは右左給油口があるから、
真ん中のレーンだけ残しておく 「残す」という感覚です。

 

洗車を30日、大晦日は、本来なら35万くらいのところを、
2日間で50万円やるというレイアウトを考えたら、こうしかない。
ウチで年末はガソリンが7~9キロしかないのだから、これにしちゃおうよと。
これくらい発想を変えているんです。

 

人員体制は、15人。高校生バイトが3人。主婦パートが2人。
事務員や私含めて、配達バイト2人とあと社員。
28日から29日まで洗車21万と22万くらいやって、30日31日は30万と31万。
それでまあ、他の油外があるから+10万くらい。
ですからこの4日間くらいで150万くらいは達成している。
もうひとつは、去年はキーパーと鉄粉とりで7千円のコースだったのを、
今年はグレードを上げて、ウィンドコートも含めて9千円コースをやってもらおうと。
また 最近は水洗い洗車とかがほとんどなくなって、今年は最後の4日間くらいは
水洗い洗車は中止させていただきますという張り紙くらいはしようかなと。
でも不思議ですね、1800円だった室内清掃とワックス洗車のセットを
スペシャル洗車と呼んでいたんですが、もうほとんどない。
逆にチラシをずっと継続的に打っていたら、お客さんのほうから
『あの5千円のセットして』と、特に手洗いセットの5千円というのを注文される。

 

ひとつは値段を上げる。ひとつは導線を変える。

 

t:今800円のものをどうやって千円にするかということより、いっぺんに5千円
だ8千円だと上げてしまったほうがいいんですよね。

 

k:まったくです。谷社長のコラムにあったけど、120%の目標なんかじゃなく、
200%という目標にすると、システムまで変えてしまう必要にせまられる。

 

t:時代の流れ方が速すぎるから、そういうやり方にして丁度いいくらいになっ
ちゃっている。

 

k:掛売り主体のSSだったら一本、あるいは1レーンだけでいいでしょ。
あとは全部を洗車スペースに変えてしまう。
それで年末の3日間か4日間は、メニューは限定する。
レストラン行ってもそうでしょ。日本人はよくコミコミの値段ね。

 

t:時期にもよりますがね、ウチも12月はフルコースがすごく出るんです。

 

k:今年は年末26日にもチラシを入れます。
効果のほどはやってみなければわかりませんが、
普通はお客様の要望がある時期にいれるのが鉄則。
SSはガソリンが主体の業界だから燃料給油が最大目的で、
ただでさえ忙しい年末に油外のチラシなんて発想はなかった

 

t:23日までに磨きのお客様をいかにつかむかって。これに今賭けているかな。
それ以降はじっとしていようかと。
アクアキーパーが快洗隊では馬鹿あたりしているんです。
車全体のコーティング。ただ、4回施工でワンセットだから、
年末に集中すること決まってるので。もう刈谷でも50台は施工しているから、
これは大変なことになりそうだと。
去年までは各地の営業マンが刈谷に集中してきたからこなせたけど、
今回は神戸、知立、安城と4箇所。どうなるかとね。

 

k:ウチも快洗隊さんを知る前の6年前だと、12月でも120万円くらいで、
一度だけ160万行ったことがあるだけ。
要は機械洗車で水洗いとワックス掛けで年末一生懸命やってもそんなくらいだった。でもコーティングにしたり、手洗いに変えたりして、
さすがに水洗いのお客さんはこなくなっちゃった。ラッキーです。

 

去年も280万あがってますけど、油外全体からいったら4割ですもんね。
630万くらい油外はあがってる。
やっぱり油屋だから、燃料油と油外のバランス、油外の中の洗車とのバランス。

 

t:お客さんの中には色々とガソリンスタンドに対するニーズとかがある。
そのバランスがどれくらいか、好みとか、
このハードでそのニーズをこなしていけばいいのかと。

 

k:そうですね、この23年その究極を求めているのかなって感じですね。

 

t:油が悪いんだって、そんなことを言うつもりは僕はないわけで、
僕も20年油をやってきた。2年前に計量器をとっぱらったでしょ、
あのときでもやっぱり断腸の思いでしたからね。
畠中がどうしても取ると言うものですから(笑い)仕方なく。
快洗隊を新しい会社にするにあたって、この際だから計量器を取りましょうと。

 

k:今の話を聞いて思い出したのですが、燃料の話に戻ってみたら、
自分の店の販売量が最低どれくらいいるのかとか、
逆にここの店でこのままやっていたら早く自分で計量器を取っ払って、
リフトを設けるのがいいのか洗車コーナーにする方がいいのかな、
早く見極めるのもひとつかなと。
それで、見極めたら今の人員でいいのかということになる。
早く自分の燃料油部門の絵を描くということをね。

 

t:快洗隊を設計するときに、この計量器をどかしましょうと言うと、
いやっここはね元売りの社有だから、それは元売りが絶対許さない。
と言うんですね。でもそれは違うでしょうと。
ここの店、今60キロでしょう、マルチの計量器が4つなんて必要ないじゃないですか。一つで充分ですよと。
だって、あなたの商売でしょう?買いに来るのはお客さんでしょう、って。
その買いに来たお客さんから食べさせてもらうんでしょう?ってね。
そういうような話が非常に多い。
だから、自分の店を、自分と客との関係で作り上げていくということが見えない。
現場にいない感じがするんですね。見ていない。

 

k:社有でも売れていない店だったら、例えば計量器一機で、だいたい100キロは
大丈夫ですから、2機あったら200キロ。そういう考え方です。

 

t:いずれにしてもね、油の商売を大切にするということと、
いかにも油屋はこうでなきゃいかんというスタイルを維持することとは
別の事と思うのですが、
そのあたりがすごく足かせになっていて、店を変えていくという妨げになっている。

 

k:予測では、ガソリンスタンドはトータルは6割ほど減って、セルフとかで一割は増え、結局は半分になると言われています。
しかし残った人がすべてSS経営者かと言うとそうではない。
コンビニがあり、カーショップがある。
そして私のように地域密着型SSの一番のライバルはカーディーラー。
スーパーもコンビニもガソリンで儲ける必要はないんです、客寄せなんです。
かたや カーディーラーはお客さんと接点が欲しいだけで、
やはり燃料の粗利益は求めていない。

 

新規の店では、表はガソリン給油ができるようになり
奥にディーラー機能があるということになってきた時に、
じゃあガソリンスタンドは何をしなくてはいかんかと言うと、
逆に車のことを気安く相談できる相談したいというところにならにゃいかん。

 

僕たちはガソリンスタンドの制服を着て接客することで、
ここは本来何をしているところなのか、
気軽に相談できるということを考えていかなきゃいかんと思うわけです。
お客さんからどれだけ声を掛けやすくするかということです。

 

t:オートバックスから独立された方がフロントシステムの重要性をいっていました。
本格的なことをしようとしたらフロントシステムのノウハウがあるかないかで、
格段の差が出るとおっしゃるんですね。

 

k:先週の土曜日にね、バイトがフロントにいたので、
私が位置を交代しろと命じました。『アルバイトじゃ注文とれないだろう』と。
今月はどうしても接客チャンス逃したくないから、注文とれるものがやれと。
アルバイトは作業すればいいじゃないかと。

 

t:能力のある人間がいてやることがフルサービスだと思うんですね。
フルの体制はね、できるものがいるということ。
その人間に対しては、金も時間もたっぷり掛けた教育を受けさせるべきですね。

 

k:オペレーターが大切ですよね。そういうフロントを含めてコントロールできる。

 

t:もうひとつ。僕たちの年代あるいは僕たちの下くらいかな、
油外と言えば、要らんモノを言葉巧みに売っていた世代ではないですか。
そういう思いがあるなかで油外というと変なイメージがあるけれど。

 

k:明確な答えがあります。添加剤の時代でしたよね。それとキャンペーンの時代。
ところが車も良くなって、本当に必要なものはバッテリーとタイヤとOILくらいしかない。それは何かと言うと、ボンネットを開けることも含めて、
車を上から見る商品ばかりなんですよ。だからこれも限界があります。
いくら量販店で客数が多くても。
今、良い成績を出している店は、車検をやっている。
これに加えて洗車を良いシステムを入れてやっているとかね。
しかし 油外はいくらやっても150~200万円前後。

 

燃料の落ち込みを爆発的に解消するまでの油外にしようとすると、
発想を変えて250万円以上の油外にしないと利益は生まない。
で、それをしようと思ったら、洗車が100万円を超えること。
もうひとつはリフトを上げて下から見る商品、ドライブシャフトブーツだったり、
そういうものをね。
ブレーキパット、これは認証工場でないとしてはいけないんだけど、皆やっている。
そういう足回り商品をやってね。
これのいいところは、普段お客さんが見ることのできないところですから、
お客さんの信頼が得られる。
下から見ると言う作業ができることで、車検も任せてくれるということになる。
ここまでやれるのか、という認識を持ってもらえる。
カーディーラーとの区別はいずれなくなるけど、ここまで見せてくれて、
やってくれるということで、お客さんは信頼を置いてくれる。

 

整備士は職人気質だから苦手なんですけど二級整備士雇っています。
何でかといえば、お客さんの信頼を得たいから。
一時期ガソリンスタンドから整備士を排除した時代がありましたが、
今またガソリンスタンドに整備士を雇う時代が来ている。
これが僕の結論です

 

t:今カーディーラーとカーショップとホームセンター、ガソリンスタンドが
車に対して同じような仕掛けをしようとしている。
各々が切り口は違っても同じところへ向かっている。
自分の弱みは結構皆さん知っている。
油屋さんは来店頻度はずば抜けているが技術力がない。
それぞれがそれぞれの商売で美味しい部分を食っちゃっている。
それで、真ん中に残っている美味しい部分を皆で食い合おうと。
どこが美味しいのかって。

 

k:洗車も僕自身がもっともっと取り入れていかないといけないと思ったのは、
車が良くなって修理も減っている。
洗車のニーズとかはお客様との接点がすごく多い。
だからそう思うと洗車から入っていって、
良い洗車をしてお客さんによくやってくれるねと、それでついでにこれも見てくれる?
というきっかけを期待している。

 

t:今、鈑金が快洗隊でバカ売れしてるんですよ。でも洗いに来たついでにこちらが
指摘して鈑金をお誘いするというケースではなく、鈑金は鈑金でやってくる。
意外なところにこの商売の接点があるんだなって。
だから、洗車が入口のスタンドって、やってみたいですね。私としては。

 

k:そうですね。みんな車にたずさわっているのですから、何をメインに入り込んで
いくかだけになったように思えます
私はスタンドが入り口で洗車をやっている。(笑)

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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