谷 好通コラム

2003年06月13日(金曜日)

733話 女子高生並みか

昨日、携帯電話を岡山に忘れてきて
ずいぶん不便をしている

 

と言っても、いつもは私の携帯電話はほとんど鳴らない
掛かってきても日にほんの数本で
ほとんどの要件はメールでやって来るし、こちらもメールで送る
その方がはるかに効率的で、便利にしている

 

しかし、いつも有るものが無いというのは
実際の不便以上に不便に感じるのは不思議な感じだ

 

高校生の女の子がテレビで言っていた
「私、ケータイなかったら生きていけない」
何をアホなことを言っとるのか、とも思ったが
ケータイは、実際それぐらい彼女たちの生活の中に、ビッタリとくっついているのだろう

 

過酷な拷問の一つに、こんなものがあると読んだことがある
2m四方の小部屋
周囲の壁、床、天井は、感触のない一様の素材で出来ている
明かりは全く入らず、真の暗闇
外からの音も完全に遮断し、全く無音状態
食事も無味無臭の高栄養価のものを、不定期に無機的な方法で与える
そして無音の完全な空調

 

人間の持っている五感に対する刺激をことごとくシャットアウトし
無感覚の状態に置くのだ
究極の孤独地獄
時間の経過も全くわからない
(これが無重力の宇宙空間であれば、さらに完璧)

 

肉体的な苦痛を与え続けるのが
通常の拷問の方法なら
これは全く逆の方法

 

これは、ものの数日も経たぬうちに、
ほとんどの人間が精神的な異常をきたし、ボロボロの状態になるという

 

この話の真贋は
大昔、雑誌かなんかで読んだものなので
実際はどうなのか分かったものではないが
なんとなく、これはこれで、すごく辛い拷問であるような気もする
(寝不足のときには、天国のような気もするが)

 

人間にとって孤独は、辛いものだ

 

人が成長していく段階で
最初、赤ん坊の時は、親から育ててもらうだけの完全な依存状態
それが大きくなってくると自意識が出来てきて
肉体的な成長と共に、精神的にも成長してくる
それでも小学生くらいまでは
まだ、家族に帰属した存在で、両親兄弟との一体感を持っている
「佐藤さんち(家)の康平ちゃん」
「小林さんちの、やっくん」
てな感じ

 

それが、だんだん思春期を迎えるころになると
家族への帰属感が薄れ
自立心が育ってくる
経済的には親に依存しているのだから、親は「言うことを聞け」と言うが
子は気持ち的にかなり自立してしまっているので
決まって反発が生まれる

 

家族への帰属感と、一体感が薄れてきて
気持ち的に自立してくるということは
だんだん一人になってくる
ということでもある
人は、なかなか一人では生きていけない
今度は同じ年代の他人同士で、連帯感を求めるようになる
動物で言えば
親の庇護の元に育った小猿が親離れをした後
同じ年頃の若猿のグループに入ることに似ている

 

女子高生、男子高生を見ると
みんな、ホントに似たような格好をしていて
今なら、上着をだらしなく着て
超ミニのスカート
スカートの下にはブルマ?
(この前、風の強い日にその事実を確認した。
娘から聞いていたとはいえ、ショックであった)
白のルーズソックスか、紺色の靴下
大きい子も、小さい子も
ぶっとい子も、細い子も
み~んな、同じような格好をしている

 

個性もなにもへったくれもない
みんなと同じ格好をしていることが重要なのだ
仲間はずれが一番怖いのだ
みんな、仲間と違う格好をすることが不安なのだろう
自分自身、似合わないことが分かっていても、同じ格好をすることで安心なのだろう

 

また、落ちこぼれは落ちこぼれで
いかにも落ちこぼれてあるような共通の格好をして
共有するアイデンティティーを確保することによって安心を得ている

 

みんな親とか家からの帰属から脱出した上で
同じような格好をした似た者同士の“群れ”を作り
その群れに帰属することによって
安心する
そして、身を護る
イワシとか、サンマとか弱い魚が群れを作る様子
あるいは、小魚のときに群れを作る習性とよく似ている

 

単独での存在は
まだ十分に力が備わっていない時点では、危険であり
お互いにそれぞれを確認し合うことで
自分が孤独ではないことを確かめ、安心するのである

 

力が備わっていない状態であればあるだけ
同じような格好をしたり
コミュニケーションによってお互いを確認しあうことによって
安心する

 

だから、さっきのテレビの女子高生の
「ケータイがなかったら、私生きていけない」は
その子にとっては
あながちオーバーな表現でもないのかもしれない

 

だから、一番陰湿であり、きついイジメとは
“しかと”すること、つまり、徹底的にその子の存在を無視することなのだろう

 

人間は孤独では生きていけない
女子高生にとってケータイは命に匹敵するツールなのであろう

 

その携帯を、私は忘れて来てしまった
私は死ぬほどの孤独を味わっているのだろうか
そんなことはないと思うが
なぜか
ホテルの電話で、いつもよりいっぱい電話を掛けまくってしまった
チェックアウトでの電話料金1,830円也

 

 

私は、ひょっとしたら女子高生並みか?

 

今日の午前中は、予定がすっぽり空いてしまった
午後10時過ぎまでメールの受信、返信で時間を使ったが
それでも1時間ぐらい
何もしない時間がポカッと出来てしまったのだ

 

今日は、四国の伊予三島でセミナー
たくさんの方々が集まってくださるので、一生懸命仕事はするが

 

その仕事の2時間前からの1時間
会場のロビーで、荻野部長とアイスココアを飲みながら
ちょうどいい気温で、さわやかな気持ち良い風を感じながら
ボォ~ッと、外の緑を楽しんだ
何故かおだやかな、いい時間であった

 

携帯が鳴ることもないし・・・

 

 

天気予報では、今週一週間
全国的にずっと雨である
そして、いよいよ入梅だとも言っていた

 

しかし、今日の四国は天気が良く、さわやかであった
今は、四国から岡山に出て
山陽新幹線で、名古屋に向かっている
まだ天気はいい
朝、名古屋に電話をかけたときには、雨が降っていると言っていたが
今の時点ではそれが信じられないぐらい

 

どうか名古屋に着いても
明日、富士に行っても
そして、明後日の富士スピードウェーでのS耐決勝でも
このまま晴れていてくれたら、いいなぁ

 

こんなキレイな夕暮れが続くといいなぁ

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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