谷 好通コラム

2003年06月12日(木曜日)

732話 ビッコをひく牛

昨日からのスケジュールが少々過激になっている
あと2週間あまり、寸分の隙間もなく予定を入れてしまった

 

昨日は7組の訪問客を入れてしまい
申し訳ないが一組目は朝7時からのスケジュールにしてもらった
一日中のかなり忙しい話し合いが全部終わったのが午後7時頃
それから今度は、倉敷に向かう

 

岡山まで新幹線
そこから在来線に乗って倉敷に着いたのは午後10時を回っていた
先に倉敷に来ていた西日本の責任者Tと合流
性懲りもなく飲みに出た
Tは、やはり先に入っていたYとすでに晩飯を食べて、しっかり飲んだ後だったが
そんなことは知ったことではない
俺は俺と、引っ張り出して飲みに出た
私は、新幹線で“駅弁”を食べただけだったので
どうしてもビールが飲みたかったのだ
当然、Tは迷惑であっただろうが、やっぱり一人で飲むのは寂しいのだ (^0_0^)

 

翌朝、心地よい目覚めの後
午前中は、岡山のワンデースクールで2時間ほど話しをする
私にとって初めての岡山ワンデーは、色々な意味で新鮮であった
出番が終わったら
そのまま岡山まで出て、瀬戸大橋を渡り、松山へ向かう
久しぶりの特急「しおかぜ」だ

 

“しおかぜ”に乗り込んだところで、ハタと気がついた
「携帯電話を、岡山ワンデーの会場に忘れた!」
カバンなどの荷物は演台の近くに置いたのだが
携帯は電源を切って一番後ろのテーブルの上に置いた
「このパターン、このまま忘れちゃうパターンだよな」
と思いつつ置いた

 

案の上、座学の話が終わり、いつもの軽い興奮状態になった時点で
携帯電話のことなどすっかり忘れてしまっている
当然のように忘れてきてしまった

 

ほんとに、いやんなっちゃう

 

私の忘れ物グセは
自分が一番わかっていて、自分が一番腹立たしいのに
つい、やってしまう

 

疲れがドッと出る

 

それでも、松山での約束があるので
取りに帰るわけにも行かず、そのまま“しおかぜ”に乗った
岡山から松山まで2時間半ぐらい
そのまま電車に乗っていれば、とりあえず松山に時間通り着くはず

 

それでも念のため
列車に無線電話がついているかどうか聞いたが
車内販売のお兄ちゃんは
「ないんですよ~」と、明るく言ってくれる
松山に着くまで
世間から隔離状態になるのだ
これも身から出た錆
しょうがない、「まっいいか」
と、ため息

 

 

瀬戸大橋を渡ってから
“特急しおかぜ”は、ずっと瀬戸内を走っていく
と言っても、瀬戸内海がずっと見えるわけではなく
そのほとんどは、両側に田んぼや畑が続く普通の田舎の景色

 

行程の3/4を過ぎ、「今治」を越したぐらいからやっと瀬戸内海が見え始める
と、そのとき
列車が急ブレーキ!
オットトトトと、止まったら
車掌がドタバタと後ろの方へ走っていく
すぐ、運転手までが、後ろの方へ走っていく
なにごとか!

 

しばらくして車内放送が入った
「お客様にご連絡です。急停車しましたのは、踏み切りで何かと接触したためです。
ただいま、原因を調べていますので、しばらくお待ちください。」

 

「げっ、飛び込みかい?」

 

東京の新宿駅などで列車を待っていると
「ただいま、○○駅構内で人身事故がありましたので・・・・・」
という構内放送が、たまに入る
こうなるとしばらくは列車が動かず
他の移動手段を考えることになる

 

東京に月2度くらい行くだけの私でも、この構内放送は何度かは聞いた
こういうのは
いわゆる“飛び込み自○”らしい
さすがに1200万人の巨大都市
こんなことは度々のようだ・・・おそろしい

 

今回の瀬戸内での“特急しおかぜ”急停車も、それか?
ちょっとドキドキとする

 

5分経ち
10分経つ
車内放送もなければ、列車も動く気配がない
まずい!
これでは、松山の約束に遅れてしまう

 

先方に電話をするにも、携帯電話がない
列車に電話もついていない
どうすればいいのだ!
とっさに考えたのが、パソコンのメール

 

わが社では、いつも誰かが、LANに接続した状態でパソコンを使っている
LANにつないで状態でメールが届くと、ピンポンとパソコンが知らせてくれる
これしかないと思って
事務所にメールを送った

 

「緊急連絡
ただいま3時40分
岡山から松山に向かっている。
藤村石油の社長に会いに行くためだ。(4時アポイント)
ところが!
列車が踏み切りで事故を起こして立ち往生している。
携帯電話を忘れた。
列車に電話がない。
連絡の取り様がない。
藤村石油の社長に“遅れることを”連絡してください。」

 

そうこうしている内に、15~20分ぐらいして
車掌と運転手が戻ってきて(ハァハァいっていた)
やっと列車が動いた

 

「確認作業に手間取りましたが、何事もなかったことが確認できましたので
運行を始めます。大変ご迷惑をおかけしました。」

 

何事もなかった?ふ~~ん。と思いながら
外をふと見ると
少し離れた農道を
しわくちゃのおじいちゃんに手綱を引かれた“黒い牛”が
ビッコを引いて、トボトボと歩いていた
“ビッコを引いて”

 

そこで鋭い私は、とっさに推理

 

1.黒牛を引いたしわくゃじいさんが、遮断機なしの踏み切りに差し掛かった

 

2.踏み切りを渡る際に、黒牛のひづめが線路と踏み切り板の間にはさまった!

 

3.そこへ運悪く“特急しおかぜ”がやってくる

 

4.踏み切りに立ち往生の黒牛に気がついた“特急しおかぜ”は急ブレーキ

 

5.間に合うか?どうか?

 

6.そこはさすが四国の黒牛、列車がぶつかる寸前にスポンとひずめが抜けた!

 

7.しかし、あまりにもの間一髪、“しおかぜ”の運転手は「やっちまった!」と思った

 

8.8両編成の“特急しおかぜ”、踏み切りをかなりオーバーしてやっと止まっている

 

9.あわてた車掌・運転手は列車のかなり後方、踏切まで走っていった

 

10.が、もう何もなかった。列車にも異常がなかった。ホッとして、走って列車に戻る。
(だから、列車に戻った彼らはハァハァとしていたのだ)

 

11.しわくちゃじいさんと黒牛は、それを横目に悠々と去っていった

 

12.ただ、必死であった黒牛は、ヒズメを抜くときに、少し足を痛めてしまったようだ
(黒牛がビッコを引いていたわけ)

 

これで、すべてのつじつまが合う
あまりにもの鋭い推理に、自分でもうっとりしているうちに
ビッコを引く黒牛の写真を撮るのを忘れてしまった

 

そんな馬鹿なことを考えながら、あっという間に松山に到着

 

松山駅に着いてすぐ公衆電話で会社に連絡
名案だと思って送ったメールであったが
結局
誰も気がつかなかったようだ・・

 

ただ単に、松山に新しい快洗隊を造っている会社、
藤村さんに到着が遅れたことへの長々とした言い訳だったのでした

 

松山の新・快洗隊は完成間近
デラックスなコインランドリーとの併設で
松山市のど真ん中にある

 

図面で見ていたより、実際はすばらしいものであった

 

 

この松山の快洗隊の所長になるため
1ヶ月間の刈谷快洗隊での研修に来ている高岡さん
ごりごりの本気マンです

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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