谷 好通コラム

2003年05月14日(水曜日)

708話 人が人を想う事

11日(日)のS耐・鈴鹿戦の翌日
熊本に行った
最終の便だったので、夜、先方に着いて
翌日の朝6時にホテルを出て帰る、詰まったスケジュールであったが
すごくいい事を発見した

 

熊本には、アイビー石油さんという全国的に有名なスタンドがあって
快洗隊のことでお邪魔した
真剣な話を、短時間だが一生懸命話した
そして、そのあと
たまたま
その日は、決算の打ち上げの食事会があるというので
ずうずうしくも、ご一緒させていただくことになった

 

※アイビー石油さんの関連記事がキーパータイムス18号に
http://www.sensya.com/keepretimes/vol18/stand/stand.htm

 

アイビー石油さんの決算は半端なものではない
実際に見せていただいたわけではないが
私のメル友で
広島県呉市で、やはり、すばらしいガソリンスタンド経営を実現している方から聞いた

 

このアイビー石油さん
ガソリンスタンド2軒経営だけで
経常利益75,000,000円だそうだ
“ななせん・ごひゃく・まんえん”である

 

年商でもなければ、粗利益でもない
あらゆる経費を引いて
減価償却を上限ギリギリまで計上して
他にもあらゆる合法的な節税を施した上での
「経常利益」が、“ななせん・ごひゃく・まんえん”なのである

 

日本一の高収益スタンドのひとつであろう
この会社の社長「馬場一浩氏」は
請われて全国を講演して回っている多忙な人だ

 

たまたま、彼とは約十年前、彼がまだサラリーマンであったころ
何かの機会で(それが何であったのかお互いに記憶がない)知り合い
なぜか意気投合して
ずっとお付き合いをさせていただいている

 

彼の店の洗車に関しては、私たちのノウハウを活かしてもらっている
それが、有難いことにお役に立っているということで
いい実績を上げている
私の自慢である

 

その会社の決算の打ち上げ食事会に呼んでいただいたのは
光栄であった

 

 

決算の打ち上げ食事会といっても
早い話が“飲み会”
スタッフの主要なメンバーが集まり
社長を囲んで、とことん楽しく飲む、食う

 

そんな会であったが
この会社の人たち、仕事がとことん好きなのか
初めっから仕事の話ばっかり
それが、ものすごく楽しそう

 

その話に少しだけ加わっていて気がついた
「この会社、あらゆる面で“人間が主役”なんだ」

 

この会社のスタンドは、接客がすばらしい

 

気持ちの悪い作り笑いをしたり
歯が浮くようなベンチャラを言ったり
卑屈なまでの姿勢をしたり
なんてことは、まったくない
ぜんぜんない
そんなオモテヅラだけの、薄っぺらなものではない

 

まず
言葉遣いがしっかりしている
きちんと相手の目を見てしゃべる
商品のことをきちんと知っている
だまさない!
決して、まだやらなくてもいいことまで、やらなければならない、などと言わない
お客様にとって本当の必要なことを、キチンと必要だと言う
その人のためのことを想って
お客様のためを想って
お客様のためになることを、きちんとしゃべる
そして
お客様一人一人のことを
実によく知っている

 

お客様の車のことも、スタッフ一人一人が実によく知っている

 

この店のお客様は
この店のスタッフから、自分のことを想って貰っているのだ

 

自分のことを想われて
気分が悪いわけがない、嬉しくないわけがない
自分のことを、そして自分の車のことを想ってくれているスタッフを
そんなスタッフを育てたその店を
お客様はとことん信頼するに決まっている

 

スタッフが、自然に、しかもキチンとお客様のことを想って
この車のためを思って
一人一人に接しているとしたら
これはCSの最高の姿であろう
CSはポーズではない、テクニックでもない
本当にキチンとお客様のことを想う事が出来るかどうかであろう

 

だから
この店で何かをやってもらうと“高い”
お客様にとって大切なことを、キチンと、高いクォリティをもってやるから
当然“高い”
しかし、客側にとって見ると
これは、まったく“高いと感じない”のだ
得られた付加価値に対して、その価格が妥当と思わせるだけの高い品質と
本当にそれが、やるべきことであり
やってもらうべきことであることを、信頼を持って知っているから

 

つまり、“高い”のは、付加価値であって、価格は妥当なのだ

 

お客様のことをキチンと想えば
そうなることの方が自然なのだ

 

この店の信じられないほどの高収益は
この店の質の高い本物の接客と、高品質な商品によって
当然のように実現されている

 

昔、「お客様は神様です」というフレーズが流行った
神様とは、私たち人間のことを想ってくれる存在
無私の愛を持って私たちを想ってくれる存在
私たちに、すべてを与えてくれる存在
神様は、私たちのすべてを許してくれる存在
私は神様を信じている者ではないが、神様とはそんな存在であろう

 

お客様は、そうではない
神様ではない
お客様は、人間だ
自分のことを想ってくれれば、信頼し
自分から何かを得ようとする物、つまり奪おうとする者からは、逃げる
キチンと想ってくれる人を信頼し
キチンとした物を得られれば、喜んで正当な対価を支払う

 

自分が客ならば、そう思うのが当然であろう

 

お客様も人間、スタッフも人間
人間同士なのだから、礼儀が基本
自分は人間なのだから
人間であるお客様に対して、礼儀正しくするのは当たり前であり

 

この店では、お客様をキチンと人間として扱っていて
スタッフは、人間として当たり前の事を、当たり前としてやっているだけなのであろう
商売とはそんなものか

 

人間が他の人間のことを想うこと
それはやさしさであり、人と人との一番強いつながりの、その一つであろう
CSとは、まさにこういう事なのかもしれない

 

では、なぜこの会社の人たちは
お客様のことをキチンと人間として想うことが出来るのか

 

それは、この会社が
スタッフのことをキチンと想っているからであろう

 

この日の飲み会で
社長にしても、所長にしても
全身を持って、心の底からスタッフのことを想っていると感じた

 

社長や、所長がスタッフに話しをする時
心の底から、身振り手振りをもって
全身でしゃべる
本当にスタッフの、その人のためを想って
一生懸命、仕事のことを教える

 

 

その真剣さが、「人を想うこと」を自然に教えているのだろう
スタッフは、自分のことを会社から想ってもらうことによって
お客様のことを想うことを憶えて、身に付けていく

 

想われる事によって、想う事を憶える
この会社では、人が人を想うことが
当たり前の事として、会社がスタッフを想い、スタッフがお客様を想う
なんとも素敵なことではないか

 

この会社の“ななせん・ごひゃく・まんえん”は
お客様から奪ったものではなくて
“人であるお客様に対する想い”が勝ち得たもの
なんとも素敵なことではないか

 

もう一つ
同じようなことを感じさせられたことがあった

 

11日のS耐での、ドライバーとピットスタッフの人たち
お互いが、一つの目標に対して
それが、その人の損得なんかにまったく関係なく
お互いが、お互いの目標のために
お互いが損得勘定なしで
想う
お互いがお互いの損得勘定を関係なく
想い合うことが
一番大きな成果を得られるものなのであろう

 

4時間もの雨の中で体の芯まで濡れきった、S耐の一方の花形
サインボード担当スタッフの人たち(ボランティアである)
損得考えてたら、とてもこんなことは出来ない

 

 

そういうことかもしれない

 

多くのことを学んだこの何日かであった

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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