谷 好通コラム

2003年04月02日(水曜日)

679話 売る側買う側?

洗車に関しては
「商品(物・サービス)が、売れるかどうかは」
「買う側の気持ち・価値観・都合次第」
「売る側の都合はまったく関係ない」
この商売の原則を適用することである

 

前話で、こう結論した

 

ガソリンスタンドにおける燃料を代表とした“必要商品”は
適切なアドバイスと、良質な接客で
「売っていくもの」
商売の原則からすれば、これは一般の商品に比べて特殊な存在である

 

洗車は、「買う側」の意思によって
選択され、欲しいという動機によって、買うかどうか決められる
いってみれば“欲求商品”

 

その欲求の幅は広く
その中には
「汚いから、汚れを取らなければ」という必要性からの洗車もあれば
「きれいさが欲しい」という欲求からの洗車もある

 

ガソリンスタンドでは前者の購買動機のよる必要洗車は得意であるが
後者のような、欲求に基づく洗車はあまり得意ではない
それは、元々スタンドで取り扱っている商品が
必要商品が多いからであろう

 

しかし、その範疇の中だけで
洗車を販売していたのでは、マーケットの限界が小さく
しかも、どのスタンドも同じような洗車を販売しているので競争相手も多く
大きなポテンシャルを持っていない

 

今後、洗車に大きな収益拡大を期待するならば
洗車の“欲求商品”部分のマーケットをも開発していく必要がある

 

売る商品としての“必要洗車”だけでなく
買う側の欲求によって買われる“欲求洗車”をも
開発していくべきであるということ
そのことによって、洗車商品の可能製が大幅に広がる

 

欲求洗車とは、買う側の欲求を捕まえることなのだから
買う側の欲求を知ることが必要となってくる
“売る側”が、“買う側”の欲求を知るとは
つまり、反対側の立場の人の、心の中を知るということになる

 

「相手の立場になって考えれば、相手の気持ちが分かって、理解し合える」
ということをよく言う
親が子供の気持ちになって考える。とか
教師が生徒の立場に立って考える。とか
男が女の気持ちになって考える。とか
これは簡単なようで
ものすごく難しいこと
しかし、商売とは“買う側”のことを考えるのが基本中の基本
特に接客とは「気遣い」であり
相手の気持ちにどれだけ立つことが出来るかどうか
その要素が一番大きいことは、言うまでも無い

 

相手の立場に立った洗車
買う側のためを考え抜いた洗車
そんな洗車が
スタンドの持っている必要洗車から、欲求洗車をも包括するマーケットへ
その可能性を大きく広げる
非常に有効な手段といえる

 

一言で言ってしまえば
「自分が客なら、買うか?何が欲しいのか?」

 

「自分がお客様の立場なら、今、自分が売っている洗車を買ってくれるか?」
「自分がお客様の立場なら、どんな洗車が欲しいのか?」
「自分がお客様の立場なら、自分の車をどうして欲しいか?」

 

一度、本当に“素直に”考えて見るべきではないだろうか。
売る側としての、自分の置かれた立場
あるいは
売る側の都合、自分の都合を一度忘れて
自分を買う側に立たせて
そこからの視点でのみ見てみるべきではないだろうか
考えて見るべきではないだろうか

 

そう考えたとき
果たして今の洗車商品でどうなのか、買うのか
何が欲しいと思えるのか
どうしたいのか

 

今よりもっとキチンときれいになる洗車も欲しいのではないか
しかし、「そんな面倒なことやっていられない」
それは、売る側の都合であって
面倒が掛かるのだったら、それなりにお金をいただけばいいのではないか
自分なら、いくらぐらい払うのか

 

自分が買う側の立場になって
しかし自分は、実際には売る側にいるわけだから
いくら買う側に立ってみてと言っても、なり切れるわけではない
だったら
自分の良く知っている人
自分の奥さんとか、親とか、兄弟とか、親しい人とか
身近な人に自分がなったつもりで考えてみるのもいいかもしれない

 

少なくとも、今現在、自分の店で洗車を買ってくれている客
つまり、今の洗車客のことを考えてはいけない
今の洗車客は、今の洗車が(で)良くて、買ってくれているわけなので
新しい洗車の可能性にはあまり結びつかない

 

たとえば
自分が、今とはまったく違う職業の人間であって
しかも、新車を昨日買ったばかりである
そんな状況をシミュレートしてみればいい
「その車に何をしたいか?」
「その新車がどうあって欲しいか?」

 

「キチンときれいにしていたい」
「隅々まできれいでいて欲しい」
「艶があって、ピカピカ光っていて欲しい」
「傷を少しでも入れたくない」
「新車の今のままでいて欲しい」
「○○○○円/月ぐらいなら払ってもいい」
などなど色々あるだろうが
いずれにしても
こちら側の都合を度外視して考えることも必要である

 

そして、買う側が欲しがっている商品と、その質がイメージできたら
いくらぐらいなら買ってくれるのか
そして実現できるかどうか
それをどうやれば実現できるのか
やってみると意外と簡単である

 

洗車を買う側が、何のために車をきれいにしていたいかという動機
「綺麗にしていると気持ちがいいから」

 

スタンドでの洗車に飽き足らない人が
「洗うだけならまだしも
ワックスがけ、水垢取りなどの面倒な仕事を頼みにくい」と
聞くことがある

 

キチンときれいにしていたい人にとって
「洗うきれいさ」だけではなく
「磨いたきれいさ」も、日常的なものとして欲しいものであり
スタンドでは、そのような商品を頼みにくい状態にあることも事実である

 

高いレベルのきれいさには
高い付加価値があるのだから
高い価格も承知の上である
そのような、質の高いきれいさも、日常的なこととして
いつでも、「ありがとうございます!」
と言える体制作りが必要なのではないだろうか

 

「給油が混んでいるから」と言うのは、「売る側の都合」である
「買う側」にとって、
そのことによって、質の高いきれいさを注文することが
歓迎されないとするならば
それは、そこで買う商品でない
売る側の都合で嫌がられるような商品を、買い続けることは無い

 

店の混み具合を見れば
誰だって、時間が掛かることは承知で注文するはずなので
時間が掛かっても、やって欲しいと言っているわけなのだから
「ありがとうございます!」の
歓迎の言葉、気持ちは絶対必要なのだと思う

 

 

そして
もう一つ肝心なことがある
きれいにしたいという購買動機と同時に
「自分の車が大事だから」という購買動機

 

車も手入れをしないと、悪くなるのが早い
特に、雨ざらしの状態では何の手入れもせずにおくと、すぐに塗装が悪くなって
古びた塗装になってしまう

 

車を買ったときの感動
「このままの状態で、大切に乗っていたい」
特に新車を買ったときの感動は大きなものがあり
「ずっと新車のままでいて欲しい」
と、誰もが思うものだ

 

「洗車=車のきれい」は
洗うにしても、磨くにしても
その時、きれいになればいいだけではなく
車が大切に思っての手入れ
車の塗装を大切にしたい、新しい状態で乗っていたい
そんな欲求を強く持っているものだ

 

きれいにすることによって、実は車の塗装が悪くなっていくこと
お化粧の場合ならば
おもて面だけきれいになっても、実はお肌が荒れていく
そんな化粧品は悪い化粧品であって
車の手入れにおいても同じことが言える

 

車が大切だから、洗車をする
だから、その洗車によって微細な傷が入ったり
水垢取りをすることによって、塗装が荒れていくなど、とんでもないことなのだ

 

リピート客が店の経営を支えていくものであり
黒字経営は、高いリピート率が作り出してくれるものである

 

洗車についても
その時だけきれいになっても
実はだんだん塗装が荒れていくようなお手入れでは
買う側の目的に反するものであり
継続的なリピートにつながることは無い

 

「買う側」の欲求に沿った商品とは
実は、その車の塗装のためを考えた洗車であり
お手入れであることが必要である

 

「塗装面改善の方向性」のキーパーシステムとは
実は、お客様のことを第一に考え
買う側の欲求に沿った考え方で作られている

 

塗装のためを思ったら
「時間の掛かる作業」は「百害あって一利なし」
短時間での作業で出来るシステムでなくてはならず
結果的には、キーパーの作業は簡潔なものになり
塗装のためを思って、水を使いながらの作業マニュアルとなった

 

一部のケミカルのように
時間短縮のために、塗装が多少どうなってもかまわない
その時きれいになれば、それでいいのだ
そんな姿勢とは正反対のものなのである

 

何をどう使えば、塗装のためになるかは
ただいまリニューアル中の
「キーパーの塗装の理論」(今週中には完成します)を

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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